ドラゴンボールビジネス論

ドラゴンボールビジネス論13 孫悟飯の失敗に学ぶ、才能と努力とモチベーションの三角関係

孫悟飯は幼くして天才の名を欲しいままにしました。 悟空とピッコロが二人掛かりでも勝てなかったラディッツに一撃を加え、ベジータを追い込み、気功波でフリーザを押し込みました。 そして9歳の時にはセルを倒して世界を救うという偉業を成し遂げています。 その後、青年になってからも天賦の才をもって魔人ブウを圧倒しました。 ただ、最後の最後でバトルでは主役になりきれなかった。 今回はその理由を紐解き、才能と努力とモチベーションの相関関係を分析してみたいと思います。 今回はその理由を紐解きつつ、才能と努力とモチベーションの相関関係を分析してみたいと思います。

失敗1:モチベーションの欠落

孫悟飯は、地球一の武闘家となった孫悟空の息子として生まれ、そのライバルであるピッコロ大魔王に修行を受けます。 その素質は潜在的な戦闘力だけをみると凄まじいものでした。 ブチ切れたときの戦闘力1307は当時の悟空の3倍ほど。 ラディッツにギリギリでかわされたピッコロの魔貫光殺砲より早く動けたわけです。 しかし、もともと学者になりたかった悟飯にとって、戦闘は望むべきものではありません。 ラディッツ戦のあとはピッコロに拉致られ、戦闘力が高いという理由だけでサイヤ人との戦闘に駆り出されますが、悟飯が戦う理由は、その最初からずっと「身近な人が殺されそう」なので、それを阻止するためです。 ここが純粋戦闘民族である悟空やベジータとの大きな違いでした。 これはビジネスにおいても同じことが言えます。 常に上を目指し、自分より凄いやつがいる限り努力を怠らない人と、才能はあっても、自分からは努力をせず、状況次第で仕方なく頑張る人では、その成果、結果が変わってくるのは当然です。 もちろん、悟飯は学者になりたいから、戦闘才能を高めたいと思わないのは仕方ありません。 仕事で言うなら、クリエイティブの部署を志望していたのに、営業に配属になり、そこで上司に怒られるから無理して頑張っていると、結果として才能があるため営業成績ナンバーワンになってしまったようなものです。 だだ、そうなると、当然ですが営業部は手放してくれません。 やればやるほど志望する部署は遠ざかります。 そして、悟飯はそこで頑張らないと地球が滅ぶというジレンマも同時に抱えていました。 つまり、自分が営業成績をあげないと会社が潰れて、クリエイティブの部署に行くどころじゃなくなるわけです。 この葛藤を抱えながら、悟飯はどんどん腕を磨いていきます。 才能があるからいろんな人がいろんなことを教えてくれます。 ピッコロさんにサバイバル術を叩き込まれ、クリリンさんにはイメトレと技の多さ、さらに最長老さまには眠れる才能を引き起こされ、フリーザさまに半殺しにされ、さらに覚醒。 もう、この時点で営業部からクリエイティブの部署に移れる気はしないですよね。 営業部どころか、会社のエース候補になっているわけです。 毎回遅れてきて、クロージングという美味しいところだけ持ってくお父さんの代わりに、バリバリに営業成績をあげまくる2代目。 悟飯に選択肢はないわけです。 この、自分の中にモチベーションがないにも関わらず、才能に頼って成長してしまうケースはよくあります。 スポーツなら超高校級選手が、その後プロでは通用しなくなる、みたいなパターンですね。 モチベーションは自己成長のためのガソリンです。 やはり長期間結果を出し続けるには必要不可欠ですね。

失敗2:自ら努力できない

悟飯はピッコロに連れ去られたあと、サバイバルを半年ほどしたあと修行をつけられました。 そして、ナメック星に向かう宇宙船のなかではイメトレを中心に行ったあと、最長老さまに才能を目覚めさせてもらいます。 さらにフリーザに半殺しにされて復活し、パワーアップしています。 さて、お気づきでしょうか? ここまで、悟飯はたったの一年(半年?)しか修行をしていません。 たったそれだけで、宇宙一のフリーザに一撃を入れるくらいの戦闘力を手にしてしまいました。 これでは努力の大切さを学ぶ暇がなかったのは仕方ありません。 才能は時として努力の邪魔をします。 これは仕事でも同じでしょう。 仮に初めてやった仕事がうまくいったとして、周囲から凄い、お前はできる。と言われ続けたら、そこからさらに努力するという意識を呼び起こすのは簡単ではありません。 一発屋と呼ばれないためにも、自ら追い込み、努力し続けることができるかどうかはとても重要です。 さて、ナメック星から地球に戻った悟飯はどうでしょう? その後は人造人間が現れるということで、悟空やピッコロと一緒に3年ほど修行をしています。 そしてセルの登場後には精神と時の部屋で1年ほど。 この時点でスーパーサイヤ人になるというスピード出世です。 ぶっちぎりのエリート、まさに天才。 ただ、注目すべきは、ここまでの悟飯の修行はすべて誰かに先導されたものだということです。 つまり、自分から修行をしようとしたわけではない。 学者になりたいのだから、時間があれば勉強をしてます。 なので、セルゲーム後、長く修行を怠けていたとベジータに叱責されます。 ニートのベジータに。 仮に悟飯が自ら戦闘の修行をしていたら、ぶっちぎりのスーパー戦士が誕生していたでしょう。 それこそ、悟空もベジータも叶わないくらいになっていた可能性は高いです。 でも、それは叶いませんでした。 いくら才能があっても、自ら努力ができない限り、自分の限界を超えることはできないわけです。 仕事も同様ですね。 やはり、上司や先輩に指導されているうちはまだ自分の限界の内側です。 そこから飛び出し、自分なりの工夫をする努力ができてはじめてその殻を破ることができる。 上司の営業法を学び、改良を加え、独自の営業法を確立することができてこそ一人前。 そのためには努力が不可欠です。

失敗3:詰めが甘い

悟飯最大の欠点は、その詰めの甘さです。 幼い頃から、ブチ切れたら底力を発揮して何とかなってきたし、大人たちは大体それで「すごい、天才!」と褒めてくれました。 潜在能力については悟空のお墨付きなわけです。 だからここぞと言う時に甘ったれ根性が出てしまいます。 そのせいで、これまでに甚大な犠牲が生まれています。 ナメック星まではまだサポート役なので仕方ないとしても、期待値を高めて挑んだセル戦では、最後に調子に乗るという手痛いミス。 セルにトドメを刺すタイミングを逃し、いたぶるというドSキャラを発揮したせいで、悟空はセルの自爆に巻き込まれ、トランクスは殺されました。 地球すら危機一髪です。 ブウ戦では、界王神界で、またもや修行することなくスーパーパワーを手に入れた孫悟飯。 しかし、ブウを倒す前にゴテンクスとピッコロを吸収され、さらに自分もブウに吸収されてしまうという大失敗を犯します。 さらに地球は消されるし、自分も死ぬしでいいところがありません。 セル戦で何を学んだ? これはクリエイティブにおいては、チームの一員の時は、周囲のサポートがあるから自由にのびのびと発言できて、「良いね、さすが!」と言われてたけど、いざクリエイティブ・ディレクターとして独り立ちした瞬間に調子こきまくって失敗する現象と同じですね。 他人事でなく、ボクも耳が痛いですけど… 人は小さな失敗から多くを学びます。 また、自分で経験したり、努力することで自力と底力をつけることができるのです。 そして、周囲の環境や、先輩上司の支えがあってこそ、良い仕事ができる。 いくら才能があるからと言って、先輩や上司のアドバイスを聞かず、受け入れない人に成功はありません。 その上で、調子に乗りすぎることなく、しっかりと最後の詰めまでやりぬいてこそ、一流のビジネスマンと言えるでしょう。 そして、仕事とは一過性のものではありません。 いくら周りに褒められても、才能だけに頼ることなく、自ら努力し、それを続けていくモチベーションを維持することが大事です。

悟飯に足りなかったもの

悟飯には才能がありました。 ですが、戦い続けるためのモチベーションがなかった。 だから戦いのための努力をし続けることができませんでした。 努力と、それを継続できるモチベーションは、いつか必ず才能を上回ります。 今うまく行ってなくても、腐らないでください。 そして、苦しくてもそれを積み重ねてください。 それが成長につながります。 悟飯は、簡単にスーパーパワーを手に入れすぎました。 そう、悟飯に足りなかったのは、実は才能でも、努力でも、モチベーションでもありません。 そこまで自分の力で頑張って這い上がってきたのだという「努力の経験」です。 積み重ねがないことこそが、悟飯の唯一にして最大の弱点だったのだと思います。 才能がないことを嘆く必要はありません。 むしろ、モチベーションがあることを喜びましょう。 努力が出来ることを誇りましょう。 積み上げた経験だけが、あなたを高みに導くのです。 キレたときだけ才能を発揮する天才より、いつでも安定して成長できる凡人。 ビジネスでは、実はそれが最強です。 ちなみに、悟飯の名誉のために言っておくと、悟飯は自分の夢である「学者になる」は叶えています。 これはすごいことです。 悟飯は、自分の好きな職業のために努力し続けたのです。 決して母親であるチチに勉強しろと言われただけではこの努力はできないでしょう。 だって父親は、ニートでしたからね… 画像引用元 DRAGON BALL ©️鳥山明/集英社

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ABOUT ME
Andy
メディアプロデューサー/プランナー|元ドキュメンタリー番組ディレクター テレビ番組制作を経て、2014年からウェブ広告業界へ。映像・グラフィック・デジタルを横断するディレクターとして、企業の広告戦略やブランド表現をトータルでプロデュース。現在はDot.のジェネラルマネージャーとして活動中。 一貫して「ディレクション」を軸に、メディアの変遷(テレビ → ウェブ → SNS)を横断しながら、その本質を言語化・体系化することに取り組んでいる。