上には代理店、さらには代理店の上司、クライアント、クライアントの上司…と参勤交代レベルの大渋滞…下手すると代理店の上に代理店がいたりする時代です。
ディレクションとは名ばかりで、泥水を啜る覚悟でメッセンジャーに成り下がるのは心のそこから悔しいこと。
でも、それはまだクライアントから直指名がくるだけの力がないってこと。
クリエイティビティで会社の大きさに負けるつもりはないのなら、アプローチの仕方は色々あるはず。
クライアント、決済者との直仕事を増やすためにどうするか、それを考え、筋道を立て、実行するのも「ディレクション力」。
新しいビジョン
実は、ボクもとある案件のおかげで、目的とビジョンの解像度が上がった経験がある。
もう、随分前の話だけど、代理店にはできない仕事をする。をテーマにそれが叶うように少しずつ準備を続けてきた。
平成の終わり頃から「チーム」の時代って言われてたけど、それに気がついた人はごく一部で、それを実行した人はさらに一部だと思う。
うちの会社はコロナ前から社員数をギリギリまで絞り、プロジェクトごとにフリーランスのクリエイターさんとパートナーシップを組んで仕事してる。
そういう可変チーム制を提案し、少しずつ実現させてきた。
コロナ禍の不況でもなんとか凌げたのはこうした早めの構造改革のおかげだと思ってる。
最初の一年は難しいかった。信頼出来るパートナーさんの絶対数も足りないし、「社内ならお願いできるちょっとした業務」は自分でやらなきゃならなくなった。
当然、売り上げも下がった。
でも、社員の固定費は減ったから、基礎体力は付いた。
そして今。
ようやく様々な案件に対応出来るだけのパートナーさんと知り合うことが出来た。フリーランだけじゃない。中小零細の会社経営者とパートナーシップを組むことで、より大規模で質の高い仕事をこなせるようになってきた。
実際に案件もどんどん回り始めている。
社内デザイナーでは対応出来なかった「レベルの高い仕事」でも、クリエイティブパートナーさんの腕を信じると受けることができるようになったからだ。
最強の可変式チームの誕生
これからは間違いなく「チーム」の時代。
そして、そのチームを最高の状態で機能させるのが「ディレクター」という仕事だと思ってる。
進捗を管理したり、みんなの意見を聞くだけではダメで、自分の信念と矜恃に基づいて、揺るぎない道を示す。
それに呼応して、最高のパフォーマンスを発揮する。
それがチームなんだと思ってる。
ちなみに、ディレクターとしてプロジェクト進行を行うのに重要なタスクの一つとして「スタッフィング」ってのがある。
これはそれぞれの能力だけじゃなくて、プロジェクトに最適な相性だったり、個性なんかも加味した方がいい。
例えば進捗報告がルーズだけどスキルある人をチームに入れるか否かみたいな判断。
チームを最適に構築するために必要なのは、チームメンバーのスキルだけでなく、個性や相性を把握することだと思ってる。
それがリアル世界だと比較的簡単というか、無意識に判断してたんだけど、今オンラインオンリーになって新しいメンバーさんの個性を探るのにすごく苦労することがわかってきた。
最強のチームって、圧倒的なスキルが集まれば良いってもんじゃないんだよね。
それより、相互補完可能なマルチスキルが集まる方が柔軟で対応も早かったりする。
互いの職能を理解し合ってるからアイディアも掛け算できるし、それぞれがフォローもしやすい。
その人がいないと動かないチームは弱い。
これはボクもそうなんだけど、昔から何でもできるタイプの人は、それを突き進めたら良いと思う。
必ずしも全員がプロフェッショナルを目指す必要はないんだよね。
器用貧乏って呼ばれるタイプの才能なんだけど、磨けば武器になる。
ボクは器用貧乏ではなくポリバレント(万能型)って呼んでる。
さて、そろそろ、受発注だけの上流下流のシステムを超えて、新しいアライアンス構造を武器に、クライアントさんさえもその仲間に巻き込んでいくタイミングだ。
まだまだ楽な時代じゃない。
でも、まだまだ、出来ることはあるはず。
突き進もう!