ディレクション入門

これがウワサの「Clubhouse」新しい時代の新しいSNSを少しだけ試してみた。

ここ数日、界隈を賑わせているワードに「Clubhouse」があります。
音声式Twitter、みたいな言われ方もしていて、スタートアップ界隈やインフルエンサー界隈のアーリーアダプターたちがこぞって参加して盛り上がっています。

ご多分に漏れず、新しいもの好きのボクも招待をしていただきまして、先日からちょいちょい使ってみたりしています。

最初は感想を軽く呟くつもりが、結構濃い内容の話になりそうだったので、記事にしました。
まずはひとまずさわりだけでも使ってみたClubhouseについての、あくまで個人的な主観を記事にて述べたいと思います。

残酷なまでのヒエラルキー可視化SNS

ボクが最初にClubhouseを触った時の直感的な感想は「リア充優先型プラットフォーム」だな、でした。
なによりまず目についたのは「ヒエラルキーの可視化」だったからです。

まず、招待されないと入れないという承認制を導入している部分。
明らかにコミュニケーション能力が必要で、友人が多い方が有利に働く、つまりはリア充優先型の仕様になっているわけです。
かつてのミクシーを思い出しますね。
これは招待されることそのものが一つのステータスになりますし、招待する側も人を選ぶという意味になります。
もちろん、そこまで考えなくて招待してる人もいるかもですが、基本の招待枠は2枠しかないとなると、やはり誰を招待するかは選ぶわけですね。
SNS登録の段階で、言い方は悪いですがある種の選択を無意識に行っていることになるわけです。

さらに、トーク画面に遷移しても、このヒエラルキー構造は続きます。

一番上にはスピーカーとなる、「話す人たち」のアイコンが並びます。
オーディエンスは聞くのみで、コメントなどを入れる機能はありません。
これはウェビナーにも近い構造なのでそこまで気にはならないのですが、その下に表示される「オーディエンス」のアイコンの仕分けにも一癖あります。

先行して表示されるのは「スピーカーにフォローされている」アイコン。
で、その下に「フォローされていないアイコン」が並ぶわけですね。
これ、ユーザビリティとしてはすごく理解ができます。
スピーカーはオーディエンスをスピーカー側に変更できる権限を持つので、知り合いが上にいた方が対応しやすい。
一方で、これはわかりやすいくらいのコミュニティヒエラルキーの可視化にもつながります。
人気者をわかりやすく可視化する、そんなUIだなぁと感じたのはこの部分です。

スピーカーについて

今の時点では、トーク内容はインフルエンサーさんたちの雑談を聞くのが主流かなと思います。
そのうちビジネスハックとか、儲けるためには、みたいな講義的な発信をする人は間違いなく増えてくるはずですが、現時点ではすごく緩い空気でいい感じです。
初期のTwitterの「むくり。」みたいな他愛のない呟き、その続きを聞いているような感覚ですね。

ただ、スピーカーとして続けるにはエネルギーが必要だなとも感じます。
インフルエンサーと聞く専はそれぞれのポジションで固定されるとして、その中間層が苦しい位置取りになることは間違い無いですね。
発信はしたいけど、特に何かしらのネタが無い場合、「ファン化」の出来ない中間層は時間と共に去りそうな気がします。

もちろん、全くの無名からトーク一つでのし上がるボイスインフルエンサーも誕生するとは思います。
ただ、今のところバズの無い仕様上、一攫千金的な出世は難しく、日々コツコツ配信を続けるしかなさそうですね。

ユーザーの裾野が増えれば増えるほど、インフルエンサーの独壇場になる気はしています。

オーディエンスについて

さて、聞く専の人にとって、このSNSはどうなのでしょう?
きっと、ここのニーズは一定数あると思ってます。
自分は話さないけど、有名人、著名人、インフルエンサーの話を聞いていたい人たち。
この層はいなくならないし、むしろ今後のClubhouseを支えていく重要なクラスターだと思います。

今後、声優さんや俳優さん、音楽系の人など「音や声」を専門に使う人たちがどんどん流入してくる可能性は高いです。
そうすると、トーク以外の売り物が増えてくる。
もし再生回数(リスナー数?)に応じて課金されるようなマネタイズシステムが導入されるようなことがあれば、このSNSはラジオ版YouTubeとして一気に膨れ上がる可能性がありますね。

テキストのTwitter、写真のインスタグラム、動画のYouTubeときて、音声のClubhouseとして、それぞれの特性を生かしたマトリクスを形成していく可能性は高そうです。
これはVoicyとかではリーチできなかった部分で、「一方的な配信」から「誰でも参加できる」という枠を広げたところでの効果は凄まじいものがあります。
(もちろん、一方的な配信もできる)

時代が変わった?

オンラインが主軸になった一年を過ごして、ボクらの価値観も大きく変わったような気がします。

これまでは個々人が自分の可処分時間をどう分配するかを考えていたけど、Clubhouseの登場で、可処分時間の共有が始まったからです。
昭和にテレビが始まる時間に家にいるのが当たり前だったことをいつでも視聴可能なウェブ動画は痛烈に否定しました。
時間に縛られることに価値がないと判断した人たちが多かったわけです。

でも、このClubhouseは完全にライブ配信オンリー。
参加者の可処分時間を否応なく消費していきます。
スピーカーもオーディエンスも関係なく。
これってちょっとすごいことだと思うんです。

コロナ禍にあって、人と人との繋がりが絶えたからこそ、この気軽に繋がれるシステムが流行っているのかもですね。
近所の喫茶店に行けば誰かがいて、そこで気軽に話して息抜きして帰る。そんな三丁目の夕日的な時間の使い方を多くの人がウェブに求めているのかも知れません。

Clubhouseはこれからどうなる

さて、Clubhouseはこれからどうなるか、という部分。

まずはアーリーアダプターである起業家やインフルエンサー界隈がどこまで長くこのサービスを使うかが一つのポイントになりそうですね。
数ヶ月は熱量だけで盛り上がりそうですが、夏くらいには失速する可能性が高い。
なぜなら可処分時間が尋常じゃなく高いからです。
忙しい人ほど続けにくい。

これを続けるための施策として、一つはマネタイズ機能があると思います。
ビジネスになるなら使い続ける人は出てくる。

もう一つはシンプルに大衆化ですね。
もっともっと、多くのユーザーが増えていくとして、その中から新しいインフルエンサーが誕生する可能性は高いです。
声や話術で人を魅了する人。
でも、YouTubeでやるような撮影や編集技術は不要なわけです。
そのスキル部分に二の足を踏んでいた人の参入は、新しいSNSの確立を宣言する可能性があります。

可能性のメディア

いいも悪いも含めて、Clubhouseは可能性のメディアですね。
これは過去にFacebookやTwitterが出現した時も同じだと思います。

結局、何を使うかではなく、どう使うか。

声や音声を主役にした新時代のSNS、新時代のプラットフォームがここからどう進化するのか、とても楽しみです。

ボクもそのうちふらっと配信でもしてみようかな。

あ、コラボ配信してくださる方、募集しておりますっ
何か緩くやりたいですね。

それではまた。

ABOUT ME
Andy
we.編集長/Design Offiice io COO./Creative Director|東京⇆京都の2拠点生活。| 企業の経営課題を解決するデザイン・コンサルやクリエイティブ・ディレクションやってます。|ミニマル思考と独特の着眼点で「?」を「!」にする発想・提案が得意。|日本のビジネスにクリエイティブの革命を起こしたい。