「フランス人は服を10着しか持たない」

そんなフレーズに影響されて、
できるだけ少ない服で暮らすのがミニマリストだ、
という固定観念はいまだに根強い。

実際、僕も服を10着まで減らして暮らしていた時期がある。
30代も半ばを過ぎた頃。
当時も都内でWeb広告系の会社員として働いていた。

服装の自由度は高かったが、
取引先は大手企業が多く、年上の方と会う機会も多かった。

同世代相手ならポロシャツにジーンズでも成立するけど、
TPOを意識して、基本はジャケパンを選ぶようにしていた。

今振り返ると、
当時の僕は「かなり尖ったミニマリズム」を
実践していた時期だったと思う。

ただ正直に言うと、
服10着の暮らしは、思っていた以上に不便だった。

一般的な会社員として暮らすミニマリズムと、
減らすこと自体を価値とするミニマリズムは、
実は最適と言える前提がかなり違うのだ。

もしあなたが、
社会生活の常識をある程度キープしながら、
自分なりに最適化されたミニマリズムを探しているなら、
この話は少し参考になるかもしれない。

一つ目の失敗|洗濯回数が多すぎた

当時のワードローブは、ほぼ次の構成だった。

  • シャツ2枚(ビジネス用/プライベート用)
  • ボトムス2枚(ビジネス用/プライベート用)
  • ジャケット1着
  • コート1着
  • パーカー1着
  • ダウン1着

靴と下着は別として、
ワードローブとしてはこれだけ。

この状態で週5日出社の生活を回すと、
とにかく洗濯回数が増える。

当時は乾燥機付き洗濯機を使っていたため、
「乾かない」「着るものがない」という事態にはならなかった。

それでも体感としては、常に洗濯している感覚に疲弊した。
夜中に乾燥機が終わらない日は、睡眠の質も地味に落ちていた。

シャツは黒を選んでいたが、
さすがに5日連続で着続けるのは冬でも厳しい。
ボトムスも1週間が限界だった。

そして何より下着。
下着は10着カウントに含めていなかったものの、
3日分しか持たないルールにしていた。
なので、最低でも2日目の夜には洗濯が必須になる。

このとき気づいたのは、数を減らすことより、
生活リズムに合っているかどうかの方が重要だということだった。

洗濯の負担を減らす考え方については、
別の記事で「乾燥機に頼らない洗濯」という視点から整理している。

二つ目の失敗|服の使用頻度が偏りすぎた

ビジネス用の服は週5日以上着ているのに、
プライベートウェアの出番は月に1〜2回。

せっかく一軍服だけで揃えているのに、
このアンバランスさが、地味にストレスだった。

仕事中心の生活だと、
均等に着回そうとすれば、
プライベートもビジネス寄りの服になる。

ただ、僕の趣味はアウトドア寄りだ。
社会人バスケをメインに、時にはスノボ。
あるいは友人とのBBQでも、
ジャケットで行くことは現実的ではない。

本人が気にしなければいい、という話でもなく、
単純に動きにくく、汚したくもない。

逆に、ラフな服ばかりを優先すると、
美術館やレストランでのデートでは浮いてしまう。

20代なら気にならなかったかもしれない。
でも、30代半ばになると、
大人としての分別も意識せざるを得なかった。

40代になった今なら、なおさらだ。

この問題は、消耗服は下着と同じレベルに区分して、
「10年着る服」を、10着“まで”持つ
というマイルールを設定することで落ち着いた。

詳しくは、次の記事で整理している。

参考記事:40代ミニマリストの「10年服」7選|消耗品と定番を分けるとクローゼットは一気に軽くなる

三つ目の失敗|日本の気候変化に対応できなかった

最近の日本の気候は、明らかに変わっている。

まず夏。
暑さが尋常ではない。
2年前からは、40代の僕ですら、
日傘を使うようになった。

そうなると、夏の装いも変わる。
これまで薄手のスラックスで済んでいた場面でも、
ショートパンツが必要だと感じるようになった。

一方で冬。
ダウンの出番は、年に1〜2回あるかどうか。
1月でも15度を超える日が珍しくない。

高級で分厚いダウンを大切に着続けるのも大事だが、
嵩張ることを考えると、
薄手のコート+インナーダウンや、
高機能なスノーボードウェアの方が合理的に感じる。

そして、服が少なすぎると、
こうした気候変化への組み替えが難しい。

一つ足すだけで全体バランスが崩れ、
急に買い足した服ほど、手持ちアイテムから浮いてしまう。

実は服には、
ある程度の組み合わせの余白が必要なのだ。

まとめ|減らす前に「自分の最適量」を知る

ミニマリストに憧れて、
服を一気に減らしてみる。
もちろん、その気持ち自体を否定するつもりはない。

ただ、一度立ち止まって考えてみてほしい。

  • 本当に暮らしは快適になっているか
  • 管理は楽になっているか
  • 以前より、生活は軽くなっているか

闇雲に減らすより先に、
自分にとっての最適量を知ることの方が重要だった。

例えば、パッキングパーティーを試してみるのも一つの方法だ。

参考記事:40代ミニマリストの服の減らし方|パッキングパーティー1週間検証記録

他人が提示する「理想のミニマリズム」が、
そのまま自分の最適解になるとは限らない。

自分の暮らしに合う量は、
実際に暮らしてみて、少しずつ見えてくる。

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ABOUT ME
yohaku
余白のある生き方を探しながら、 40代の暮らし・働き方・持ち物を“整える”ための思考を書いています。 ミニマル思考、Quiet Luxury、道具から学ぶ哲学。 心と生活が軽くなる視点を、日々の実践から発信中。 元ドキュメンタリー番組ディレクターを経て、 現在はブランド設計・クリエイティブの仕事に携わっています。 「ものを減らす」の先にある、 “どう生きるか”を一緒に考えるための場所です。