「戦略」と「クリエイティブ」を分業しない”ブランド戦略”という考え方
「ブランディングはもういらない」と語る声が、最近増えてきたように感じる。
とくにスタートアップやD2Cブランド、プロダクトファーストの開発現場では、「いいものを作れば売れる」「中身で勝負」という価値観が根強くある。もちろん、それは一理ある。
しかし本当にブランディングは不要なのか?
答えはNOだ。
実はこの「ブランディング不要論」、一見合理的に見えて、多くの誤解を含んでいる。
むしろ、本当に成功している企業ほど、目に見えないところでブランド構築に長期的な投資をしている。
ブランドは「意図せずにできてしまう」もの
まず大前提として押さえたいのは、ブランドとは意図せずとも形成されてしまうという事実だ。
企業が何もしなくても、世の中はその企業のイメージを勝手に作り上げていく。たとえば、過去の対応、プロダクトの印象、SNSでの言動やニュース記事、どれか一つでもポジティブ・ネガティブな印象があれば、それがブランドとして定着してしまう。
この「勝手にできてしまう」ものを放置しておくのは、極めてリスクが高い。
一度ついてしまったマイナスイメージは、戦略的に介入しない限りなかなか払拭できない。
だからこそ、戦略的にブランドをデザインする必要がある。
それは単なる表面的なデザインの変更と注目度のアップなどではなく、長期的なブランド資産形成に直結する行為だ。
なぜ選ばれるのか?価格以外の理由を設計する
現代のマーケットでは、もはや価格だけで勝てる時代ではない。
類似商品や競合サービスが無数に存在する中で、消費者は「なぜそれを選ぶのか」という理由を必要としている。
その答えを提供するのが、ブランド戦略だ。
信頼できる企業であること。
理念やスタンスに共感できること。
その企業だからこそ価値があると感じること。
こうした無形の要素が、意思決定の決め手になる。
つまり、商品やサービスが売れないのは機能や価格ではなく、「ブランドイメージが届いていない」可能性が高い。
これはBtoCに限った話ではない。
BtoBにおいても、取引先やパートナーは企業文化や姿勢を重視する。
企業文化とブランド戦略の融合が、信用を生むのだ。
「戦略とクリエイティブを分業しない」ことが鍵
ここで見落とされがちなポイントがある。
それは、戦略とクリエイティブを分業しないこと。
戦略だけを立てて終わるのではなく、それを体現するクリエイティブ(ビジュアル、言葉、UXなど)まで設計し、ディレクションする必要がある。
表面的にロゴを変えたり、キービジュアルを刷新しても、それがブランド戦略と結びついていなければ、社内外には一貫性として伝わらない。
クリエイティブはただの装飾ではない。
戦略の出口であり、接点であり、メッセージそのものだ。
さらに言えば、それは社内に対しても重要だ。
ブランドがしっかりとデザインされていれば、企業文化の浸透にもつながる。
社員の行動、判断、言葉の選び方にまで統一感が生まれ、組織の一体感を強める。
ブランディングは「不要」ではなく、「見えにくい投資」
最後に強調したいのは、ブランディングは短期的な効果を求めるものではないということ。
広告のように即効性がある施策ではないが、時間をかけて蓄積されるブランド資産こそが、最も再現性があり、競合が真似できない価値になる。
だからこそ、戦略とクリエイティブを一体化させて、自社にしか出せないメッセージを一貫して届けていく必要がある。
今の時代、「分業しないブランド戦略」こそが、企業の武器になる。
まとめ〜成功企業に共通する“静かなる武器”〜
- ブランドは放っておいても形成される。だからこそ丁寧に設計すべき。
- 「なぜ選ばれるのか」の理由をデザインすることが、これからの競争力になる。
- 戦略とクリエイティブを分業せず、一貫性のあるアウトプットを行うこと。
- 社外だけでなく、社内文化の形成にもブランディングは効果を持つ。
- 短期的ではなく、長期的なブランド資産形成が、企業の持続的成長を支える。
「戦略とクリエイティブを分業しない」――この視点から、あなたのブランド戦略を見直してみてはどうだろうか。
もし、上手く行っていないと思うなら、お気軽にご相談を。
それではまた。