40代になると、腕時計の悩みの質が変わる。

「ロレックスに憧れはある。でも今の自分に似合うだろうか」
「仕事相手にどう見られる?派手すぎない方がいい気がする」
「静かに、品よく、落ち着いた一本を身につけたい」

高級時計が欲しいわけではなく、
“自分の生き方に合う一本”を探したくなるのが40代だ。

僕自身、Apple Watchを手放して“次の10年の相棒”を探し始めたとき、
最初に候補に挙がったのは、やはりロレックスだった。

しかし、スペック比較を重ねるほど、心は逆方向に動いていった。

「どれが欲しいか」ではなく、
「どんな時間を生きたいか」 が基準になっていったからだ。

その結果、最後に行き着いたのは──
日本が誇る Grand Seiko だった。

ロレックスを候補から外した理由──“似合う・似合わない”は年齢で変わる

ロレックスは間違いなく素晴らしい。
資産価値もあり、語れる歴史もある。

ただ、調べれば調べるほど心に小さな違和感だけが残った。

● ブランドの存在感が強い
● 主張が明確で、40代の装いに対して“やや過剰”
● Quiet Luxury を好む自分と少しズレる
● 「見られ方」が先に来てしまう

良い悪いではない。
ただ、“今の生き方には合っていない”と感じた。

40代は、「似合う・似合わない」の基準が20代と変わる。
自分の価値観が静かに変化していることに、ここで初めて気づいた。

👉 静かな選択についてはこちらでも書いています
40代ミニマリストがグランドセイコーを選んだ理由

比較をすればするほど迷う。“時計迷子”の罠

時計を調べ始めると、ほぼ全員が迷う。

ティソ、ロンジン、モーリスラクロア、IWC…
値段もスペックもデザインも違い、比較軸が無限に増えるわけだ。

上を見ればパテックやAP。
下を見ると“十分すぎるコスパ時計”はいくらでもある。

僕もその迷路でしばらく立ち止まった。

そこでやっと気づく。

迷っているのは「時計の優劣」ではなく、「基準がない」からだ。

基準が固まった瞬間、国産時計が浮かび上がった

決め手になったのは、以前尊敬していたプロデューサーがつけていた「キングセイコー」の佇まいだった。

控えめなのに、確かな品がある。
主張しないのに、見ればわかる美しさ。

その姿が、静かに記憶から浮かび上がった瞬間、

「今の自分には、国産の時計がいちばんしっくりくる」

そう確信した。

国産の美意識は、静か・実直・精度・誠実。
40代が求める“成熟した品”と、驚くほど相性が良かった。

👉 持ち物を整える話はこちら

40代の仕事を支えるのは“静かな強さ”

40代になると、時計は「ステータス」ではなく「姿勢」を語る。

求めていたのは、

● 高精度
● 壊れない
● 時間がズレない
● 装いを邪魔しない
● 静かに佇む上質さ

これらすべてを満たしていたのが、 Grand Seiko だったのだ。

実物を見た瞬間、迷いがほぐれていった。

「これだ」と。

僕はあえて“クオーツ”を選んだ──これは思想の選択

もちろん、機械式のロマンも理解している。
でも僕が求めたのは「憧れ」ではなく “仕事に耐える道具” だった。

だからこそ、クオーツ。

● 年差数秒という異次元の精度
● メンテの軽さ
● すぐに使えて、狂わない安心感
● 道具としての信頼性の高さ

実は、働く40代において、これは圧倒的に合理的だった。

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Apple Watchを手放した理由|最小デジタル生活

Grand Seikoはこんな人におすすめ

① “静かな品”を大切にしたい人

ロレックスの主張より、佇まいの深さを選びたい。

② ビジネスで信頼を築きたい40代

時計が「誠実さ」を語る年齢。

③ 海外ブランドの派手さに疲れた人

価値観が“深さ・静けさ・美意識”へ変わり始めた人。

④ 資産性より“生活の相棒”が欲しい人

10年単位で裏切らない時計。

⑤ 精度・合理性を重視するミニマリスト

9FクオーツやスプリングドライブのROIは異常に高い。

⑥ 過剰な管理から距離を置きたい人

充電不要・通知ゼロ・トラブルなし。

⑦ 国産のものづくりに価値を感じる人

和の美意識と精度は、世界でも唯一無二。

7|Grand Seikoがくれた“静かなラグジュアリー”

ロレックスの華やかさとは方向が違う。
なぜなら、グランドセイコーは 「静かに力を宿す時計」だから。

● 奥ゆかしい輝き
● 繊細な研磨
● 品のある佇まい
● 無駄を削ぎ落とした実用性
● 毎日を淡々と支える精度

Apple Watchでは得られなかった、
“時間を味わう感覚”がそこにはあった。

10年かけて時計を育てるという贅沢

グランドセイコーは、僕にとって
“次の10年を託せる時計” だ。

10年経ったら、機械式の相棒が増えているかもしれない。
でもこの一本は、きっとずっと手元に残り続ける。

静かに、誠実に、時間を刻み続ける相棒として。

これが、Grand Seiko の本質だ。

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ABOUT ME
yohaku
余白のある生き方を探しながら、 40代の暮らし・働き方・持ち物を“整える”ための思考を書いています。 ミニマル思考、Quiet Luxury、道具から学ぶ哲学。 心と生活が軽くなる視点を、日々の実践から発信中。 元ドキュメンタリー番組ディレクターを経て、 現在はブランド設計・クリエイティブの仕事に携わっています。 「ものを減らす」の先にある、 “どう生きるか”を一緒に考えるための場所です。