先日、こんなツイートをしました。
プロに任せるのは大事。
火事は消防士に、法廷なら弁護士、演技は役者に任せる。だから、デザインはデザイナーに、ディレクションはディレクターに任せた方がいい。
もちろん、そこには信用と信頼が必要。そして価値は作業ではなく工程にあるから、当然クリエイター側もその価値を示す必要がある。
— Andy(クリエイティブ・ディレクター) (@we_creat) March 7, 2020
仕事はプロに任せよう、という趣旨のものですが、ちょっと端的に語りすぎたため、詳しい説明をしておきたいと思います。
プロに任せるとはどういうことか?
プロという定義として、ボクは「その仕事だけで生活を立てらる」ことが一つになると思っています。
これは兼業か専業かは関係なく、単純にその仕事の売り上げだけで食べていけるのを一つの指標にしています。
つまり、いくつかの違う仕事を掛け持ちしている場合、その仕事単体がどれだけの稼ぎを得ているか、という部分ですね。
これはもちろんあくまで指標でしかありません。
とはいえ、それだけの専門価値を提供できている、という一つの目安だろうなと思うわけです。
その人にそれだけの対価を支払って、そのスキルや知見を得ようとする人がそれだけいる。という一つの基準みたいなものでしょうか。
もちろん、これはボクが勝手に言ってるだけです。
例えばボクはディレクションで生計を立てています。
ディレクションのプロな訳です。
ここには免許も資格もありません。
自分がそう名乗るしかない。
一方で、スキルだけで言うならボクは動画の撮影や編集、あるいはデザインなんかも少しは出来ます。
同じくここに免許も資格もありません。
ですが、ボクはプロの動画マンとか映像監督、あるいはデザイナーとは名乗りません。
なぜなら、動画制作だけ、あるいはデザインだけ、で食べていけるだけの収入を得られないからです。
どのスキルを持ってプロというか。
これは名乗ればOKなので他の方がどう名乗るかを語る気もないし、それをとやかく言う気はありません。
あくまでボクの基準としてです。
もし、ボクがこれでディレクションでも食べていけるし、デザインでも食べていけるだけの稼ぎがあれば、両方のプロを名乗るかもしれません。
そうしないのは、ディレクションがプロスキルであり、ディレクターとして生計を立てているからですね。
作業と工程の違いとは
さて、その上で、「プロ」に仕事をお願いする時の「作業」と「工程」の違いについてです。
ボクの中で、「作業」とは目の前にある「他の人からお願いされたこと」を最低限こなすことだと思っています。
言うなら単体。
デザインであれば、指示をベースにそうなるように組み上げていくことですね。
一方で「工程」とは、その「作業」を含めた一連の流れのことを示しています。
つまり、その前後左右に奥行きがある状態。
デザインで言うなら、なぜそのデザインが良いのかを考え、より良いデザインはないかと考え、それを適切に提案する。
クライアントとのコミュニケーションの中で、「作業」を最適化してアウトプットにまで持っていくその全体の流れのことを指しているつもりです。
なので、作業ではなく、工程に価値がある。と言う言い方をしたんですね。
もちろん、作業そのものに価値が全くないとは思っていません。工程はあくまで作業の積み重ねだったり、集合体だったりするわけですから。
こうした奥行きを意識できるのがプロであり、作業と作業の間にこそ価値を生み出す要素がある。と言うことを言いたかったわけですね。
逆に言うと、そこまでの「思考の奥行き」があるからこそプロになれる部分も大きいと思います。
つまり、全体の流れや進行、そうなるべき意味といった立体的な思考ができるからこそ、他者が真似できなかったり、難しかったりすることをかわりに行うことで仕事になる。
つまりプロとなる。と言う感じでしょうか。
なので、さっきのプロの基準の一つが「その業務だけで食べていけること」であるなら、その基準を満たすのは作業の単なる代行ではなく、工程として請け負い、完了できるか、と言う部分が大事だと言いたかったわけです。
信用と信頼とは
もう一つ、似ていて非なる言葉の定義も解説しておきますね。
それがこのツイートに出てくる「信用」と「信頼」の違いです。
広辞苑によると
信用:信じて任用すること。
信頼:信じて頼ること。
と言うのが定義らしいのですが、分かるようでイマイチよくわからないですね。
ボクの中の定義になりますが、「信用」はそのひとの過去の積み上げに対する評価であり、「信頼」はその人の未来に対する期待。と言う感じでしょうか。
つまり、信用を積み重ねていくことで、信頼されるようになる。と言うニュアンスですね。
極端に言うなら、実績も何もない人を信用することはできません。
でも、実績はなくても人柄が良い人を信頼して任せることはできる。
この差は大きいですね。
信頼には字のごとく、頼りにするニュアンスが含まれています。
実績なんかなくても、その人のことを信じて信頼することは出来ます。
信用は過去思考で、信頼は未来志向なんですね。
なので、プロを名乗る以上は「信用」も「信頼」も、どちらも持っているべきだと思っています。
これがボクの中での「作業」と「工程」、そして「信用」と「信頼」の定義の違いです。
普段何気なくやっている仕事でも、「作業」と「工程」の違いを考え、「信用」と「信頼」を積み上げるように意識すると、働き方も変わるかもしれないですね。