ディレクション入門

フリーランスクリエイターが「単価」をあげるための3つの方法

先日開催した東京でのクリエイター交流会の中で、「クリエイター が単価をあげるための方法」について質問があったので、会場でも回答はしましたが、もう少し詳しく解説してみたいと思います。

こちらの「クリエイターの単価の出し方」に関する記事と合わせて読んでもらえたら嬉しいです。

基本的に、単価をあげるためにできることは、ボクの中では以下の3つがあると思ってます。

1、交渉
2、時短
3、拡張

では、一つ一ついってみましょう。

交渉

これは文字通り、「単価をあげてください」あるいは「単価をあげます」とクライアントさんに直接交渉する方法ですね。

確実ではありますが、得意・不得意が大きく分かれる部分かもしれません。

この交渉をするときのポイントとしては、「単価があがることに納得がいく根拠」をちゃんと提示することです。

例えば、慣れてきたから先方の修正指示がかなり減らせてるとか、これまでは先方が用意していた写真素材も一緒にこちらで用意しますよ。みたいな、ちょっとしたことを手伝うことでも良いかと思います。

このときのポイントとしては、「実は自分でやった方が楽だしはやいこと」を取り込むことですかね。

例えば写真とかはクライアントさんがそんなにこだわりがないのなら、送ってくるのを待ってるより、自分で探して作ってしまった方が自分のペースで作業ができてストレスが減る場合があります。

そのあたりの作業まで取り込んで、その分の単価アップを交渉するのは一つの手かと思います。

また、企業単体との交渉はけっこう難しいので、他社さんとの兼ね合いを出して話を進めるのもいいかも知れません。

「最近は他社さんとはこの金額で対応してるので、そちらに合わせたい」と素直に言うのもひとつの手です。

これは「断られたら取引なくなってもいいや」くらいの強気のときにかなり効力を発揮します。

また、「契約時に数ヶ月単位で金額の見直しを行う」という約束をしておくのも手ですね。

「最初は言われた通りの値段でやってみたんですが、ちょっとこの単価では厳しかったです」と、交渉するのが当然の土台を作れます。

コミュニケーションが苦手ではない人は、試してみるといいかも知れません。

時短

これは文字通り、作業スピードをあげる技です。

いま6時間かかっている仕事を3時間で出来るようになれば、単純に単価は倍です。
その分の仕事を追加したら収入は上がるし、余裕をもっておくことで自分のクリエイティブに時間を割くこともできます。

これのポイントとしては、スキルだけの時短ではなく、総合的な時短を目指すのが良いというところでしょうか?

どういうことか?

革命的なソフトが誕生するとしたら別ですが、やはりスキルの時短は正直限界があります。いまの作業スピードを倍にしようと思ったら、少なくとも1~3年はかかる可能性があるし、それでも半分にはできないかも知れない。

物理的な時間の壁、その限界はあります。
なので、それ以外の部分もふくめて見つめ直してみましょう。

例えば打ち合わせに行くのをネット電話にしてもらうだけでもかなりの時短になると思います。

大量のサムネをつくるような、ある程度ルーティーンな作業なら、デザインパターンをいくつか作ってしまうのも手かも知れません。

お決まりで送信するメール本文でさえも、ある程度テンプレ化できる可能性はありますね。

そうした全体工程を見直すことで、ひとつの案件全体の時短を目指すことで、単価を上げてみましょう。

これは細かい作業が得意だったり、システム化、体系化するのが苦手じゃない人向きですね。

苦手な人はそのシステムをつくるほうに時間がかかってしまいます。笑

拡張

最後は拡張です。
言葉の通り、自分のスキルを拡張します。

イラストレーターさんならデザインができるようになる。
デザイナーさんならコーディングができるようになる。
などのスキル・職種の掛け算ですね。

横方向だけでなく、ディレクション領域まで担当できるようになるといった、縦方向の拡張でも良いかも知れません。

スキルアップは単価をあげるためにはとても効果的で、しかも右肩上がりで長く使うことができるので長い目で見たらかなり有効だと思います。

ただ、どうしてもすぐに身になるものでもありません。
そのあたりは少し長期的なビジョンが必要になりますね。

そこでもう一つの手として、自分の持っていない能力の人と組む。という拡張の仕方があります。

イラストレーターさんがディレクターと組んで、自分の得意分野以外を全部お願いする、みたいな感じです。

この場合、ひとつの案件で考えたら、ディレクション料金を上乗せするか、もしくは既存の金額から差し引くか、という考え方になります。
差し引きの場合は単価としては下がります。

ただ、その分得意なことだけに集中して、対応案件を増やせるというメリットがあります。
結果として、単価そのものは下がるかも知れませんが、トータルの収入を上げることができる。

しかも苦手分野をカットするので、2の時短にもなり得ます。
すべてを一人で解決する必要はありません。

このやり方はこの先も新しい時代のフリーランサーの働き方として、もっとメジャーになっていくと思っています。

信頼できるビジネスパートナーを探す。
これは知り合いさえすればけっこう誰でも取り入れることができる手段だと思います。
SNSなどをうまく利用しながら、そのあたりを探ってみるのも良いかも知れません。

得意なやり方をためしてみよう。

今回は3つの「単価アップ」の方法を解説してみました。

ポイントとしては、自分が得意と思える方法を試してみる。ということです。

交渉が苦手なのに無理をするとストレスになるどころか、クライアントさんからの印象を悪くするだけでマイナスになるかも知れません。

細かいシステムをつくるのが苦手なのに、無理して時短をしようとすると、逆に無駄な時間がかかってしまうかも知れません。

まずは自分の得意を知り、それをうまく使ってみるのがおすすめです。

大事なのは「単価をあげよう」という目的をちゃんともって、「トライしてみる」ことです。

まだ余裕があるときから、無理なくその意識を持つことが大事ですね。

クリエイティブの価値はまだまだ、こんなものじゃありません。
業界全体でどんどん声をあげていきましょう。

否定的な声ではありません。
ポジティブに、業界とそこに関わるクライアントさん、みんなハッピーになれるように。

自分たちの単価、立場、価値をどんどんクリエイトして行きたいですね。
なにしろボクらはクリエイター なのですから。

 

ABOUT ME
Andy
we.編集長/Design Offiice io COO./Creative Director|東京⇆京都の2拠点生活。| 企業の経営課題を解決するデザイン・コンサルやクリエイティブ・ディレクションやってます。|ミニマル思考と独特の着眼点で「?」を「!」にする発想・提案が得意。|日本のビジネスにクリエイティブの革命を起こしたい。