スニーカーばかり履いていた30代の頃の自分。
New Balance 996、adidasのスタンスミス、コンバースのオールスター──。
どれも“動きやすくて、手間がいらない”という理由で愛用し、何足履き潰したかわからない。
一方で、REGAL、PADRONE、レッドウィング、Danner…。
革靴もいろいろ試してきたけれど、どうしても“自分の靴”にはならなかった。
馴染みきらないまま古着屋で手放すことを繰り返してきた。
そんな僕が40代に入り、ついに“ひとつの革靴”に行き着いた。
スニーカー派ミニマリストの自分でも、心から納得できた一足。
この記事では、その過程と理由を少し丁寧に辿っていく。
▼ 40代で“持ち物を選び直す”理由は、こちらの記事で少し詳しく書いています。
40代ミニマリストは服を減らすのではなく選び直す|服の賞味期限という考え方
1|スニーカーでは“はまらない”場面が増えていく40代
40代に入ると、仕事で対面する相手が変わる。
請け負う案件の規模も大きくなるし、求められる責任も違ってくる。
若い頃は「好きな服でいいじゃないか」と思っていた。
スニーカー、ジーンズ、パーカー──。
どこへでもそのまま行ける気がしていた。
けれどある日ふと気づく。
「いくらジャケパンでも、このスニーカーで初対面は違うかもしれない」
もちろん、スニーカーでもハイブランドなら成立する場面もある。
それでも、洋服の“価格”と“佇まい”は別物だ。
いくらセリーヌのデニムで、いくらグッチのTシャツでも──
初見が与える信頼感は、やはりジャケットと革靴の「整っている感」には勝てない。
僕自身、初めて会う重要なパートナーが全身ストリートカジュアルだったら、軽く身構えるだろう。
ミニマリストだから好きに生きればいい──それは確かに正しい。
ただしそれは、関係性や役割によって成立する“限定的な自由”だ。
表現としてのミニマリストでない限り、TPO意識は持って当たり前だと思う。
相手への敬意は、スタイルにも宿る。
40代の仕事では、その視点を無視できなくなる。
▼ 40代になると“役割に合わせて整える”必要が出てくる。
そんな変化については、以下の記事でも触れています。
40代ミニマリストが年齢という記号を手放す理由|“経験密度で生きる”という選択
2|そんな僕が出会った革靴、whoop-de-doo
スニーカー派の自分が、偶然出会って心から気に入った革靴がある。
whoop-de-doo(フープディドゥ)

このブランドを選んだ理由は、靴そのものだけではない。
“なぜ作られたのか”という背景 に強く共感したからだ。
こんなエピソードがあるらしい。
創業者の加藤冨士逸は、東京・蒲田の靴専門店で育った三男坊。
兄弟全員が靴の道に進み、国内外でブランドを立ち上げる中、
自身も若くしてバイヤー・MDとしてキャリアを積んだ。そんな冨士逸が、ある時こう気づく。
「街には、イケてるオヤジが履ける革靴がない」
紳士靴市場が拡大せず、婦人靴ばかり成長する時代。
そこで冨士逸は決める。「ないなら、俺が作る」
この“反骨の美学”と“ものづくりへの敬意”に、強く惹かれた。
▼ 国産ブランドの“静かな品格”については、腕時計の記事でも書いています。
40代ミニマリストがグランドセイコーを選んだ理由
3|履き心地が、想像以上だった
僕が選んだのはショートブーツタイプ。
最初に驚いたのは、馴染むスピードだ。
- 紐を解かずに着脱できる
- 足首にストレスがない
- 歩き心地が柔らかい
- 革が育つ速度が絶妙
雨の日にやや滑りやすい点だけは弱点。
これはラバーソールに交換すれば改善できるので、次のリペアで試すつもりだ。
何よりも気に入ったのは、
ジャケパンからジーンズまで全部合うこと。
40代の装いに必要なのは、
“何にでも合わせられて、過剰に主張しないこと”。
whoop-de-doo は、そのバランスが絶妙だった。
▼ 革靴と同じく“何にでも合うこと”を基準に選んだバッグの話。
40代ミニマリストはバッグを“1つ”にしなくていい
4|苦手意識は、年齢とともに強くなる。だからこそ試す
革靴が苦手──。
そんな思い込みを、僕はずっと抱えていた。
でも40代になって思う。
苦手こそ、試す価値がある。
年齢を重ねるほど、思い込みや固定観念は強くなる。
だからこそ、ときどき意図的に“揺らす”ことが必要だ。
whoop-de-doo のショートブーツは、
そんな僕の思い込みをひとつ壊してくれた。
来年にはそろそろ買い替えるつもりだ。
けれど迷いはない。
次も whoop-de-doo を選ぶ。
どの型にするか、今から静かに楽しみにしている。
▼ “思い込みを壊す”という意味では、Apple Watchを手放した時も同じ気づきがありました。
40代ミニマリストが“10年使ったApple Watch”を手放した3つの理由
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