COLUMN

「デザインA案・B案問題」をディレクター目線で考える

こちらの投稿をご存知でしょうか?
Twitterユーザーの方でしたら、目にした方も多いのではないかと思います。

この意見、いろんな目線、立場からの意見が噴出して、かなりバズりましたよね。
これに対してはもちろんいろんな意見があってしかるべきだと思います。
この投稿に対して、今回はあくまでボクの「ディレクション目線」で切り取った意見を紹介してみようと思います。
1意見として、ご査収いただけると幸いです。

問題の本質は何か?

そもそも、この投稿に限らず、デザインの「とりあえずのA案、B案問題」は常にこのクリエイティブ業界に蔓延しているというか、根付いてる問題なんじゃないかなと思います。

で、この問題の本質の部分ってなんだろう?って考えてみるのがディレクション目線です。

デザインが問題解決の手段であるように、ディレクションもまた問題解決の手段であり、その最善のプランを提案し、より良い方向に導く行為です。
その最たる部分が「本質の見極め」だと思うのです。

さて、この問題の本質とは何でしょう?

クライアントさんが2案要求してくるのにお金を1案分しか払わないから?

何案出すかをはじめに決めてないから?

クライアントさんを1案で納得させられないデザインスキルの問題?

もちろん、想像するといくらでもあると思います。
その中でも、ボクが思い描くこの問題の本質は「やりたくもない、楽しくもないデザイン案を無理やり出さなきゃいけないこと」だと思っています。

例えば、みなさんがデザインをしたり、イラストを描くとき、楽しくて楽しくて仕方ない、ゾーン状態に入ったとき、2案、3案出すのって苦痛ですか?

むしろ、アイディアが溢れて止まらないとき、もっとたくさん見て欲しい!
もっといろいろ創りたい!
って思いませんか?

まぁ、そこまでは極端な例だとしても、「モチベーション(創作意欲)」さえあれば、案出しの数なんて二の次になるのではないかと思うのです。

友人からの安価に請け負った個人クリエイティブでも、楽しければ料金以上の提案をしたくなる。
クリエイターなら少なからずそういう部分があると思うのです。

ディレクターとしてできること

で、この問題に戻ったとき、ディレクターとして考えるべきことは、いかにデザイナーさんに気持ち良く、楽しく、意欲をもって作品創りに取り組んでもらうか、だと思うのです。

なので、例えばボクがディレクションに入っていた場合、横柄なクライアントさんから「とりあえず2~3案出してよ」と言われた場合、イラっとした気持ちを押し殺しつつ、そこは了承して戻ると思います。

(その代わりどこかで料金値上げや別件受注などの別交渉は考えますが、それは今回は置いておいて)

で、その内容をそのままデザイナーさんに伝えたら、ディレクターとしては失格だと思うわけです。

「クライアントさんが2~3案欲しいって言ってるから、とりあえず3案もらえる?」

どうでしょ?

まったくやる気起きないですよね?

これはもう、ディレクションではないとボクは考えます。

では、どうするか?

可能ならコンセプトから一緒に練り上げます。
どんなアイディアなら楽しいか?
ワクワクできるか?
この案に対して、別アプローチはないか?
世の中に出たとき、どんな反響を生むか?

いろいろ話しながら、どんどんブレストします。
そしたらたぶん、2~3案なんてすぐにでちゃう。

なんなら5案以上のビジュアルコンセプトは立てられますから、むしろ3案に絞り込みです。
そして、ここまでビジュアルイメージがつくられてたら、デザイナーとしては具現化したくなりませんか?

頭の中のイメージをビジュアライズするのは、デザイナーにとって最高の喜び…とまで言うと大袈裟かもしれないけど、すくなくとも「とりあえずの2~3案」よりは良いものを出せそうな気がすると思うのです。

もちろん、これは理想論です。

業界構造上、毎回こんなに上手くはディレクション出来ません。
なぜなら間に「代理店」が入ってくるからです。
このあたりの業界構造論についてはまた別記事に書きたいと思います。
よかったらまた今度読んでください。

さて、デザイナーさんが意欲を持って2~3案の提出に協力してくれるとしても、それですべてがオッケーというわけではないですね。

当然ですが、以下の課題は残ったままです。

・クライアントさんが2案要求してくるのにお金を1案分しか払わないから?
・何案出すかをはじめに決めてないから?
・クライアントさんを1案で納得させられないデザインスキルの問題?

このあたりはどう解決していくのが良いでしょうか?
もう少し、深ぼっていきましょう。

残りの課題解決について

課題1:クライアントさんが2案要求してくるのにお金を1案分しか払わない

これは料金と作業量の話を後出しにするから生じる問題ですね。

見積もりを提出する際に「一案追加ごとに追加作業費を別途請求」と、明確に記載してしまうのが良いと思います。

「でも、相手の気に入るデザインが出せなかったら・・・」と不安になるなら書かない方が良いですが、結局それは単に自信がないだけですね。

つまり、ヒアリングかデザイン、もしくはプレゼンスキルに問題があることが原因の可能性が高い。
(もちろん、気まぐれすぎるクライアントもいます・・・)

これは見積もり時にディレクターが気をつけておきたい部分かも知れません。
テンプレ通りの見積もり制作では、どうしてもカバーできない案件はあるはずです。
金額をコントロールするのか、総作業量をコントロールするのか・・・判断するのは自分です。

制作進行で受け身にならず、先手を切ってプロジェクトを引っ張るためには、しっかりと全体を想定し、ディレクションしていきたいところですね。

課題2:何案出すかをはじめに決めてない

これも上記と同じですね。
何案出すか、ボクは大体ヒアリングの時に決めてます。
明確なディレクションに沿っていたら、最大3案あれば十分だと考えます。
そして「とりあえず出して」に対しても、ボクは大体3案までを初期提示にしてます。
(もちろん料金に含める)

ヒアリングの中で想像しうる正当なA案に対し、思いっきり逆振りのC案。
そしてその間くらいのB案。みたいなイメージですね。
ただ、細かいところの精度まではちゃんとヒアリングできないと苦しいです。
間に人が入ったときはA案と決まってから、A’ A’’ A’’’と8校くらいまで行くことはあります。笑
このあたりの解消も目下の課題です。

ただし、カラバリだったり、フォント変更などのマイナーチェンジは別です。
デザインがわからない人にデザインの良さを納得してもらうためには、デザインの質だけでなく、比較要素として、ある程度の数も必要となります。

大事なのは、「無駄に数を出さない」ことです。
納得のいく提案であれば、複数案は必要なことだと思います。
楽しく、意欲をもって作品創りに取り組める限り、単なる数字で「やりません」と言わないのもまた一つの考え方ですね。

あまり固執しすぎないようにしたいところです。

課題3:クライアントさんを1案で納得させられないデザインスキル

これは本当にスキルが原因なら、とにかく修行するしかないです。
一方で、これで提出すると決めたディレクターにも問題がありそうです。

コンセプトが見合わないからNG

なのと

デザインが下手だからNG

なのは、同じNGでも本質が全然違ってきます

つまり、解決策が別物だと言うことです。

もし、デザインNGをもらった場合は、徹底的にその理由を掘り下げたいところですね。
担当者の好みレベルの話なのか、一般的にみていけてないのか、少なくともその判断と反省は必要だと思います。

最後に

さて、諸々書いてきましたが、冒頭の課題である「A案、B案問題」のほとんどはモチベーションコントロールによって解決できる問題です。
だからこそ、ディレクターの腕が問われます。

予算交渉、ヒアリング、プレゼン・・・その一つ一つの精度を高め、デザイナーさんがデザインをしていて楽しくて仕方ない環境にしてあげること。

それができなくて、「やって」と丸投げしたら、そりゃ誰も楽しくない。
つまり、誰も幸せにはなれないのです。

大事なのは「楽しめるか」。

もちろん、自分のモチベーションも含めて、です。
労働環境の改善とは、何もオフィス環境や人間関係だけではありません。
モチベーション一つで人は同じ作業を楽しめたり、嫌がったりします。

ディレクターとしては、しっかり意識していきたい部分ですね。

 

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ABOUT ME
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Andy
we.編集長/Design Offiice io COO./Creative Director|東京⇆京都の2拠点生活。| 企業の経営課題を解決するデザイン・コンサルやクリエイティブ・ディレクションやってます。|ミニマル思考と独特の着眼点で「?」を「!」にする発想・提案が得意。|日本のビジネスにクリエイティブの革命を起こしたい。