キャリアの悩みは、40代になるともう一度やってくる。
- このまま続けていいのか
- 自分には何ができるのか
- この職種で一生戦えるのか
そんな問いに向き合うたびに思う。
もっとも重いのは「肩書き」だ。
持ち物より、情報より、時間よりも重い。
だからこそ、ミニマル思考で考えたい。
そして──
キャリアのミニマル思考で最初に捨てるべきものは、
実はその“肩書き”だったりする。
1|僕を止めていたのは“転職の壁”ではなく“自己定義”だった
30歳になった当時、僕はテレビ番組制作ディレクターとして働いていた。
過密なロケスケジュールに追われ、
深夜の編集室では連日のコンビニメシ。
プロデューサーの意向で台本を直す日々。
でも、この生活こそが自分のアイデンティティであり、
未来もその延長線上にあるはずだと思っていた。
ただ、心のどこかではこう感じていた。
「この肩書きは、本当に自分を前に進ませているのか?」
ニュースの速報性はTwitterに追い抜かれ、
エンタメはYouTubeに移り始め、
テレビの存在感は確実に変わりつつあった。
それでも動けなかった理由は、業界が違うからではない。
“テレビの人間じゃなくなる自分”を受け入れるのが怖かった。
外側の壁より、内側の固定概念のほうがずっと強烈だ。
2|肩書きを捨てた瞬間、キャリアが一気に軽くなった
33歳のとき、父が病気になった。
その出来事をきっかけに、僕は人生を一度リセットした。
東京を離れ、地元・福岡へ戻る決断をした。
福岡でもテレビマンとして働く道はあった。
実際に就活もしたし、いくつかの局から内定ももらっていた。
でも最終的に選んだのは、内定の中で一番給料が安かった“ウェブ制作会社”だった。
思い切ってWeb業界に飛び込んだ日、
仕事は変わったのに、自分の重さがストンと落ちた。
テレビマン → Webディレクター。
そんな肩書きの変化より、
なんとなく重かった「自己定義」が一枚剥がれ落ちた。
その瞬間から、点だった経験が線になり始めた。
- 番組構成 → Webのストーリー設計
- 映像演出 → ブランド戦略
- 編集リズム → SNS構成
- 取材力 → 全体ディレクション
職種を変えたのではなく、
肩書きの呪縛から解放されたことで経験が統合された。
3|ミニマル思考が残してくれたのは“スキル”ではなく“軸”だった
Webに来て最初の案件は大学サイトのディレクション。
当時はまだPC前提の時代だった。
でも僕は、なぜか最初から スマホ前提 で組んでいた。
考えてそうしたのではない。
ただ、それが自然だった。
このとき気づいた。
本質思考、構造化、余白の感覚──
それは“職種のスキル”ではなく、自分の“軸”だった。
ミニマリズムとは、
持ち物を減らすことではなく、
「自分を規定する余計なラベルを削ること」。
ラベルが消えたあとに残る“核”こそ、キャリアの本質だ。
4|経験の価値は「年齢」ではなく“密度”で決まる
「30代で異業種は遅いよ」
当時よく言われた言葉だ。
でも本当にそうだろうか?
年齢はただの数字。
経験は、濃度 で決まる。
1年で10年分進む人もいれば、
10年いても1年しか進まない人もいる。
僕が異業種転向できた理由は、
年齢でもスキルでもなく、
情熱 × 集中 × 吸収量
この“密度”が高かったからだ。
福岡でWebを学び、
デザイン、SNSコンテンツ設計、広告戦略を吸収した。
父の病気が回復した頃、再び東京へ。
東京支社を任され、その支社の独立がきっかけで、
今の会社の代表になった。
そして今は、企業のブランド設計やプロモーション戦略を担当している。
おそらく、テレビマンを続けていたら辿り着けなかった未来だ。
40代になった今、心から思う。
遅すぎることなんて、ひとつもない。
今日が一番若い。
5|肩書きを捨てるとキャリアは“組み換え可能”になる
僕のキャリアは、常に
自分の軸 × 新しい領域
の掛け算で更新されてきた。
- テレビ構成 × Web
- 映像演出 × ブランド戦略
- 編集力 × SNS
- 取材力 × コンサル
- メディア思考 × 経営
肩書きベースで生きていたら、
この自由な“組み換え”は不可能だった。
キャリアのミニマリズムとは、
職種ではなく、本質で働くこと。
肩書きが軽いほど、キャリアは自由になる。
6|これからの時代、本質で戦う人が強い
あなたは何者なのか?
職業名では説明しきれない時代に入っている。
・構造化できる
・言語化できる
・ストーリーが描ける
・編集できる
・余白をつくれる
こうした「抽象スキル」こそ、
どの職種にも移植できる普遍的な力だ。
肩書きの外側にある能力こそ、あなたの本質。
結論:キャリアは「足す」と重くなり、「削る」と自由になる
僕が転職に成功した理由は、
“職種を変えた”からではない。
自分を規定していた“肩書き”を捨てたからだ。
肩書きを削るということは、
自分の人生の編集権を取り戻すということ。
・年齢ではなく、経験の密度で生きる
・肩書きではなく、本質で戦う
・今やらないなら、いつやるのか
40代は、“キャリアのミニマル化”を始める最高のタイミングだ。
余計な肩書きを削ったとき、
本当に生きたいキャリアの形が見えてくる。
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