ミニマリストを続けていると、
いつの間にか“好きなものまで我慢している自分”に気づく瞬間がある。
「手放すこと」が目的になり、心まで削れていく──そんな危うさがある。
なるべく物を持たない。
贅沢はしない。
必要最低限だけで生きる。
なるほど、それも確かにひとつのミニマリズムだ。
でももしあなたがいま「削りすぎて苦しい」と感じているなら、
それは本来のミニマリズムとは少し違う。
もしあなたが「削るばかりで心がすり減っている」と感じるなら、
まずはこちらの記事も読んでほしい。
→ 40代からのミニマルライフ|暮らしを整える“思考のシンプル化”
ミニマリズムの本質は、我慢ではない。
人生を最大化するために“好きなものを残す”という思想だ。
この記事は、“減らすこと”に縛られて息苦しさを感じている人へ書いている。
僕が遠回りしながら辿り着いた、そんなミニマリズムの一側面だ。
僕にとって、どうしても手放せなかったひとつのモノ──
それが Leica M4-2 だった。
1|最初のカメラは父から譲り受けた Canon だった
大学生の頃、父からもらったCanonのフィルムカメラが最初の一台だった。
残念ながら、社会人になる前に壊れてからはコンデジへ。
その後、20代半ばには初めて自分のお金で一眼レフ──Nikon D90──を買った。
「自分だけのカメラを手に入れた」
あの喜びはいま思い出しても胸が熱くなる。
ただ当時は、サーフィンやスノボ、社会人バスケの方が中心で、
カメラはまだ“脇役”だった。
2|40代で出会った、人生を変える一台──Leica
そんな僕が40代になって出会ったのが Leica だ。
コロナ禍でスポーツから離れ、
どこか悶々とした日々を過ごしていた頃だった。
その時ふと、父の言葉を思い出す。
「Leicaは、風が撮れるカメラだ」
実際には存在しないキャッチコピーだが、なぜかずっと耳に残っていた。
結局、憧れは静かに熱へ変わり、気づけば本気で欲しくなってしまっていた。
なお、“ミニマルな趣味の持ち方”については、
→ 40代ミニマリストが国産革カバンを選んだ理由
で語っているように、「語れるモノ」を持つことが軸になっている。
実は、Leicaには、スペックでは説明できない魅力がある。
- オートフォーカスなし
- 手ぶれ補正なし
- 動画機能なし
にも関わらず、驚くほど高価。
つまり、スペックではなく“体験”で価値が決まるカメラなのだ。
工芸品のような質感。
静かなシャッター音。
レンジファインダーで世界と対話するような撮影体験。
Leica は“写真を撮る道具”ではなく、
“写真を撮る時間を美しくする道具” だった。
そこから僕は、まんまと Leica の世界に飲み込まれていく。
- Q2
- SL2-S
- M11
- Summilux
- Summicron
買って、撮って、手放して、また別の個体を迎える──
そのプロセスに“自分の内面”が映っていた。
そしてある日、気づく。
Leica の本質は、デジタルではなくフィルムにある。
3|最後に残ったのはたった一台──Leica M4-2
多くのデジタルLeicaを手放し、
最後に残したのが Leica M4-2 だった。
僕の生まれ年に製造された“バースイヤー Leica”。
もはや道具ではなく、人生の一部だ。
なぜフィルム Leica は手放せないのか
理由はシンプルだ。
体験が圧倒的に豊かだから。
フィルムを巻く
露出を整える
ピントを合わせる
シャッターを切る
現像を待つ
一枚と向き合うこのプロセスが、
写真を“データ”ではなく“出来事”へ変える。
これこそが、フィルム Leica の魔法だ。
4|デジタルは Nikon Zf。文化が違うから棲み分ける
デジタルは Nikon Zf に落ち着いた。
Leica のデジタルはやめた。
理由は明確だ。
- Leica → 撮影体験のための道具
- Zf → 絵作り・表現のための道具
文化も所作も温度も違う。
だから用途が被らず、どちらも必要な相棒になる。
参考記事:
40代ミニマリストが本当に必要な5つの家電ー暮らしを“最小構成”にする選択ー
5|ミニマリズムは“好きなものを残すための思想”だ
ミニマリストだからといって、趣味を我慢する必要はない。
むしろ逆だ。
むしろ、不要なものを削ぎ落とし、
好きなものを中心に置くための思想がミニマリズムだ。
僕にとって Leica M4-2 は、
- 所有する意味がある
- 感性を整えてくれる
- 人生のリズムを美しくしてくれる
そんな存在だ。
そして、あなたにとっての“Leica M4-2”は
もちろん、カメラじゃなくてもいい。
車やバイク
ギター
サーフボード
機械式時計
万年筆
胸を熱くするものは、間違いなく人生を豊かにする。
同じように「本当に残すもの」を選ぶ視点は、
→ 40代ミニマリストのワードローブ選び ─ 服は“使い潰す”から美しい
にも通じている。
6|あなたが“残すべきもの”は何ですか?
もしあなたがいま、
「ミニマリストだから我慢したほうがいいのか」
「好きだけど贅沢かもしれない」
もし、そう迷っているなら、考えてほしい。
ミニマリズムは禁欲ではない。
好きなものを真ん中に置く生き方だ。
僕は Leica を残した。
さて、あなたは何を残すだろう?
あなたの中にある“本当に残したいもの”を
一度、紙に書き出してみてほしい。
実は、その中にあなたの人生の方向性が宿っている。
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