ドラゴンボールのキャラの中で、最大級に「行動理念」や「行動目的」が読みきれなかったキャラクター。
それが魔人ブウだと思ってます。
では、それは何が理由や原因だったのか?
今回はそんなメチャクチャなブウから、企業の考え方とあり方を学びましょう。
なぜ、ミッションが必要なのか?
復活したばかりの魔人ブウは、とにかく行動パターンが読めませんでした。
目の見えない子供の目を直して、ミルクをプレゼントしてあげたかと思うと、その次の瞬間、街を破壊して笑っているのです。
行動に一貫性が無いと笑うかも知れませんが、実は基本的には起業したばかりのスタートアップはこの状態です。
ちゃんとミッションを言語化していない中小零細企業さんも同じだと思った方がいいですね。
これも良さそう、あれも良さそう。
で、いろんなことをやろうとします。
やるべきか、やらないべきか、の判断がつかないんですね。
なぜかと言うと、ミッション(経理理念)が明確に定まっていないからです。
このミッションが明確に言語化されていたら、「その施策はミッションにはそぐわないのでやめましょう」という判断ができるわけです。
会社、企業の行動方針を明確にするためにも、ミッション(経営理念)は必要不可欠です。
これを明確にするには、「本質」の追求が必要不可欠になります。
その点、ミスターサタンの質問は明確かつ本質を追求したものでした。
「なぜ、人間を殺したり、家を壊したりするのか?」
そう、この行動の根幹がミッションとつながっているかどうかが大事になると言うわけです。
で、ブウの答えは「楽しいから」でした。
シンプルですね。
自分の内なる欲求を言語化したとき、ブウは「楽しいこと」を最優先していると言うわけです。
ですが、「楽しい」がそのまま「殺人と破壊」にイコールになるのかどうかはちょっと疑問です。
壊さず、殺さずとも、「楽しい」と言いう理念(ミッション)は達成できる可能性があるからです。
この時点で、ブウの理念(ミッション)と行動(殺人や破壊)に一貫性がない可能性が出てきました。
人を殺したり、街を壊さなくても「楽しい」と思えたらミッションは満たされるわけです。
だからこそ、サタンはブウにこれ以上殺人と破壊を行わないように説得し、またブウも了承しました。
「楽しい」とはなんなのか?を再定義したわけですね。
さすがサタン、セルフブランディングの達人です。
この時点で、ブウにとってはサタンや拾ってきた犬と遊ぶことで「楽しい」を満たすことができているため、殺人や破壊という行動を取る必要がなくなっていたからです。
ちゃんとミッションに立ち返れば、それを満たすための手段や方法はいくらでもあるわけです。
例えば「全世界に平和を届ける」というミッションを掲げている企業があったと仮定して、その方法は様々です。
飢餓をなくすために飲食業を目指すか、井戸を掘るという事業をやるか、地雷を除去するとか、電気をどこでも使えるようにするか・・・
ミッションがあるから行動を選択できます。
逆にいうと、ミッションが明確でないと、何をしていいのか、何が正しいのか、それすらも判断できないということですね。
ブウのミッションとビジョン
さて、自社の経営理念(ミッション)を明確にするには、自社分析が必要です。
それはある意味で、経営者の自己分析とも言えるかも知れません。
そこから絞り出した答えが、最終的に自社の理念、つまりミッションとして成立するわけです。
魔人ブウで言うところの、純粋悪の魔人ブウが登場したようなものですね。
もともと太っちょのブウはいろんな神様やら戦士を吸収しているため、多くの意志や考え方、概念が混じった状態です。
だからこそ、自分の本質的欲求=純粋たる悪が飛び出してきたわけですね。
これは企業が自らのミッションを考える時も同じです。
他者の多様な意見を聞きつつも、やはり創業者の思いをどれだけ純粋に掬い上げられるかがポイントになります。
そして、それが本質まで突き詰めたられた時に出てきた答えが、その会社、もしくは経営者が持つ本質であり、揺るぎないミッションであるということになります。
やがて、ブウは自らのミッションとビジョンを語り始めます。
まず、ブウのミッションは「最強であり続けること」でした。
誰よりも強くありたい。
その純粋な想いがブウのミッションです。
これに対して、ブウのビジョンは何でしょうか?
当面のビジョンとしては、自分よりも強い可能性がある「孫悟飯を倒す」ことです。
これは「最強であり続ける」というミッションに紐づいた、直近のビジョンです。
そして、ビジョンは達成するとまたステージを変えて新しいビジョンを描くことができます。
なので、もしここで悟飯を倒していたら、「銀河系を滅ぼして最強を証明する」みたいなのがブウの次のビジョンになったかも知れません。
また、そのまま戦い続けたら、現世では敵がいなくなる(むしろ生命体がいなくなる)可能性があります。
そうなればブウは自死して、「あの世」に攻め込み、過去の達人達と戦うプランを練る可能性がありますね。
これも全て、ブウのミッションである「最強であり続ける」に紐づいています。
さて、その後は紆余曲折あり、ベジータと悟空の合体したベジットみたいなチートキャラに圧倒されつつ、完全に原始の自分を取り戻しました。
最強になるためにいろんなものを吸収したけど、結局は元の自分が一番動きやすい。というのはすごく示唆に富んでいると思います。
最近でいうなら、ZOZOの前澤さんがZOZOを売り、再びスタートトゥデイを始めた流れに似ている気がしますよね。
でも、揺るぎないミッションがあればそれもまた可能なわけです。
記憶を飛ばし、理性を失っても、ブウの「最強でありたい」というミッションは変わりませんでした。
だからこそ真っ先に界王神界に悟空とベジータを倒しに現れたわけです。
ブウのバリューとは
さて、ミッションとバリューを語ってきた以上、バリューにも触れておく必要があると思います。
バリューとは何か?
ボクの定義では、その会社、その企業しか持ち得ない特殊な能力、あるいは他者が提供できない唯一無二の価値だと思ってます。
これは特に圧倒的なものである必要はありません。
人それぞれがみんな個性があり、能力があるのと同じで、その人、その企業の個性がそのまま価値(バリュー)になり得ると考えています。
なので、「世界に一つしかない技術」である必要はないわけです。
この辺りはちょっとテキスト説明では難しいかもですね。
ボクが以前出演した「Schoo」さんの「唯一無二の存在」についての授業を見てもらえたら少しはわかりやすいかも知れません。
参考までに。
PENCIL by Schoo掲載
“理想的なデザイン経営は3つの「シコウ」を個人と合わせる”
ーSNS新時代に唯一無二のブランド力を持つにはー
Schoo(スクー)生放送講義
デザインセンスのいらないデザイン経営 第5回
SNS新時代に唯一無二の存在となるためのデザイン
なので先ほど、例えば「全世界に平和を届ける」というミッションを掲げている企業があったと仮定して、という話をしましたが、バリューが見えていないといくらでも方法があるわけです。
・飲食業
・井戸掘り
・地雷除去
・電気配備
どれも全てミッションに紐づいてます。
で、この方法を選択する時に必要なのが、その会社のバリューなのです。
例えば、飲食流通に詳しく、美味しく簡単で栄養価の高いレシピを開発する技術(バリュー)を持っている企業なら、世界に平和を届けるために飲食業という道を選ぶわけです。
井戸掘りの力があればそちらから。
地雷を除去するテクノロジーがあるならそちらから。
ミッションに紐づけて、自分の価値(バリュー)=スキルや能力を提供する。
これができて初めて市場でのニーズが生まれます。
美味しい食事が作れないのに飲食店をやっても意味がないわけですね。
さて、これを前提にブウのバリューが何だったか探っていきましょう。
魔人ブウは過去最強の敵だったこともあって、その特徴はかなり幅広かったですね。
「他者をお菓子や粘土に変える」とか、「不死身」とか、「怪我を直せる」とか、どれもかなり付加価値が高いスキルです。
ですが、最後の最後、理性を失う原始ブウになってまで使っていた能力は一つです。
「他人の技を一度見たら真似できる」
これが出来たからこそ、地球を滅ぼした後すぐに界王神界に瞬間移動することができました。
最後まで無意識でも使い続けるレベルの技術や能力。
これが「バリュー」と呼ばれるものです。
最後に
ここまで、ブウの行動を通してミッション、ビジョン、バリューについて説明してきました。
企業規模の大小に関係なく、組織を運営するに当たって必ず言語化しておいた方がいい「企業の羅針盤」がミッションとビジョン、そしてバリューです。
ミッションとは「会社や組織が果たすべき使命や役割」
ビジョンとは「ミッションを持って目指すべき目標や戦略」
そして、バリューとは「それを成すためにすでに持ち得ている技術や能力」
と簡単に定義しておきましょう。
大量生産・大量消費の時代が終わった今、企業がブレずに次のステージに行くために必要不可欠なのはこの3つの言語化だと思ってます。
ぜひ、今後もこれを意識して、企業経営を進めていただけたらと思います。
もちろん、設計やブランディングのご相談もお気軽に。(営業)
画像引用元
DRAGON BALL
©️鳥山明/集英社
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