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Office io|名刺で「ご縁」をデザインする

Office io では、現在「アート事業」「コミュニティ事業」「クリエイティブ・コンサル事業」の3本軸で展開しています。

その中でも「クリエイティブ・コンサル事業」はけっこう幅広く展開させていただいていて、長期契約で進行中の商品開発案件から単発デザイン案件までさまざまです。

今回はそのひとつとして、この夏に対応させていただいた名刺のデザイン案件について、そのコンセプトメイキングからデザインの完成までを包み隠さず公開してみます。

なんのための名刺なのかを考える

今回オーダーいただいた企業さまは、関西の老舗かまぼこ屋さんでした。

リニューアル前の名刺は、いかにも地方の社長が持ちそうな・・・というと失礼ですが、かなり情報量が多く、詰め込み型の典型のようなものでした。

裏側には販売店の地図などが入り、社長の肩書きも入れ放題。
かまぼこ販売に直接関係のない、地元組合の会長職や、協同組合の理事なんかも入っています。

まずはこの名刺に載せるべき情報を整理するため、ヒアリングから開始しました。
そこから浮かび上がってきた内容の中で、ポイントになったのは以下の部分です。

・かまぼこの売り上げの大半は「結婚式・披露宴の引き出物」
・地元で年配の方に認知度が高い
・名刺の目的は「販売店」に来てもらうことではない
・会長職、理事長職の肩書きを入れている理由は特にない

こうしたポイントを整理していくうちに、どんどんと不要な情報が削ぎ落とせることがわかります。

まず、「販売店までの地図」は来てもらう目的がないのであれば不要です。
何より、数カ所に販売店をお持ちなのに、ひとつだけの所在地を書いている意味もわかりません。

また、「会長や理事」などの肩書きについても、地元近郊の人たちはすでにそういう権威ある立場の人だということは知れ渡っている。
一方で、地元外の人にはその立場を語ったところでイマイチぴんとこない、ということがわかりました。
なのでこれも外してしまうことにしました。

不要な要素を削り落としたあとは、この名刺を使うことで、どう価値を上げていくかを考えます。

まずアピールしたいのは「結婚式の引き出物」としての認知です。
そこから引き出物を見に来た若いお客をターゲットに絞り込みました。

年輩の方への認知度はすでに高く、今後は若いお客様に「引き出物」としてこの企業さまのかまぼこを選んでいただく必要があったからです。
これは少子化、晩婚化を考えた時、この先の未来に向けてもかなり重要な視点だと考えています。

そのためには、目線を少し若くする必要があると考えました。
なので、親や親戚からの紹介で引き出物を見学にきた若いカップル。
その二人がこのお店の名刺を手渡されたときに、記憶に少しだけ残るようにしたい。
そんなストーリーを想定しました。

このイメージをベースに、CEOでありデザイナーであるハナさんとさらに具体的なビジュアルを相談します。

ビジュアルとコンセプトの融合

Office io では、コンセプト理解を深めるため、基本的にはいつも二人で打ち合わせに参加するようにしています。

ボクのヒアリングを聴きながら、同時にその場でデザイナーであるハナさんがビジュアルイメージを固めていくためです。

当初、ハナさんがイメージするためにチョイスしたキーワードは以下のようなものでした。

・結婚式
・引き出物
・縁結び
・めで鯛

ここから発想して、ビジュアルを名刺に落とし込んでいきます。
こちらはハナさんが初期構想として描いた手書きラフです。

もちろん、結婚式というキーワードからだと、「ウエディングケーキ」や「ウエディングドレス」、「ブーケ」なども連想されますが、今回ベースとなっているのはかまぼこ。
やはり素直に考えたらイメージは「和」です。
ターゲットを若い人にしているからといって、なんでもかんでも洋風が良いとは限りません。

大切なのは「本質」です。
例えば、奇をてらった「かまぼこのウェディングケーキ」より、シンプルで洗練された「かまぼこ刺し」の方が、今回の企業さまの場合は本質に沿っていると判断しました。
なので、発想もその方向を軸にしています。

このあたりは特にすり合わせなくても、二人とも同じ印象から和の方向をイメージしていました。

さらにそのキーワードから発想を展開していきます。

「羽織はかま」「宴席」「白無垢」・・・といったところから、ハナさんが選び出したビジュアルは「ご祝儀袋」さらにそこから抽出した「水引」をワンポイントにすることにしました。

そして、ハナさんから上がってきたデザインがこちらです。

コンセプトは「ご縁」をデザインする。

名刺そのものに結婚式の引き出物としての縁起の良さを際立たせ、名刺をもらった人にまで幸せがおすそ分けされるイメージです。

さらに、この名刺を渡すたびに、「これをもらうと運が良くなる」とか、「幸せになれる縁起物ですよ」と、一言添えてもらうようにしました。

これはあくまで遊びの要素ではありますが、もし「名刺をもらったおかげで幸せになれた」と評判が立つようなことがあれば、当然この企業さんのイメージも上がります。

みんなが幸せになれるかまぼこを引き出物にしよう。
そうブランド価値を高めることができるはずです。

もちろん、この仕掛けも無理やり行ったわけではありません。
こちらの企業全体として、みなさんがすごくにこにこされていて、丁寧に接客をされている。
社長さんが福耳で、えびす顔。といった背景もあり、企業全体から幸せや幸運があふれていたからです。
だったら、それをもっと明確に言葉にするだけで、みんなが幸せになれるはず。

そう考えての仕掛けでした。

コミュニケーションをデザインする

また、この名刺は店頭でお渡しするだけでなく、社長同士の会食などでも使うということでした。
その際にコミュニケーションが発生する部分についても後日ご評価をいただきました。

この名刺を渡した瞬間、相手にしてみれば「なぜ水引?」となるわけです。
そこで「実はうちのかまぼこは結婚式の引き出物として人気でして・・・」という話が自然と切り出せる。

営業のための会話ではなく、自然と発生する雑談から、すでに自社の商品の話になっている。
これはかなりのアドバンテージです。

単に名刺をかわいく、面白くデザインするだけでなく、それを利用する際のコミュニケーションを含めてデザインしているということです。

かねてからボクがツイッターで、「名刺はチラシとは違うから、なんでもかんでも情報を詰め込めばよい、というものではない。」と言っているのはこの部分ですね。

自社として名刺になんの機能をもたせたいのか。
そこを明確にして、不要な情報をまずは削ぎ落としていく。
この不要な情報というのは、ノイズです。
これがあるせいで、本当に伝えたいことがボケてしまうわけです。

今回の名刺で言えば、裏側の販売店の地図や、会長、理事長の肩書きがノイズでした。
それを取り払い、シンプルに必要な情報だけにしたら、そこからさらに伝えたい情報を光らせます。

今回はあえて、「かまぼこ屋」であることは屋号に任せて、装飾の部分では「引き出物」から展開した「祝い事」をイメージとして光らせています。
もちろん、かまぼこ屋であることを強調するためにかまぼこの写真やイラストを使う手もあるかも知れません。

ですが、かまぼこそのものの美味しさや食感は食べて初めて本質が発揮されると考えました。
であれば、名刺でアピールする部分はそこではありません。
最終的に拾い上げたのがコンセプトとなる「ご縁」をデザインするということでした。

結果として、若い方への評判も良く、また社長界隈のなかでは商談の切り口となる、シンプルだけど記憶に残る名刺になったのではないかと思います。

さらにそこから「幸せになれる名刺」「幸せになれるかまぼこ屋」の噂が広がれば、ブランディングとしても大成功です。
ここはまだこれから時間をかけて育てていく部分ですが、これからの展開が楽しみです。

また、こちらの企業さまからはこの名刺をきっかけに、トータルでのクリエイティブ・コンサルティングもご検討されているとのことで、引き続き「ご縁」を育てていけたら嬉しい限りですね。

本質とは、もともとある価値。
それをそっと拾い出して光らせる。

Office io では、これからもそうしたクリエイティブの提案、提供をしていきたいと思っています。

 

【告知】
Office io では、「作業ベース」のデザイン案件は受けておらず、すべて「コンセプト設計」から入らせていただけるものを取り扱っています。
Office io らしさにこだわった結果、それが一番、Office ioとしてのチカラを発揮できるからです。
ブランディングやクリエイティブの統一コントロールが気になる企業さまは、まずはお気軽に問い合わせください。

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ABOUT ME
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Andy
we.編集長/Design Offiice io COO./Creative Director|東京⇆京都の2拠点生活。| 企業の経営課題を解決するデザイン・コンサルやクリエイティブ・ディレクションやってます。|ミニマル思考と独特の着眼点で「?」を「!」にする発想・提案が得意。|日本のビジネスにクリエイティブの革命を起こしたい。