ブランドがメディアになる時代へ
かつてメディアといえば、新聞・雑誌・テレビ・ラジオ、そしてウェブサイトなど、
一方通行で情報を届けるための装置でした。
受け手にできることは「受け取るか、無視するか」だけ。主導権は常に発信者にありました。
しかしSNSの登場は、この流れを根本から変えました。
コメントやシェアによって情報が多方向に広がり、受け手もまた発信者になれる時代。
メディアは今や、単なる情報発信装置ではなく「共感を生むプラットフォーム」へと進化しています。
自分が見てきた“メディアの進化”
私はキャリアをテレビ番組のディレクターとしてスタートしました。
映像を通して「伝えること」に全力で取り組んでいた当時、発信と受信は完全に一方通行。
番組を作り、放送して終わり。視聴者の反応は視聴率とお便りくらいしか見えませんでした。
その後、WebとSNSの世界に飛び込みました。
企業サイトやSNS運用、ブランド動画の制作を通じて、受け手が発信者になり、双方向で価値を生む流れを実感しました。
ときに炎上し、ときにバズる。そんなスピード感とリアルタイム性は、テレビ時代にはなかった感覚でした。
そして気づいたのは、ブランドそのものがメディア化しつつあるということです。
企業公式SNSやYouTubeチャンネルは、今やニュース媒体のように情報を届け、ブランドの姿勢や価値観を発信する場になっています。
なぜブランドがメディアになるのか
ブランドがメディア化する背景には、SNSとデジタル技術の進化があります。
従来のブランドは商品やサービスの象徴でしたが、今では価値観を共有し、共感を生むためのプラットフォームとして機能するようになりました。
かつてブランド選択の基準は「品質」や「価格」でした。
しかし現代では「共感」「価値観の一致」が重要視されています。
AppleやNikeはその好例です。
製品そのものだけでなく、哲学やビジョンを発信することで、ブランド自体がコミュニティの中心となり、強いファン層を形成しています。
キャリアにどう関係するのか
この「ブランドのメディア化」は、企業に勤める人や個人事業主にも直結する流れです。
企業に勤めるならブランドのストーリーを理解し、SNSや社内外の発信に関与できる人材は重宝されます。
広告費を大量投入する時代よりも、自社発信力が業績を左右する時代になったからです。
フリーランスや個人事業主なら自分自身がブランドであり、同時にメディアです。
自分の価値観を発信し、共感するコミュニティを作ることが営業力に直結します。
私自身も、テレビ → Web → SNS → ブランド戦略というキャリアを通して、
「コンテンツ制作スキル × ブランド価値を伝える力」が、自分の仕事を広げる最大の武器になることを実感しました。
ブランドをメディアにするための戦略
共感を生むストーリー設計
商品説明だけでなく、ブランドが持つ哲学・ビジョンを言語化しましょう。
コミュニティ設計
SNS・ブログ・YouTubeなど、参加型の発信の場を用意しましょう。
メディア化を支える個人スキル
ディレクション、コピーライティング、写真や動画編集スキルを磨くだけで、市場価値は大きく上がります。
まとめ
ブランドのメディア化は、企業だけでなく働く一人ひとりにも「発信者としての視点」を求めています。
自分の価値観を言語化し、発信し、共感を得る。
このスキルはこれからの時代を生き抜くうえで必須のものです。
あなたの所属するブランド、あるいはあなた自身のブランドは、どんな発信をしていますか?
もしこれから挑戦してみたいと思ったなら、今がそのタイミングかもしれません。