ドラゴンボールビジネス論

ドラゴンボールビジネス論11 セルに学ぶ、スタートアップ企業の成長戦略

ドラゴンボールの世界で、もっとも成長スピードが早かったセル。
最初はピッコロにすら歯が立たなかったのに、最後はスーパーサイヤ人のベジータを圧倒するまでになりました。
今回は、そんなセルから成長戦略を学びましょう。

戦略①圧倒的に数をこなす

セルが自分のパワーをあげるためにまず行なったことは「人間の吸収」でした。
これを愚直に数をこなすことで自分の戦闘力の底上げを行います。

やがてその戦闘力はピッコロを凌ぐまでに膨れ上がりました。
ピッコロが「いったい何人の命を犠牲にしたのだ」と驚いています。

ここで大事なのは、基礎ができるまでひたすらに数を追った点です。

サービスや組織を立ち上げたばかりの頃はがむしゃらにがんばれたとしても、どうしてもどこかでその頑張りに陰りが見えることもあるでしょう。

そんなとき、とにかくひたすら愚直に数をこなし、自分たちの基礎力をあげ続けることができるかどうかで、その後の成長曲線の伸びが変わってくるでしょう。

ひたすら営業をかける。
ひたすら情報の発信を続ける。
ひたすらサービスのユーザーを増やす。

それぞれでやるべきことは違うかも知れませんが、自分たちのスキルやユーザーを右肩上がりに伸ばすためには「数」をこなしましょう。

戦略②先人の真似をする

セルは、自分が完全体になるまでは、徹底的に人の技を真似ました。
「かめはめ波」や「太陽拳」などがそうです。
かめはめ波にいたっては、ピッコロに「ホンモノだ!」と言わしめる完成度を誇っていました。

スタートにおいて「真似る」というのはとても重要で効果的です。
誰しも最初は素人です。そこからいろんなことを学び、吸収して成長していきます。

それはスタートアップも同じ。

そのときに、参考となる先人の知恵や技術、方法論があるのなら、それを徹底的に「真似る」ことが成長への近道となります。

これは「守破離」の考え方にも通じる部分ですね。

「守」は、師や流派の教えや型、技を忠実に守り、確実に身につける段階のことです。
どんどん真似をして、それこそ「完璧」と言われるくらい自分のものにできて初めて、自分のオリジナリティを乗せていくことができるわけです。

けっこうみんな早々にオリジナリティを出そうとして失敗します。
我慢が大事です。

戦略③走りながら考える

セルがこれまでの敵と一味違ったのは、その思考の深さでした。

ただエネルギー波をぶっ放すだけでなく、気配を消したり、確実に勝てる戦闘力を得るまで緻密に計算して行動していました。

このシーンではまさに文字通り「走りながら考えて」います。
これも大事なポイントです。

スタートアップの企業はとにかく走り続ける必要があります。
数をこなしながら、先人を真似て、走ります。
ただし、ガムシャラに走るだけでは成長は望めません。

そう、PDCAを適切に、しかも高速で回しながら走り続ける必要があるのです。
これが「走りながら考える」という部分です。

活動は止めず、思考も止めず、ただし、しっかりと自分たちの行動、成長を分析しながら軌道修正ができているか、今一度見つめ直してみましょう。

間違った方向に全力で走り続け、そこで立ち止まるようなことがあっては満足のいく成長曲線は描けないでしょう。

大きな目標と、途中の中期目標をしっかり意識したいですね。

戦略④優秀な人材をスカウトする

数をこなし、真似をし、走りながら考えた結果、セルは人造人間を凌ぐ戦闘力を手に入れました。
そこで次にしたことが、人造人間17号の吸収です。

これは完全体を目指すセルにとっての中期目標の達成にあたると思います。
結果としてセルは飛躍的な成長を遂げました。

スタートアップ企業で考えるなら、このフェーズが守破離の「破」にあたる部分ですね。
「破」とは、他の師や流派の教えも学び、そこから良いものを取り入れ、心技を発展させる段階です。

企業でいうなら、基礎力がついて、次の拡大戦略を考えた時、能力の高い人材をヘッドハンティングするイメージ。
当然ですが、優秀な人材の獲得は、ここまで積み上げてきた「守」の部分があるからこそです。

現状がすでに魅力的で、さらに未来の可能性に溢れ、「合流したい」「一緒にやりたい。」と思わせるだけの準備を忘れないようにしましょう。

セルにも「完全体」を目指すというあくなき上昇志向がありました。

戦略⑤楽しむことを忘れない

人造人間18号まで取り込んだセルは完全体になりました。これで初期の目標は達成したわけです。

しかし、セルはここで満足しません。トランクスにさらなるパワーアップは可能かと尋ね、武道大会を開催すると宣言します。

これらはすべて、自分が「楽しむ」ためでした。

スタートアップ企業も順調に成長し、利益が出始めるとどうしても利益最優先の考えに陥りがちです。

このときに大事なのが、「楽しむ」という当初の情熱を思い出せるかどうかです。
お金がなくても、夢と熱量だけで駆け抜けたあの日々。
自分たちの原点に立ち戻ることで、さらなる成長が目指せます。

戦略⑥子会社化

完全体となり、史上最強の力を手に入れたセルは、自分の分身とも言うべき「セルジュニア」を生み出しました。


ジュニアと言いながらも、個々の能力は非常に高く、超サイヤ人のベジータですら互角の戦いを強いられました。
これはセル本人の完成度の高さがあってこそです。

スタートアップ企業で言うなら、ここがついに守破離の「離」の段階ですね。
「離」は、一つの流派から離れ、独自の新しいものを生み出し確立させる段階のことです。

自社のサービスを子会社へと分け、その子会社がまたそれぞれに成長していく。
そうすることでグループ企業としての成長を目指します。

もちろん、ひとつひとつの子会社も、親会社の能力を受け継ぎつつも、きちんと「守」からスタートすることが大事です。

つまり、数をこなし、真似て、走りながら考える。という部分に戻るわけですね。
これを繰り返すことで、企業はグループ全体をあげて爆速的に成長していけるはずです。

セル、唯一の失敗

さて、これだけ順調に、戦略的成長を遂げてきたセルですが、最後はブチギレた悟飯に倒されてしまいます。

なぜか?

やはりこれも「慢心」です。

これは第一話のヤムチャ編から常に言っていることですが、どれだけ成長し、強大な力を身につけたとしても、慢心があることで崩壊に向かうわけです。

ビジネスにとって「慢心」とはそれほどまでに危険だということがわかります。

さて、慢心してうまくいかなくなった企業ができることとしては、「リストラクション」しかありません。

セルも18号を吐き出し、さらには自爆という手段を取らざるを得ませんでした。
悟飯を怒らせなければ勝てたのに

自爆後のセルは、再び完全体となって地球に戻ってきますが、結局のところ悟飯と悟空の親子かめはめ波には勝てませんでした。

「おごれる人も久しからず」ですね。

やはり謙虚で誠実で実直であることが、企業成長の最大にして最高の戦略なのかも知れません。

まずは土の中からやり直しましょう。

画像引用元
DRAGON BALL
©️鳥山明/集英社

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Andy
we.編集長/Design Offiice io COO./Creative Director|東京⇆京都の2拠点生活。| 企業の経営課題を解決するデザイン・コンサルやクリエイティブ・ディレクションやってます。|ミニマル思考と独特の着眼点で「?」を「!」にする発想・提案が得意。|日本のビジネスにクリエイティブの革命を起こしたい。