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40代ミニマリストはテレビを持たない|“余白”が生まれる生活のリアル

テレビが必要ですか?と聞かれたら、僕は「要らない」と答える。
もう、10年以上そうなのだから、きっとこれからも変わらない。

テレビを持っていた頃の僕は、テレビ番組の制作ディレクターとして働いていた。
だから、ということでもないが、家にテレビがあるのは“仕事道具の一部”で、持っていて当然だと思っていた。

2013年、制作会社を離れたタイミングで、10年以上使っていたアナログテレビを手放した。
当時は「そのうち買い替えればいい」と思っていたが──
気づけば10年以上、テレビのない生活が続いている。

生活は不便になるどころか、静かに整っていった。
本当に必要だったのは “情報” や “娯楽” ではなく、余白と集中できる時間 だったからだ。

▶︎生活の“静けさ”をつくる感覚についてはこちら
40代からのミニマルライフ|暮らしを整える“思考のシンプル化”

いまではスマホ、SNS、YouTube、サブスクが当たり前。
情報も娯楽もすべて手のひらに集約され、テレビは“必需品”ではなくなった。

この記事では、テレビを持たない生活のリアルと、
テレビを手放すことで何が変わるのかを、40代ミニマリストの視点から考えていく。

1|テレビを手放して見えたもの

テレビをつくる側にいた頃は、
“番組の価値”を信じていた。

バリのサーフィン少年の物語。
スイスのデザイナーの哲学。
震災直後の福島第一原発を、海外フォトグラファーと取材したこともある。

テレビを通して、まだ見たことのない世界に触れることができた。
かつてテレビは“知識の入り口”だった。

しかしその役割は、スマホとSNSに置き換えられた。
1時間の番組に向き合う時代は、静かに終わりを迎えた。

タイパの時代。
映画は倍速で観られ、YouTubeの10分が「長い」と言われる。

動画はショート化し、
情報はリアルタイムで更新され、
視聴体験は断片化していく。

かつてのテレビが持っていた“中心性”は、すでに失われた。

▶︎不要になったモノを手放すと、生活がどう変わるか─その実例は別の記事でもまとめています。
手放した“いらない10のモノ”

2|“ショート”と“ロング”─コンテンツは二極化していく

いま起きているのは明確な二極化だ。

▼ ショート(短尺)

  • YouTubeショート
  • TikTok
  • Instagramリール

→ 速く・軽く・刺激的な体験

▼ ロング(長尺)

  • ブログやnote
  • オーディオブック
  • 書籍

→ 内省・思考・静かな深まり

テレビは、このどちらにも完全には属せない。
だからこそ存在感が薄くなった。

ちなみに、僕はこのブログを ロングメディア として育てている。
静かに思考と向き合うための場所として。

持たない暮らし」の静かな豊かさについては、こちらで深く掘り下げています。
「持たない暮らし」は孤独じゃない。40代ミニマリストの静かな豊かさとの付き合い方

3|テレビが必要かどうかは「生活の価値観」で決まる

テレビを手放して10年以上。
その変化は明確だ。

▼ テレビなし生活で変わったこと

  • 部屋が広くなる
  • テレビ台・配線が不要
  • ほこりが圧倒的に減る
  • “なんとなくつける”がゼロ
  • 必要な情報だけ自分で取りに行く習慣がつく

情報・デバイスをミニマルに整える具体例はこちら。
iPad miniは最強のミニマルツール
必要な家電5つ|最小構成で暮らす方法

特に大きかったのは、
“ながら視聴”が完全になくなったこと。

惰性でテレビを流すだけで、1日の集中力は削られていく。
それがゼロになるだけで、生活の密度は大きく変わる。

テレビが時代に合わなくなったのではなく、
生活のテンポがテレビを追い越した。

4|テレビがなくて困ることは、一つもない

実は、生活の変化だけではなく、デメリットすらなかった。
そう、この10年、困ったことは本当にひとつもなかったのだ。
むしろメリットの方が圧倒的に多いと感じた。

  • 置き場所に悩まない
  • 掃除が楽
  • 引っ越しが軽い
  • 無駄な視聴時間がゼロ
  • NHK料金も発生しない

惰性でテレビを所有する理由は、実は今の時代にはほぼ残っていない。

40代以降は“モノではなく価値観”を見直すことで、暮らしは大きく変わります。
やりたくないことを削る思考|余白を取り戻すミニマルマインド

5|テレビを手放して得たものは画面ではなく“余白”

僕にとってテレビを手放したのは、
単なる断捨離ではなく、生き方の再設計だった。

惰性で所有し、
惰性で眺め、
惰性で時間を失う。

その「なんとなく」を取り払ったことで、
人生の密度は確実に上がった。

実際に手放して得たのは、
画面ではなく 静けさ と 余白。

40代に必要なのは、モノではなく“時間の使い方”をデザインすること。
テレビは、その静けさを取り戻すきっかけになる。

もし、今テレビを手放そうか迷っているなら、まずは一週間、テレビの電源を抜いたまま過ごすのはどうだろう?
あるいは画面に布をかけてしまってもいい。
それで必要かどうかがわかる。
必要なら、また使えばいい。

人生は、何事もトライアンドエラーなのだ。

合わせて読みたい

手放した“いらない10のモノ”|暮らしのノイズを減らす方法
 → 不用品を減らすメリットを体系化

40代ミニマリストのワードローブ選び ─ 服は“使い潰す”から美しい

 → 「所有するモノの質」を見直す話

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ABOUT ME
yohaku
余白のある生き方を探しながら、 40代の暮らし・働き方・持ち物を“整える”ための思考を書いています。 ミニマル思考、Quiet Luxury、道具から学ぶ哲学。 心と生活が軽くなる視点を、日々の実践から発信中。 元ドキュメンタリー番組ディレクターを経て、 現在はブランド設計・クリエイティブの仕事に携わっています。 「ものを減らす」の先にある、 “どう生きるか”を一緒に考えるための場所です。