結論から言おう。
実は、服は減らしても整わない。
整う人は、服を「役割」で分けている。

少ない服で迷わなくなるために必要なのは、枚数を減らすことじゃない。
その服が「どの時間、どのシーンのためのものか」をはっきりさせることだった。

僕の場合、その最小単位は「4つのモード」だった。

なぜ服を減らしても整わないのか

クローゼットはスッキリしているのに、なぜかしっくりこない。
似たような服ばかり残る。
結局、同じ服しか着ない。
高い服を買っても、日常に馴染まない。

覚えがある人、けっこう多いと思う。
そして、僕もずっとそうだった。

ミニマリズムを取り入れて、服の数を減らした。
でも、「整った」という感覚はなかなか来なかった。

大きな失敗をしたわけじゃない。
ただ、毎回ちょっとずつ迷っていた。

この服は、どの時間のための一着なんだろう。
その境界が、自分の中でぼんやりしていたんだと思う。

当時は、服を2つの基準で分けていた。
ビジネスかプライベートか。
そして、あとは季節に合わせて調整する仕組みだ。

でも、プライベートは一つじゃなかった。
カメラの展示に行く日は、それなりにきちんとした格好をしたい。
海に入る日は、とにかくラフなほうが楽。
同じ「プライベート」なのに、会う人と過ごし方で、欲しい服がまるで違った。

これに気づけたのは、実は15年ぶりにサーフィンを再開したから。
暮らしの振り幅が一気に広がって、2択では収まらなくなった。

振り返ると、僕は服を「数」と「なんとなくの場面」で管理していた。
役割では見ていなかった。

問題は「量」ではなく「混ざっていること」だった

服は、減らせば整うわけじゃない。
問題は、役割が混ざっていることにある。

例えば、仕事の服と、自分のための服の境目が曖昧になる。
あるいは、日常の服と、特別な日の服が同じ棚に並ぶ。
そして、表に出るための服を、普段の生活ですり減らしてしまう。

これだと、何を着ても少しずつズレが残る。

だから、分けることにした。

ミニマリストのワードローブを「4つのモード」に分ける

僕のワードローブは、単純に服の数を減らしたものじゃない。
2つの軸で分けている。

ひとつは「誰に向けて着るか」。
つまり、人に向けた服(対外)か、自分のための服(対自)か。

もうひとつは「どんな時間か」。
これは日常か、非日常か。とも言い換えられる。

2つを掛け合わせると、僕のワードローブは4つに分かれた。

  • 対外×日常=働く
  • 対自×日常=寛ぐ
  • 対自×非日常=遊ぶ
  • 対外×非日常=魅せる

僕はこれを「4つのモード」と呼んでいる。

枚数も決めている。
1つのモードにつき6着。
内訳はアウター1、羽織2、ボトムス2、靴1。
そして、4つ合わせての上限は24着。

ただ、24着を持つことが目的じゃない。
6着という枠があると、
「この服は本当に必要か」
「このモードに何が足りないか」が見えるようになる。
実は大事なのは、その見え方のほうだった。

実際、いまは24着に届いていない。
図の中の空白の枠がそれだ。

① 働くモード(ビジネス):対外×日常

これは仕事、出張、打ち合わせ。
つまり、人に会って、移動して、何かを形にする時間。

会社員だった頃、このモードの中心はTEÄTORAだった。
長く座る。歩く。移動する。
そのすべてを前提にした服は、組織の中で働くにはよく合っていた。

でも、会社を辞めて独立したとき、TEÄTORAもやめた。

独立して、仕事の格好に少しだけ自由が出た。
機能一辺倒じゃなくても、ちょっとスタイルのある服で仕事ができるようになった。

いまの中心は、コム・デ・ギャルソンとディースクエアードのジャケット。
アイテムは4つまで減らした。

正直、このモードはいま組み直している最中だ。
魅せるモードとの境界を、グラデーションとして引き直している。

ただ、服が変わったんじゃない。
働き方が変わったから、服の役割が変わった。
モードは、一度決めたら終わりじゃないんだと思う。

一日人と会い続けても、きちんと見えて、疲れない。
いまの僕がこのモードに求めているのは、それくらいだ。

② 寛ぐモード(デイリー):対自×日常

カフェ、友人と会う時間、なんでもない暮らし。
つまり、誰かに見せるためじゃなく、自分が心地よくいるための服。

中心はTHE RERACS。
RERACSの服は、重力でシルエットが決まる。
動くためというより、立つための服だと思っている。

このモードには、Levi’sとBALENCIAGAも入っている。
そして、ハイブランドを普段着にしているのにも理由がある。

でも、僕の場合はこれでいい。
BALENCIAGAのシャツは濃い色のストライプで、汚れも気にならない。
何より、多少ダメージが入っても、色が褪せても、それが最初からのデザインみたいに見える。

つまり、使うほど味が出るのだから、着倒さない理由はない。

ただ立っているだけで形になって、着倒しても惜しくない。
このモードの服は、そういうものを選んでいる。

③ 遊ぶモード(アウトドア):対自×非日常

サーフィン、BBQ、海。
つまり、誰の目も気にせず、外にいる時間。

コンバース、Dickies、ニット、EDWINのジーンズ。
ここでは、服は何も主張しなくていい。

濡れてもいい。
砂がついてもいい。
気にしなくていいこと自体が、いちばんの機能だと思う。

このモードが明確に確立できたのは、海に戻ってからだ。
4つのうち、いちばん古くて、実は新しい。

④ 魅せるモード(ドレスアップ):対外×非日常

展示、レストラン、表に出る日。
ここでは、服は道具じゃなくて表現になる。

中心はYohji Yamamoto。
日常から、自分を少しだけ引き剥がしてくれる服だ。

着た瞬間、背筋より先に気分が変わる。
このモードに求めているのは、それだけだと思う。

ただ、このモードはまだ完成していない。
足元が決まらない。
靴は全部で3足。4つのモードに対して、ひとつ足りない。

スニーカーだと少しカジュアルすぎる。
ローファーでもいいけれど、もう少し存在感がほしい。

最近、ドクターマーチンやダナーのポストマンが気になりはじめているのは、たぶんそういう理由だ。

なぜこの分け方で整うのか

シーンは毎日変わる。
でも、「誰に向けて着るか」と「どんな時間か」の組み合わせは、だいたいこの4つに収まる。
だから迷わなくなる。

おもしろいのは、モードごとに関わる人もほとんど違うことだ。
展示で会う人は、海での僕を知らない。
仕事で会う人は、カフェでぼんやりしている僕を知らない。

だから、誰かに「ブレないね」と言われたことは一度もない。
そもそも、全部のモードを見ている人がいないから。

服を分けることは、他人にどう見られるかを整えることじゃなかった。
まずは自分がいま、どの時間を生きているのか。
そして、それを自分でわかっていることだった。

4つに分けてみて、いちばん驚いたのは「遊ぶ」の服が独立したことだった。
それまでは、プライベートの中にうっすら混ざっていただけだった。
分けてはじめて、自分の暮らしのどこに服が足りていなくて、どこに余っていたのかが見えた。

ミニマリストの服を4つに分けたら、服選びで迷わなくなった

前は、なんとなく選んで、似た服が増えて、毎回迷っていた。

いまは、ほとんど迷わない。
「着ていく服がない」ということもなくなった。

やっていることは、ひとつだけ。
前日のうちに、明日がどのモードの日かを決める。

仕事なら働く。
友人と会うなら寛ぐ。
海なら遊ぶ。
展示なら魅せる。

モードが決まれば、着る服はもう決まっている。

どの一着にも、なぜそこにあるのかを言える。
それが、いちばん大きな変化だったと思う。

まとめ|ワードローブは「減らす」より「役割」で整える

服は、減らしても整わない。
整う人は、分けている。

誰に向けて着るか。どんな時間か。
その2つで分けると、モードは4つになる。

働く。寛ぐ。遊ぶ。魅せる。

上限は24着。でも、数は答えじゃない。
枠をつくったことで、服の役割が見えるようになった。

一言

服は、コーディネートじゃない。
モードを切り替える装置だ。

どの時間を生きるかで、着る服は決まる。
生き方が変われば、モードも引き直せばいい。

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ABOUT ME
yohaku
余白のある生き方を探しながら、 40代の暮らし・働き方・持ち物を“整える”ための思考を書いています。 ミニマル思考、Quiet Luxury、道具から学ぶ哲学。 心と生活が軽くなる視点を、日々の実践から発信中。 元ドキュメンタリー番組ディレクターを経て、 現在はブランド設計・クリエイティブの仕事に携わっています。 「ものを減らす」の先にある、 “どう生きるか”を一緒に考えるための場所です。