先日、「京都(みやこ)クリエイターズ」、通称:みやクリ の立ち上げが発表されました。
情報解禁
大阪なにクリ、東京江戸クリに続き、
京都「みやクリ」というコミュニティを
佐藤恵月氏(@chan_epy )と立ち上げましたよろしゅうおたのもうします(*´∇`*) pic.twitter.com/NOU2RjaRNS
— ハナ|Art × Design (@office_io) 2019年6月17日
そして、実はこの「みやクリ」というネーミングと、みやクリというコミュニティーのコンセプトメイキングを少しばかりお手伝いしました。
みやクリに限らず、結構ボクはネーミングやコピーライティングをやることが多いです。
ツイッター界隈の中だけでも、「オンライン上司」や「ブラックライトヒカル」など、まぁ、その場のノリに近い部分はありますが、結構ネーミングに関わっていたりします。
ボクのツイッター界隈でのネーミング歴。
・オンライン上司(@a_design_link )
・ブラックライトヒカル(@black_hikarus )
・DPP(ディレラボ・パーソナルブランディング・プロジェクト)(@direction_labo )
・みやクリ(京都クリエイターズ)←New
細かいの入れたらまだまだありそう・・・笑
— Andy(クリエイティブ・ディレクター) (@we_creat) 2019年6月18日
これ、ツイッター界隈に限らず、本業でも同じです。
もちろん、予算がしっかりある大きなプロジェクトでは、プロのコピーライターさんに入っていただき、その部分はお任せします。
でも、そうもいかない予算の時も多々あるわけです。
そんな時も、適当なコピーやネーミングで仕方ないと諦めるのか、それとも少しだけディレクターががんばってコピーやネーミングを用意するのか、でクリエイティブの精度、価値は大きく変わってくると思うのです。
そんなわけで、今回はディレクター目線で考える、ネーミングとコピーライティングのお話。
ネーミング やコピーライティングの重要性
言葉を生み出す、というとかなり大風呂敷な感じはしますが、本気でネーミングやコピーライティングを考える時はそれくらいの気持ちで取り掛かります。
この名前一つで、その企業、団体のあり方が変わってしまうからです。
ちなみに、ネーミングとロゴとコンセプトは三位一体です。
その企業や団体の価値、信頼、区別、認知、そしてビジョンを体現するものだからです。
この3点がブレると伝えたいことがボケます。
ボケたメッセージは伝わらないですよね?
だからこそ、中途半端な妥協は出来ません。
ちなみに、古今東西、現代まで長く残り、成長を遂げている企業名って、すごいんです。
そして必ず、ストーリーがあるのです。
例えばApple。
ネーミングのルーツは諸説あります。
【1】スティーブ・ジョブズがビートルズを尊敬しており、ビートルズのレコード会社の名前が「Apple」であるから。
【2】スティーブ・ジョブズがリンゴだけを食べてダイエットをしていたことがあるから。
【3】コンピュータの概念を提唱した数学者が青酸カリの入ったリンゴをかじって自殺から。
【4】電話帳で最初のほうに掲載されるため。(アタリ社より前に掲載したかった)
など。
スティーブ・ジョブズの自伝書では、Appleという言葉は「面白そうで活発な上、高圧的ではない」と考えた。
という記述もあるそうです。
面白い。
でも、ボクはジョブズが明かしていない、もっと深い真意が「Apple」には込められているのではないかと考えます。
神話の世界、創世記において「知恵の実」とされ、蛇にそそのかされたアダムとイブが一口齧った禁断の果実。
それがリンゴだとされています。
人々に最初に知恵を授けた果物であるリンゴ。
人々に初めて「パーソナルコンピューター」という頭脳を与えたジョブズ。
Appleの本当の由来はここになるのではないか…そう考えるとワクワクします。
これはあくまでボクの想像です。
でも、Appleというネーミング一つでここまでのストーリーを想像させる。
言葉にはその力があります。
そう思うと、ネーミング やコピーライティングがいかに大事か、わかってもらえるかと思います。
ネーミングで注意したいポイント
さて、ネーミングを考える上で意識したいのは以下の6つです。
1)インパクトのあるワード
2)人々が身近に感じるワード
3)わかりやすく、親しみがあるワード
4)意外なワードの組み合わせ
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
5)不快な表現はできるだけ避ける
6)グレーゾーン(死、セクシャル、暴言、ドラッグ…など)
5、6はもう注意というか、禁じ手みたいなものですね。
コピーライティングであれば、よほどの狙いとコンセプトがあればまだギリギリいけそうですが、社名や団体名はやめた方が良いでしょう。
1~4を意識しながら考えるのが良いと思います。
世の中にある、「ポカリスウェット」「ファミリーマート」「ポッキー」「ポテトチップス」「アベノミクス」「アミノバイタル」「カロリーメイト」「神対応」などの一般化された名前は全て作られたものです。
簡単な名前はおぼえやすいですが、かぶる可能性もあります。
逆に難しくすればオリジナリティは出るが、おぼえにくい。
そして長すぎるネーミングやはり覚えにくいと思います。
ポケモンGO. なんてのは本当に秀逸ですね。
ポケモンはユーザーなら必ず知ってる単語です。
GOを付け加えただけですが、勢いや楽しさをプラスしつつ、「アウトドアで使う」というイメージもしっかり内包しています。
「オンライン上司」というネーミングはこれに近いと思います。
ツイッター界隈の中だけかも知れませんが、少なくともクリエイター界隈では「上司ニシグチ」さんの名前は多くの人が知るところでした。
そこから発展して、「上司」だけでも通じるパワーワードになってます。
これはポケモン。の元がポケットモンスターだけど、誰にでもポケモンで通じるようになった、という部分と酷似しますね。
そこに、「ウェブ上でレクチャーや相談を聞くサロン、コミュニティ」という部分をオンラインと一言で言い表しました。
二つを合わせて「オンライン上司」です。
飲みの席でのネーミングとは言え、自分としてもなかなか的を得たアイディアだったと思います。
キャッチコピーの大切さ
さて、ネーミングと同様に、キャッチコピーも大事ですね。
ググると出てくるキャッチコピーは、ウェブ集客に特化したものが多いようです。
もちろんこのウェブ時代において、それはとても大事です。
ただ、今回ボクが説明するのは
「英語が苦手な主婦でも1か月でTOEIC650点がとれる勉強方法」とか「売り上げが186%伸びたキャッチコピーの秘密」みたいな、ウェブ集客用のセールスコピーではありません。
広告用のイメージコピーの方ですね。
「あなたのコンビニ」と言えば「ファミリーマート」
「カラダにピース」と言えば「カルピス」
「翼を授ける」なら「レッドブル」
「お口の恋人。」は「ロッテ」
といった感じに、コピーを聞けばその企業を思い出す、そんな言葉があると思います。
ボクの好きなコピーとしては。
届け熱量。
ひとの ときを、想う。
Drive Your Dreams
あたりでしょうか。
その企業と一体となった、その企業を体現するコピーは本当に美しい。
とは言え、なかなかこの企業を象徴するコピーを書くまでのお仕事はありません。
それこそ、佐藤可士和さんや、小山薫堂さんクラスにならないと。
なので、ボクはいつも個人で依頼された広告バナーやポスターには、上記のセールスコピーとイメージコピーの間くらいのものを意識して入れるようにしてます。
理由として、きれい目の広告、バナーにゴリゴリのセールスコピーは似つかわしくない。
購買意欲そのものより、その広告に目をとめ、その人の中のストーリーを喚起したい。
というような思惑があります。
言うなれば、CM系のキャッチコピーを意識している感じですね。
そうだ、京都、行こう。
とか
試着室で思い出したら、本気の恋だと思う。
とか、ホント、秀逸ですよね。
目指すべきはここだろうな、と思うのです。
キャッチコピーのポイント
ボクの中でのキャッチコピーのポイントとしては、一つのビジュアル、一つのコピーから、いかに 「ストーリー」を描けるか、だと思っています。
自分が描けるだけでなく、見た人が描けることが大事なのです。
例えば、以前、脱毛サロン「Dione川崎店」さんのウェブビジュアルを作成した時のコピーはこちら。
明日の私は、もっとキレイだ。
これは、今日の脱毛でいきなり美しくなれるわけではないかも知れないけれど、日々の積み重ねが未来の美しさをつくる、というメッセージを込めています。
当然、脱毛には痛みがつきものですが、そのマイナスを未ワクワクする未来を想起させることでポジティブに転換する狙いで作りました。
こちらは森永さんのチョコレート広告のコンペ応募作品です。
キャッチコピーはこちら。
私、そんなに、甘くないから。
チョコレートがビターで大人の味を特徴としている部分から、大人の恋を連想させるビジュアルを採用。
コピーには恋ともチョコとも取れるニュアンスを配しました。
この写真の前後にどんな物語があったのか、そんな想像を見る人にしてもらいたいという狙いです。
他のもちょいちょいコピー込みの作品は作ってますので、よかったらこちらの一覧からでも見てもらえたら嬉しいです。
ネーミングもキャッチコピーも、マストでディレクターの仕事というわけではありません。
でも、この辺りを意識しながら作品を作るのと、そうでないのでは、前述もしましたがクリエイティブの価値、意義が大幅に変わってくる部分ではないかと思うのです。
ちょっとした部分からも、クリエイティブの価値を高めていきたいところですね。