ブランディングって言葉を最近は本当に良く聞くようになりました。
SNSの浸透と合わせて、企業や個人もブランディングを重視する時代です。
ただ、過去の記事でも何度も書いてますが、「ブランディング」って、表面を取り繕って、なんとなく良さそうに見せることではないんですよね。
そうではなく、自分の本質を取り上げて、磨き上げ、わかりやすく他の人に伝えることが大事です。
で、それを見た人が、また別の誰かにそのことを話してくれる、いわゆるクチコミが生まれることがもっと大事になってきます。
今回もそんなブランディングについての話。
ブランディングとマーケティング
「ブランディング」って言うと難しそうに聞こえるかも知れないけど、その本質はお客さんに好きになってもらうことなんですよね。
そのアプローチをどうするかって選択肢はあるけど、揺るぎない魅力を見つけ出し、言語化するところから始まるのは変わらないわけです。
とはいえ、「ブランドイメージなんか作っても仕方ない。それよりマーケティングだ、数を売れ。」と言う考え方自体を否定するつもりはありません。
それもまたビジネスだからです。
でも、これから先の時代にまだそれで本当に良いのですか?とは聞くようにしています。
また、「良いもの(サービス)を作っていたら売れる。」と言う考えはあくまで正解の半分なんだと思ってます。
良いものであること。それは必要です。
でも、その良さに気づく人が少ないとやっぱりものは売れないわけですね。
特に今の時代は。
じゃあ、どうやって気がついてもらうのか?
そこに出てくるのがマーケティングだったりするわけです。
広告宣伝もマーケティングの一つなんですよね。
で、今の時代はその手段の一つにブランディングが加わり、むしろ割合を増やしていってる、と思うのです。
マーケティングに4Pとかのわかりやすい公式のようなものがありますが、ブランディングには「公式」は存在しないと思っています。
百社あれば百通りの魅力があり、百通りの伝え方があるからですね。
ただし、それを差別化するために企業の本質を理解することが必要だし、個性をつかむ必要があるし、ターゲットやコンセプトが必要にはなります。
なので、ショートカット可能な公式はないけど、手順はあるのだと思ってます。
極端な話、目の前の売り上げだけを考えるなら、マーケティングの方が大事だと思います。
大事というか、使えると思います。
でも、そんなのどこの企業もやってるし、ボクがわざわざ口を出したり、手を動かしたりしても仕方ないわけです。
それより、ボクは未来を提案したいと考えます。
いまはまだ朧げな魅力を明確に言語化し、ビジュアルにして伝えたいと思うのです。
そうすることでファンが増え、「この企業の商品だから」という理由で選んでくれるようになるわけです。
そう、ブランディングは、未来への投資なんです。
なぜブランディングが大事なのか?
「見た目は中身の一番外側」って表現はすごく本質をついてるな、と思います。
いくら聖人君子でも、初対面の人にその素晴らしさを理解してもらうのは難しいからです。
だから、それなりの見た目が必要なんですね。
もちろん、詐欺師は外から取り繕います。
ただ、それはあくまで一過性のもの。
大事なのが本質なのは揺るぎない事実です。
例えば、全身をシャネルで着飾っても、それが身の丈に合ってないなら似合わないと言われるでしょう。
逆にユニクロでも、オシャレな人はたくさんいます。
見た目は大事だけど、もちろんそれだけじゃないのは言わずもがな。
自社の価値や本質を伝える行為が、そんな表面的で簡易的なわけがないですから。
そして、表面を整えるのは大事ですが、もっと大事なは本質的に「信頼」を得ることです。
例えば、初対面の人に自分のことを自己紹介で「真面目で誠実だけどユーモアのある男です」と言ったところで、何人がそれを信じるでしょう?
一方で、それを自分が信頼してる友人が言ってきたらどうでしょう?
たぶん信用度は爆上がりするはずです。
ブランディングってのは、突き詰めたらこの口コミ紹介に近いものだと思います。
極端な話、ブランディングってのは「他人に自社の魅力を伝えること」ではないんですね。
そうではなく、「他人に自社の魅力を自然と語ってもらうこと」だと思ってます。
だからハードルは高いけど、浸透した時の効果も高いわけです。
また、ブランディングはする、しない、の判断ではありません。
何もしてなくても「されてしまう」ものだと考えた方が良いと思います。
だからこそ、自分でコントロールする必要があるわけですね。
勝手にウワサされるくらいなら、自分たちがされたいようにウワサしてもらう方が良くないですか?
ブランディングは外注するべき
本気で企業のブランディングを考えるなら、客観視出来る人に外注した方がいい良いと思います。
ただし、その人がその企業の一番のファンであることが絶対条件ですね。
好きでもない企業や商品、プロジェクトの魅力を好きでもない人が語れるわけがないからです。
ビジネスライクの限界があると思います。
ボクもお仕事をお受けするときは、その依頼主との相性は重視します。
もちろん、一度はお仕事してみないとわからない部分も多々あるのですが、例えばメールのやりとりが雑だったり、考え方が売り上げ第一主義すぎたりすると、やっぱり合わないな、と思ってご依頼をお断りすることもあったりします。
ブランディングを考える企業がコア(核)となる考え方、理念を持つことはとても大事です。
でも、もっと大事なのはそれをどう伝えるかの方なんですね。
ただ、人の考えや想いなんてのは自分が想像するより遥かに他人には伝わらないものです。
壁に飾られただけの理念が浸透しないのはそのせいですね。
だから、自ら伝えることは大事だけど、それだけではダメなんだと思うわけです。
どうすれば伝わるか、は考え続け、試し続ける必要がある。
それがブランディングです。
そして、「ブランディング」と言うと、いかに外部の人に伝えるか、を考えがちですが、同じくらい大事なのがインナーブランディングです。
つまり、企業内部へのブランドの浸透ですね。
HERMESやLOUIS VUITTONの店員さんは商品を扱うときに必ず手袋を着けます。
それがそのままブランドの高級感や価値を演出してるわけです。
そして、それが当たり前の行為として浸透してるのがインナーブランディング。
みんなが自社製品の価値とそれを扱う行為について理解し、共有しあってるということです。
一方で、例えば「美味しくてヘルシー」を掲げたラーメン屋の店員さんが全員太ってたら、そのブランドに一貫性は見えないでしょう。
その店で食べてないか、ヘルシーじゃないか、どちらにしてもウソだし、イメージがぶれるわけです。
ここに気がつかないままの企業さんもけっこう多いと思ってます。
だからこそ、ここでも外部の客観的な目が必要になります。
これを疎かにしたまま外にでても、結局表面的な取り繕いしか出来ないわけです。
まずは自社に、揺るぎない本質の軸を築く必要があるわけです。
最後に
残念ながら、ブランディングには「こうしたら上手くいく」と言う最適解は存在しません。
あくまで経験則からうまくいきそうな方向を指し示すだけです。
つまりはブランドの方向性をディレクションするということですね。
あとは上手くいかない試行錯誤の部分も含めてブランディングを進行させる。
ブランディングは一過性のものではなく、果てなく永続するものだからです。