どんなに優秀なメンバーが集まっても、
チームがうまく機能しないことがあります。
「伝えたつもりが伝わっていない」
「全員が頑張っているのに、成果が出ない」
「会議では盛り上がるのに、現場が動かない」
こうした“迷走”は、決して珍しいことではありません。
ただし、その原因は「人の能力」や「やる気」ではない。
多くの場合、問題の本質は──方向づけ（ディレクション）の欠如にあります。
１｜迷走を生む「３つのズレ」
チームがうまく回らないとき、そこには共通して３つのズレが存在します。
それは「目的」「判断」「共有」の３つです。
① 目的のズレ（Why）
そもそも「なぜこれをやるのか」が共有されていない。
経営の意図と現場の理解に温度差があるまま進めば、
チームはそれぞれの“正義”で動いてしまう。
② 判断のズレ（What）
優先順位や基準が曖昧なまま動くと、
メンバーごとに判断がバラバラになる。
「良かれと思ってやった」が積み重なり、全体は逆方向へ進んでいく。
③ 共有のズレ（How）
意思決定や修正の情報が届かない。
誰が何を担当しているのか、どこまで進んでいるのかが不明確になる。
その結果、動きは鈍化し、責任も曖昧になる。
この３つのズレが重なったとき、
チームは「頑張っているのに進まない」状態に陥ります。
２｜ディレクションとは、“目的を翻訳する”こと
多くの人が「ディレクション＝指示」と思いがちですが、
本質は目的を現場が動ける言葉に翻訳することです。
経営が掲げるビジョンやクライアントの要望を、
「誰に」「何を」「どのように」伝えるのかまで具体化する。
この“翻訳”ができないまま進めば、
どんなチームも迷走します。
たとえば──
経営者：「ブランドを浸透させたい」
ディレクター：「誰に？ どんな体験で？ どの媒体で？」
この橋渡しができる人がいれば、チームの動きは一気に整います。
逆に、ここを曖昧にしたまま走り出すと、必ずどこかで空中分解が起こる。
３｜迷走しないチームの「３つの設計」
では、どうすればチームを正しい方向に導けるのか。
その鍵は「言語化」「見える化」「仕組み化」です。
① 言語化：目的を共有する
ゴールを言葉にし、チーム全員が理解できる形にする。
「何を達成するのか」を言葉で握るだけで、判断の9割は整う。
② 見える化：基準を共有する
優先順位や判断基準を可視化する。
どこで止まり、どこまで進むのかを決めておくことで、
メンバーは自律的に動ける。
③ 仕組み化：共有を習慣にする
会議・報告・確認のルールを設計し、
情報の断絶を防ぐ。
進行が“人依存”ではなく“仕組み依存”になることで、迷走が防げる。
４｜Dot.が考える「ディレクション力のある組織」
Dot.では、ディレクションを
“経営と現場をつなぐ翻訳力”と定義しています。
この翻訳力を持つ企業は、
- どんな外部パートナーと組んでも成果が出る
- 社員が主体的に動ける
- プロジェクトが途中で止まらない
という特徴を持ちます。
経営・採用・広報・マーケティング──
どの領域であっても、ディレクションの設計は欠かせません。
「考える人」と「動く人」をつなぐ仕組みが、
組織のスピードと成果を決めるのです。
５｜まとめ：チームが迷走するのは「努力不足」ではなく「方向不足」
人は頑張ろうとすればするほど、
ズレが大きくなることがあります。
それは、努力のベクトルが揃っていないから。
「どこに向かっているのか」を整える。
これがディレクションの第一歩です。
✳️ 次回予告
次回は「“考える人”と“動く人”をつなぐ仕組みづくり」について。
実際のプロジェクト現場で、ディレクションをどう機能させるのかを掘り下げます。
お問い合わせ・無料相談はこちらから