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冷蔵庫のない暮らしは不便じゃない。40代ミニマリストの生活最適化

4年ほど続けたホテル生活を終えて、今年からまた東京で家を借りた。
都内の8畳ワンルーム。

テレビもない。
置き時計もない。
電子レンジもない。
そして──冷蔵庫もない。

「それ、不便じゃない?」
誰に話しても、まず返ってくるのはこの言葉だ。

でも、僕自身は一度も“不便だ”と思ったことがない。
むしろ、冷蔵庫のない暮らしは、僕の時間と感性を整えてくれる「大事なリズム」になった。

ここでは、そのリアルな生活スタイルと、そこから得た気づきをまとめておきたい。

1|冷蔵庫がなくても、ふつうに暮らせる理由

冷蔵庫なしの暮らしを成立させているのは
「生活のテンポを小さく整える」こと。

たとえば──

・ご飯は炊飯器で2合炊く
2合を炊いて、基本は2日で食べ切る。
今の季節なら、常温でも痛む心配はない。

ただし、夏場はさすがに工夫が必要だ。
なので、炊飯器で蕎麦をゆでたり、焼きそばを作ったりしていた。
(このあたりの“炊飯器レシピ”は、また別の記事で書こうと思う)

・味噌汁はインスタント
・納豆と缶詰(サバ・マグロ)は常備

保存が利くものを優先すると、冷蔵庫がなくても献立が成立する。

・卵は「10個パック」ではなく「6個入り」だけ買う
理由はシンプルで、短い期間で食べ切れるから。
冷蔵庫がないと困るのではなく、買い方そのものが“丁寧”になる。

・足りない時だけコンビニで一品足す
お気に入りは、セブンの「サバと大根おろしのポン酢あえ」。
こうした“プラス一品”があるだけで、食卓は十分に満たされる。

・ビールも「飲む時だけ買う」
まとめ買いをやめたら、飲酒量が自然と減った。
特に、平日のなんとなくビールを手放せたのは大きい。
(この話も、別の記事で掘り下げたい)

こうして見てみると、実は冷蔵庫がなくても困らない。
“保存する前提”を手放しただけで、案外ふつうに暮らせてしまう。

2|便利はいつの間にか「時間泥棒」になっていた

冷蔵庫を手放して気づいたのは、便利な家電が“時間の節約”ではなく、“惰性の温床”になっていたということだ。

冷蔵庫があると──

  • とりあえず買い溜めする
  • なんとなく保存しておく
  • 忘れた頃に賞味期限が切れている
  • 捨てるときに、ちょっとだけ自己嫌悪になる

このサイクルが、じわじわと心と時間を削っていく。

冷蔵庫をなくすと、流れが変わる。

  • 「今日食べるものだけ買う」
  • 「食材を使い切る」
  • 「料理が、小さな儀式になる」

便利をひとつ減らしただけで、僕の時間は“雑さ”から“丁寧さ”に戻っていった。

3|保存しない暮らしは、「心の重荷」を減らす

冷蔵庫の中には、食材だけでなく
“過去の自分”が積み上がっていく。

  • いつか使うかも
  • 捨てるのがもったいない
  • 忘れていたけど、もう傷んでいる

保存できる環境は、先延ばしと罪悪感を増やす装置にもなりうる。

冷蔵庫をなくすと、目の前にあるものが
今日の自分が選んだもの」だけになる。

未来に逃げず、“いま”を選ぶ。
その感覚が、想像以上に心を軽くしてくれた。

4|少しの“不便”が、季節と感性を取り戻してくれる

実は、冷蔵庫のない生活では、自然と身体の声が聞こえるようになるのだ。
夏はひややっこや冷たい蕎麦が恋しくなり、冬は温かい汁物がしみる。

昔の人たちがそうして生きていたように、
僕らの身体も、本来は季節に寄り添っている。

便利家電に囲まれた生活では忘れがちなそのリズムを、
冷蔵庫を手放したことで、少しずつ取り戻している気がする。

ミニマリズムとは、モノを減らすことではなく、
感性を取り戻す生き方なのだ。
とまで言うと、ちょっと言い過ぎだろうか…

5|冷蔵庫をやめて得た「3つの自由」

冷蔵庫を手放してみて、具体的にどんな“自由”が生まれたのか。

① スペースの自由

冷蔵庫がないだけで、キッチンに呼吸が生まれる。
物理的な余白は、思考の余白にも直結する。

② 時間の自由

まとめ買い・整理・掃除がほぼゼロになる。
「食材管理」に使っていたエネルギーを、
別のことに回せるようになった。

③ 意識の自由

「切らしたら困るから、買っておかなきゃ」が消える。
必要な時に、必要な分だけ買えばいい。

この当たり前のシンプルさが、
実は驚くほど大きな安心感をくれる。

不便を恐れなければ、生活はもっと豊かになる

冷蔵庫を手放すことは、我慢ではなく、“余白を増やす選択”だった。

  • 不便を少しだけ受け入れる
  • 便利を少しだけ手放す

このわずかな調整が、心の静けさと感性を思い出させてくれる。

冷蔵庫がなくても、ちゃんと暮らせる。
むしろ、持たないほうが“生きること”に近づく。

そんな実感を、8畳のワンルームで噛みしめている。

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ABOUT ME
Andy
メディアプロデューサー/プランナー|元ドキュメンタリー番組ディレクター テレビ番組制作を経て、2014年からウェブ広告業界へ。映像・グラフィック・デジタルを横断するディレクターとして、企業の広告戦略やブランド表現をトータルでプロデュース。現在はDot.のジェネラルマネージャーとして活動中。 一貫して「ディレクション」を軸に、メディアの変遷(テレビ → ウェブ → SNS)を横断しながら、その本質を言語化・体系化することに取り組んでいる。