ディレクション入門

ラテラルシンキング(水平思考)は次世代を生き抜く知恵になるかも?

ラテラルシンキング(水平思考)は新しい企画やプロジェクトを生み出すためにはとても大事な思考。
クリエイティブにも欠かせないと思ってる。

クリエイティブ業界ではよく、「箱の外を考える。」って言葉を使うけど、水平思考はまさにそれ。
「どんな前提条件にも支配されない自由な思考法」のこと。

一方で、これだけ先の読めない時代になってきたからこそ、この「自由な思考法」はとても大きな価値を持つと個人的には思ってる。

今回はそんなラテラルシンキング(水平思考)について、ちょっと考察してみたい。

「そもそも」を考える

ルールや固定観念、思い込みや常識に囚われていると水平思考は発揮しにくい。

それを取り除くキーワードに「そもそも」ってのがある。
前提条件を疑う思考。

以前、こんなツイートをしたことがある。

有名な例題、「3人の子供が7個のミカンを平等に分ける方法を考えましょう」ってやつ。

すぐに思い付く人はきっと水平思考が得意。

ちなみにこれ、リプ欄にも書いてるけど、正解はもちろん1つじゃない。

A)ジュースにして分ける
B)2個ずつ分けて1個は誰にもあげない
C)残る1つを植えて育てて収穫して分ける
D)賞レースにして4個・3個・1個に分ける

みたいに、いろんな考えかた、答えがある。

それぞれどの「前提条件」を疑ってるのか?
これが「箱の外を考える」の原点になる。

基本的にボクらは義務教育では「論理思考」ばかりを教わってる。
だから水平思考に触れる機会は本当に少ない。
幼い頃の自由な発想、枠にとらわれない自由な思考は、成長の過程の中でどんどん失われていく。
でも、幼い頃にできていたことが、今できないとは思えない。
水平思考も訓練次第で取り戻せるはずなんだ。

水平思考ってのは、極論だけど「どれだけ広い視野」と「どれだけ多い視点」を持てるかだと思ってる。
一つのものごとを一方からしか見ようとしない限り、この発想は出来ないんだよね。
どこかのプライベートブランドのデザインリニューアルを視認性からしか語らないとかは視野も狭いし視点が1つしかない。
クソリプとかもこの視野の狭さからくるものであることが多い。

人はもともと、最初の自分のアイディアに固執しがちなんだよね。
直感的に感じたことを後から論理付けて説明する場合がほとんどだから。
でも、そこから一歩離れて、「待てよ?でもこっちから考えたらどうだ?」というような視点変更ができると、また違ったアイディアが出る。

逆転の発想とかは、まさにこれ。

ちなみに、いろんな視点からものごとを考えるのが難しい、慣れてない。と思うなら、「もし、XXXさんならこれはどう考えるかな?」みたいな第三者の視点、思考を利用するのもオススメ。
知ってる人ならやりやすいと思う。
もちろん、ダヴィンチとかジョブズとか、あったこともない自分の理想の人の思考法へと発想を飛躍させるのも手。

ラテラルシンキング(水平思考)のメリット

ラテラルシンキング(水平思考)ができることでのメリットは3つ。

①今までにない視点のものが生まれる可能性
②問題が最短ルートで解決できる可能性
③あらゆるコストが節約できる可能性

どれも可能性でしかないと言えばそれまでだけど、論理思考だけでは解決できない課題が多いのもまた事実だよね。

以下は実際にあった話。

A)空港の荷物の待ち時間が長いという不満を解決するために、人を増やして対応したのが論理思考的解決策。

B)荷物受け取りの場所までの移動距離を伸ばすことで、待ってると感じる時間を減らしたのが水平思考的解決策。

さて、この二つの施策、どちらが効果があったと思う?

答えはB)

単純に待たされてると感じる時間を現象させるだけで、この課題は解決できた。
課題解決の本質を考えさせられる、良い事例だと思う。

そもそも、論理思考と水平思考は対立する概念ではないんだよね。
むしろお互いに補完し合えると最強だと思ってる。

ボクはアイディア出しの段階では結構水平思考前回。どんどん発想を飛躍させる。
でも、これというアイディアが見つかった時はそれを徹底的に深掘る。
このバランス感覚は大事だと思う。

ものごとをしっかりと考え抜くにはロジカルシンキング(論理的思考)は必要不可欠。
ここがちゃんとできないと、まず他者に対しての説得力を持てない。

でも、この枠組みの中だけにこだわると、そもそもの大事なことを見落としてしまう可能性がある。
だから、深く掘るだけでなく、横にも発想を広げる。

ルールや固定観念、思い込みや常識に囚われていると水平思考は発揮しにくいのはそのため。

時代の変化に適応する思考法

失敗をそのまま失敗として受け取らずに、何かに使えないか、代用できないか、を考えるのも水平思考のうちの一つ。

この世の中の多くの発明は、別視点の変換から生まれてたりする。
あるいは、本来の用途からは失敗だったけど、代用することで生まれた商品はたくさんある。
欠点も、そのままの視点で眺めていたら、単なる欠点のまま。
でも、視点を変えてみるとそれが活きる可能性だって出てくる。

例えば、ポストイットやホッカイロ。そもそもはパンやワインも偶然生み出されたもの。

偶然を偶然として見過ごさない力はとても大事なんだけど、これって突き詰めていくとある種の「感性」ってことになるんだと思ってる。
何が引っかかるかはその人次第だし、全ての人が気づくわけではない。
りんごが落下したのを見て万有引力に気がつける人はまぁいない。
でも、だからこそ感性が大事。

感性って、もともと備わってる部分がないとは言わないけど、その大半は成長の過程で自分が手に入れていくもの。
良い音楽を聴きながら育てば、その人は音楽の感性を高めるだろうし、良い文章を読んできた人なら文章についての感性を得ることが出来る。
感性はその人の人生を濃縮した能力なんだよね。

人はどうしても目の前の結果ばかりを気にしてしまう。
でも、そんな時こそ視野を広く持って、未来まで見通したい。

損して得とる。ではないけど、やっぱり近距離のことに執着してるとそれ以上の未来はやってこない。
思考を一足飛びに未来に送る。
それもまた一つの「投資」の形になると思ってる。

水平思考をうまく取り扱うには、前提を疑うことが大事ってのは先述の通りだけど、先が読めない状況の中では、いろんな変化に即時対応できるこの思考法はとても重要だと思ってる。
今日までの常識が、明日には非常識に変わってるかも知れない中で、いち早く解決策を模索できるか、実行できるかはとても大きな差になるはず。

いまがまさにそんな時代で、過去や現在の常識に囚われてる暇はない。

そんな水平思考を実践するために必要な要素は3つ。

①そもそもを疑ってみる
②本質をすくい上げる
③偶然を必然に変える

突き詰めると水平思考は「閃き」に近いものではないかとボクは思ってる。
連想ゲームの先にある思考というか、思いつき。
それは本能的に①前提を疑い、②本質を明確にし、③再現性を高めることでしか発現できない。
つまりは思考をどうアイディアとして具象化するかが大事なんだよね。

一方で、その先にある未来を仮定して対策を考える「仮定力」も重要になると思う。
水平に広がる思考は時として時空を超える。
あ、この先の未来ではこうなるよな・・・ここをしっかり仮定できるかどうかは大きなポイントになるはず。

効率化だけを考えると、ムダはとても敬遠される。
例えば売り上げを第一義に考えたら、売れない商品はムダだし、それを置いておくスペースだってムダ。
もちろん、全てのムダを許容する必要はない。
でも、ムダ=不必要かというと、それはちょっと違う。
ムダがあるからこそ生まれる思考や発想だってある。

この視点の変更を無意識にできるのなら、きっと水平思考が得意なはず。

いろんな視点で見よう。

ABOUT ME
Andy
we.編集長/Design Offiice io COO./Creative Director|東京⇆京都の2拠点生活。| 企業の経営課題を解決するデザイン・コンサルやクリエイティブ・ディレクションやってます。|ミニマル思考と独特の着眼点で「?」を「!」にする発想・提案が得意。|日本のビジネスにクリエイティブの革命を起こしたい。