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Office io |クリエイティブ・ディレクターとしての仕事内容大公開!

まずはこちらの画像をご覧ください。
Twitterでも紹介しましたが、Office io のデザイナー、ハナさんの営業用パンフレットのビフォーアフターです。

こちらが個人で活動をしていたときにつくったもの。

こちらがボクがクリエイティブ・ディレクターとしてOffice ioに参加したあとに作ったもの。

大きく変わったのがわかってもらえると思います。

ここでポイントになるのは、「デザインスキルが圧倒的に上がった」ワケではない、ということです。
当然ですが、デザイン千本ノックも、デザイン指導本を読み漁るようなこともしてません。

では何をしたのか?
やったことは本当にシンプルで、「どう見せるか」をディレクションしただけです。

もちろん、一言にディレクションといっても、そのやり方は千差万別。
今回は、Office ioでのデザインコンサルティングのやり方、その流れを詳しくご紹介していきます。

抱えている課題は何か?

まず、ディレクターとして一番最初にやることは、「課題の発見」です。
ここがイマイチぼやけたままだど、的確な解にたどり着くことができません。

間違っても、自分のやりたいようにデザインを押し付けて、それで見てくれを整えるようなことをしてはダメですね。
それはディレクションではありません。
単なるエゴ。

ハナさん本人が当初設定した課題は「デザインやスキルの見せ方」ということでした。

でも、見せ方、と一言にいっても、それはいろいろ。課題の本質ではありません。
ではどうするのか?

そう、「ヒアリング」です。
ボクの場合は、圧倒的に具体的なプランが頭に浮かぶまで、(それは直感な場合が多いですが)ひたすらにヒアリングを繰り返します。

今回は「デザインや、自分のスキルの見せ方がわからない」をスタートに、質問を繰り返していきました。
ボクの質問は基本的にはWhyを基準にしつつも、だいたい A or B 形式で聞いていきます。
どちらでもない。と答えた場合は、では C or D だとどうですか?で進めます。
この方が相手も答えやすいし、より具体的な回答にたどり着く可能性が高いと思っているからです。
ボクがよく、「ヒアリングは仮説と検証」と言う部分ですね。

さて、ヒアリングを重ねていく中で、ひとつのチェックポイントと感じるところにたどり着きました。
それは「技術は努力で身につくけど、自分の色を出すのが難しい」というハナさんの回答でした。

この部分からハナさんは「作業ベースの職人型デザイナーではなく、作品ベースの作家型デザイナー」だということを強く意識します。

ちなみに、「作業ベースの職人型デザイナー」と、「作品ベースの作家型デザイナー」の識別は事前にボクの中にはあります。
作業ベースの職人型デザイナーは、決められた作業をハイスピードでこなしていくのが好きな人。
定期的な案件や、量産デザイン、テンプレ運用に向いてます。
スキルとスピードの左脳型デザイナーという印象でしょうか。

一方で、作品ベースの作家型デザイナーは、自分の作品にこだわりを持っています。
メインビジュアルの作成や、個別のオリジナルデザイン、コンペなどに向いています。
感性と表現力の右脳型デザイナーとも言えると思います。

(本質的な話をしてます。どちらのレベルや立場が上とか、どちらの方が良い・悪いとか、そういう比較の話ではありません。)

これ、もちろんいきなり A or B で聞くことはできます。
でも、自然とこの答えが出てくるまで、あえて聞きませんでした。

その理由としては、いきなり「職人型と作家型、どちらになりたいですか?」と聞いて、頭で考えて出た答えが本当にその人の特性にあっているかは別だからです。

例えば、本質的には「作家型」なのに、そのときの仕事が量産型デザイン中心で、それが収入の要だった場合、自分が「作家型」だと答えられるデザイナーが何人いるでしょうか?
その、頭で考えた答えでは、ブランディングの核は作れません

なので、いろんな質問の積み重ねの中で出てきた、「自分の色を出す」という言葉が重要になるわけです。
ハナさんは間違いなく、感性と表現力の右脳型デザイナー、つまり「作家型」
この本質の部分を見誤ると、この先にある「ブランディング」もうまく行きません。
蕎麦屋の外観を美しいイタリアン風にリニューアルしても、客は戸惑うだけ。
大事なのは、本質を軸としたディレクションです。

ブランディングの核を探す

さて、本質的に「作家型」であることがわかったので、ここからはそれを生かすためのプラン、つまりコンセプトを考えていきます。
当初、ハナさんは「デザインやスキルをどう見せるか」で悩んでました。
でも、「作家型」であれば、見せるべきは「スキル」ではなく、「表現力」の方です。
それを押し出すためのプランを練ります。

今回、最大のポイントとなったのが、ハナさんがデザイナーに転身する前は「アーティスト」として活動していた、というキャリアでした。
個展を開催したり、雑誌などのメディアにも取り上げられるくらい活躍されていたのですが、やはりアート一本で食べていくとう部分は簡単ではなく、デザイナーに転身したときには「アーティスト」としての一面は完全に封印していました。

ヒアリングを続ける中で、そのアートに対する熱い想いも知ることができました。
作品も素晴らしく、このまま眠らせるにはもったいない才能だ、と確信します。

ディレクションの本質として、「不要なものをそぎ落とす」という作業はとても重要です。
でも、それと同時に「必要なものを掛け合わせる」というのも大事だと考えています。
自分が持つ武器を掛け合わせることで、「差別化」を計るためです。
この武器は、必ずしも大きなものである必要はありません。
自分にとっては些細なことでも、他人から見たら強力な武器に見えることは多々ありますし、それが掛け算されたら、さらに強力な武器になるからです。

今回のハナさんのブランディングの場合、まずは「職人型」に通じる全ての要素をそぎ落としました。
スキルを見せるとか、自分の技能をパンフレットに書き連ねるとか、そういう部分です。
そして、「作家型であるという事実」以外、なにもなくなった状態に、「アート」という要素を掛け合わせたのです。

ハナさん自身、アートという要素は大切に持っていたのですが、それをどう活かすかまでは届いていない状態でした。
「アートとデザインは別物」という固定観念が働いていた可能性が高いですね。

そこで、ボクは「アート」の感覚を取り入れた「デザイン」を作風の軸に置くことを提案しました。
難しく言うと、「アートの問題提起力にデザインの課題解決力を掛け合わせる」ということです。
でも、ハナさんにとっては本質的に持っている能力なので、左脳で考えなくても、それを右脳発想から無理なく表現することができます。
これは圧倒的な武器です。

Art × Design というコンセプトは、こうして誕生しました。

この話をしたときのハナさんの納得感や手応えはかなり深いものでした。
以下、当時の本人の感想です。

そして、ここから、Office io のキャッチコピー「ArtとDesignは手を繋げると思う。」が生まれました。
ハナさんの言葉をそのまま使うことで、Office ioとしての特色、特徴を全面に出せるようにしています。

ちなみに、この言葉はヒアリングからではなく、普段の何気ない言葉のなかにありました。
不意にでる、その人の自然体な言葉もまた、重要なキーワードになり得るのです。
(この言葉は、キーワードどころか、コアワードとなりました。)

ロゴを新しくする

コンセプトが完成し、キャッチコピーができたところで、まずはロゴのリデザインを行うことにしました。

ロゴは言うなれば企業の顔です。
ここからのビジョンや、企業の理念を明確に内包しつつ、それを的確に表し、見る人の目を引くものである必要があります。

ちなみに、office名である、io(イオ)は拡大・発展の星である木星の衛星から以前ハナさんが名付けたものでした。
クライアントを木星に見立て、木星と衛星イオのようにクライアントに寄り添い発展をアシスト、サポートするという意味合いが込められています。
このコンセプトは素晴らしいので、Office io の名前はそのまま残すことにしました。

さて、もともとのロゴは木星とその衛星軌道をモチーフにしたイラスト調のものでした。
 

これはこれで、可愛いのですが、木星をイメージしたロゴが、どうしても土星に見えてしまう、などの弊害もあります。
また、イラストのテイストは、新生Office io の Art × Design というコンセプトとは一致しません。

そこで、木星の拡大、発展のイメージをArt × Design に落とし込むことで、新しロゴをデザインし直してもらいました。

そのロゴがこちらです。

木星が持つ、拡大・発展のイメージから、ダイナミックな筆文字が跳ね上がり、右肩上がりに伸びる造形に落としこんでいます。
筆文字にすることで、いくつものパターン、ニュアンス、筆圧の中から2度と描けない線の中でベストの造形を探し出しました。Art × DesignのうちのArt要素です。
また、webにも紙にも使える凡庸性の高い造形を追求することで、シンプルで美しいバランスの取れたロゴに仕上げました。
ここはDesignの要素です。
これらを合わせることで、Art×Designというoffice ioのアイデンティティを象徴するロゴに仕上がりました。

このロゴを中心に、さまざまなアウトプットを仕上げていきます。

パンフレットを新しくする

ロゴの次に手をつけたのはパンフレットの刷新でした。
この頃にはOffice io としてクリエイターEXPO2019への出展も決まっていて、パンフは必要不可欠なものでした。

そこで作成したのが、冒頭でもご紹介したこのパンフというわけです。

当然、このパンフレットもArt × Designをコンセプトに進めます。
すべてのアウトプットが同じコンセプトで貫かれていること。
これはブランディングの基本であり、絶対的なルールです。

パンフレットでは、スキルの高さなどは一切触れていません。
あくまで圧倒的な表現力を並べることで、「Art × Design」が「刺さる人だけ」をターゲットにしました。

また、ブースの装飾にもArt × Designを軸に工夫を入れました。
周囲が自分のブースに作品をところ狭しと貼り、物量で勝負するなか、office io は作品3点だけ。
圧倒的に異質な空間を演出できました。

ただし、Art × Design を掲げるだけで、単なるアーティストになってしまっては意味がありません
ターゲットに商業的にアプローチできるように、きちんと市場価値を高めておく必要があります。

そこで、EXPO用にターゲットを意識した「Art × Designで、ビジネスを加速する。」というキャッチコピーを作成しました。
「Art × Design」がビジネスに役立つという部分を明確にアピールするようにしたのです。

結果、この言葉は狙い通りのターゲットに刺さります。
まずはブースの特異性に目を留め、作品に足を止め、そしてビジネスというキーワードから、声をかけていただくという流れが出来上がりました。

いま、このEXPOから発展して進んでいる話がいくつかあり、ひとまずは成功という結果を出せたのではないかと思っています。

ポートフォリオを新しくする

さて、ここまでArt × Designで軸がつくれたら、あとはそんなに難しいことはありません。
手元にあるポートフォリオも同じコンセプトでリデザインしていきます。

以前のポートフォリオは実績ベースで掲示していたため、写真それぞれのトンマナがばらばらでした。
そこを一貫して同じイメージに合わせていきます。
大事なのは「軸」をずらさないこと。
モックのテイスト一つ一つにもこだわりました。

Before

After

ちなみに、モック選びやデザインについてはボクはほとんど口を出しません。
ハナさんが選んだものの仕上がりを見て、合う合わない、良いよくないをArt × Designという軸から判断していくだけです。
まれにArtに振り切りすぎたデザインがあがってきたら、それは今は違う、みたいな話をすることはあります。

とはいえ、常に同じものしか出さないと、それは古くなってしまいます。
「Art」として、常に挑戦的であること
そこは元アーティストのハナさんが、一番理解している部分で、Twitterでも数々のデザイン作品を発表することで、自分の「Art × Design」の幅を広げ続けています。

ディレクションの価値

最近、よく「ディレクション」の価値について考えます。
果たして、その本質はなんなのか、と。
まだ答えが出たわけではありません。
でも、一つ思うのは、やはりディレクションは「道標」であることだという事実です。

誰もが迷い、悩み、道無き道を歩みます。
それは人生でも仕事でも同じ。

そこで、道を示す揺るぎない道標となること。
それがディレクターという職種の人がするべきことなんだろうと思うのです。

クリエイティブの価値をぶらさず伝える。
そのためには、やはりディレクションはなくてはならないものだと思っています。

いま、自分ではどこにどうやって辿り着いていいか分からないデザイナーさんや、イラストレーターさん、それ以外のクリエイターのみなさん。
もし可能なら、ディレクターとコンビを組む選択肢も検討してみてください。
そして、ちゃんと「仕事」としてお願いして、当然ですが「成果」を求めましょう。

いまから会社を立ち上げる人は、絶対に会社のデザイン、クリエイティブを最初からディレクションした方がいいと思います。
多少お金をかけたとしても、途中で変えるより、何百倍もコスパがいいですから。

また、いまの会社のデザインが一貫してない中小、零細企業の社長さんは、名刺ひとつ、封筒ひとつからでいいから、デザイン、クリエイティブをディレクションし直した方がいいと思います。
多少時間をかけてでも、一貫したクリエイティブディレクションで、同じテイストに全てを作り変えるつもりで。

このディレクション業務は別にボクとじゃなくていいのです。
周囲のディレクターさんと組んでやってほしい。
世の中には、ひとりでは抱えきれないくらい、ディレクションの、そしてクリエイティブの価値を必要としている人がいますから。

そのディレクションが生み出す価値は計り知れないはずです。
さぁ、クリエイティブの価値を高めましょう!

すべてのビジネスにクリエイティブで革命を!!

 

ブランディングを考えている。トータル・ディレクションについてちょっと相談したい。そんな企業さま大募集中です。

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ABOUT ME
アバター
Andy
we.編集長/Design Offiice io COO./Creative Director|東京⇆京都の2拠点生活。| 企業の経営課題を解決するデザイン・コンサルやクリエイティブ・ディレクションやってます。|ミニマル思考と独特の着眼点で「?」を「!」にする発想・提案が得意。|日本のビジネスにクリエイティブの革命を起こしたい。