ディレクションに必要な能力の一つが「先読み」だと思っています。
そういう意味では未来からやって来たので、ちょっとチートかも知れませんが…
今回はトランクスからディレクション術を学びましょう。
❶準備が良い
トランクスが孫悟空を待つために取り出したのは冷蔵庫でした。
しかも、一人で飲むには多すぎる量を準備しています。
これは事前に待ち時間があることを想定し、しかもその場に複数人の仲間がいることまで想定した行動です。
スケジューリングまでを含めた先読みからの準備の巧さですね。
ディレクションにおいて、スケジューリングが的確で、準備がキチンと成されていることは基本中の基本です。
例えば、アシスタントに「お弁当の手配」をお願いしたとして、それが時間通りに届かなかったり、人数分無かったりしたら現場はどうなるでしょう?
間違いなく想定外の仕事が増え、混乱を呼びます。
また、その手配すら出来ないアシスタントに、今後「ディレクション」をお願いするでしょうか?
「弁当発注」くらい誰でもできる。オレにしか出来ない仕事をさせろ。と粋がる気持ちも分かりますが、まずは基本を押さえましょう。
「誰でもできるはず」のことが出来ないとディレクションは出来ません。
「先読み」というと難しく聞こえたり、何だか特殊な能力のように聞こえるかも知れませんが、ようは「気遣い」のことです。
そういう意味で、「準備」がキチンとできることはものすごく重要なのです。
「弁当の準備ができる」を積み重ねることで、より大きな物事の先読みが出来るようになるわけです。
❷臨機応変な対応
トランクスは孫悟空が間に合わないと判断するや否や、歴史を変えてでもフリーザを倒してしまいました。
ちなみに、歴史を変えたと言ってますが、史実として残すために仲間内で口裏を合わせたら、「孫悟空が間に合った」となるはずなので、どのくらい影響があったかどうかは謎ですね。
この臨機応変で迅速な対応はディレクションにおいても大事なポイントになります。
クリエイティブの制作現場ではいろんなものが絶えず流動的に変化しています。
予定していた写真が使えない。
想定の予算では収まりそうにない。
納期を調整しないと間に合わない。
その度に最速で最適な判断が必要です。
ここを迷ったり、決断を先延ばしにしても、ほとんど良い結果は得られないでしょう。
例えば、フリーザ一味が地球の各地に飛んで行った後だと、フリーザ親子は倒せたかも知れませんが、一味全員を追いかけるのは至難の業だったはずです。
今、何が大事か即断する。これがディレクションの要になります。
❸課題の本質を見極める
トランクスは未来から来てるので、当たり前といえばそうなんですが、「本来戦うべき敵」を知っています。
なので、仲間が全然違う容姿の敵と戦っていることを知り驚くわけです。
以前、過去に来た時に人造人間の容姿を説明してなかったのはミスですが、大事なのはこの後の対応です。
トランクスは即座に仲間に「本来戦うべき敵」の存在を知らせ、次の展開へと誘導しました。
プロジェクトは常に正解だけで進める訳ではありません。
課題の本質を見極めること、さらには途中のアプローチが間違っていた時、即座に正しい方向性へと導くことはディレクションではとても重要なことです。
❹複数のプランを持つ
さて「本来戦うべき敵」、つまりは課題の本質が見えた後のトランクスの対応は素晴らしいものでした。
1)動く前に破壊する
2)ダメならみんなで戦う
という二重のプランを提案しています。
これは唯我独尊のサイヤ人にはちょっと思いつかないプランです。
ベジータがおかしい。
ディレクションにおいても複数のプランを持つことはとても大事です。
これがダメならアレ、それでもダメならコレ。
ありとあらゆる想定をしながら、よりベストな状態になるようにプロジェクトを先導する訳です。
初期想定が狂うのなんて当たり前。
むしろズレたプロジェクトをどう立て直すかなのです。
また『動く前に破壊する』 についてはトランクスの危機管理能力の高さも知ることができます。
これが最小限のリスクでミッションを達成できる手段であるとわかっているからです。
最もリスクが少なく、成功確率の高い手段を選ぶのはディレクターとしては当然ですね。
どう考えてもベジータがおかしい。
❺チームビルド
破壊がダメだった場合、トランクスは人造人間を倒すために仲間で戦おうとします。
チームとして立ち向かうためには孫悟空の存在が必要だと訴えるのです。
コレはチームビルディングに欠かせない考えですね。
メンバーの能力を見極め、必要な人材を確保するのもディレクションです。
ディレクションはディレクター1人では決して出来ません。
クリエイティブチームがいてこそのディレクターです。
個々の能力や特性を知り、プロジェクトに応じて適切に仲間をアサインし、その能力を最大限発揮してもらうよう務めることが重要です。
なので、何度も言いますが、ベジータがおかしい。
❻リスクコントロール
トランクスは現代においてのセルの成長を止めるべく、ドクターゲロの地下研究所を破壊しました。
未来に不安を残す可能性のある根本原因を断つというのは大事な考えです。
確かにすでに現在にセルは来ているわけですが、それでも未来への脅威を一つ消したことになります。
この、「未来のリスク」になりそうな事柄を早めに潰しておく。というのはかなり大事なことです。
例えば、納品が遅れがちなデザイナーさんには少し早めのスケジュール調整をかけるとか、スケジュールそのものがタイトだと思ったら、ギリギリになる前に対応策を提案するとか、そんなことですね。
リスクを潰すのは早ければ早いほど効果的です。
誰もがリスクと気がつく前に潰しているわけですから。
まさに成長前のセルみたいなものです。
このリスクが大きく育ってから戦おうとするとそれはもう大変です。
下手したら勝てないかも知れない。
なので、リスクの戦闘力が弱いうちに叩くわけです。
❼過ちを認める
トランクスが他のキャラと違うのは、きちんと自分の過ちを認められることでした。
何かと言えば「くそったれめー」とか、「チクショー」とブチぎれるベジータの息子としては意外です。
これはきっと失敗を繰り返すことで発明を完成させるブルマの血でしょう。
人は失敗から学びます。
ディレクションに正解はありません。
プロジェクトが上手く行くように最善を尽くすのは当然ですが、気がつかないうちにミスをしていたり、想像できないところから暗礁に乗り上げることだって無くはない。
その時に、自分の過ちを素直に認め、次善策を取れるように走り出すのも大事なことです。
ここで大事なのが、人のせいにしない、ということです。
プロジェクトは成功したらメンバーのおかげ。
プロジェクトが失敗したらディレクターの責任。
それだけ大事な役職だということです。
単なるメール転送役や、御用聞きだけやっていたら、この責任はおえないでしょう。
そこがディレクターのプライドです。
❽ヒアリング
トランクスはセルに「なにが目的だ」と聞いています。
これも他のキャラクターにはなかった行動です。
敵からもその真意を聞き出し、行動指針を明確にしようとしているわけです。
これは「武道大会」という想定外の提案が出てきたからこそですが、思いつきの真意を確認するのは大事です。
例えばクライアントさんから、進行中のプロジェクトに上乗せして新しい「やって欲しいこと」が出てきたとします。
それを何も聞かずにプロジェクトに取り込んだら、きっと失敗するでしょう。
なぜなら、それをやる「真意」が見えていないからです。
思いつきはあくまで表層で、大切なのはその根っこの方です。
どうしてそのアイディアを思いついたのか?
そのアイディアで何を成したいと思っているのか?
一見無茶振りに聞こえる思いつきも、ちゃんと真意を深掘りするとプロジェクトの方針にマッチしているかも知れません。
そうならちゃんと「表層」を整え直して取り込めば良いわけです。
逆に全然相容れない内容なら、別企画として提案するわけですね。
ヒアリングからの交通整理もディレクションです。
❾目的の達成
さて、なんだかんだと紆余曲折をしながらも、トランクスは初期の自分の目的=プロジェクトを成功させることが出来ました。
過去に行って自分が圧倒的に強くなる。という解決策は初期想定にはなかったと思います。
ですが、大事なのはプロジェクトの完遂です。
過程では無く、やはり結果。
これはディレクションにおいて、最も大事なことだと思います。
明確な正解のない中で、プロジェクトを導いていくことは簡単ではありません。
ですが、やはりその結果にはこだわりたいものです。
そして、結果のためなら手段は選んでられません。
例え、父親に本気で気功砲を打ち込むことになっても…
画像引用元
DRAGON BALL
©️鳥山明/集英社
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