ディレクション入門

ポートフォリオは、野球の打順を意識してみると構成しやすい説

最近、ポートフォリオ作りに悩む人が多い、みたいな話をちょくちょく聞くようになりました。
仕事だけでなく、クリエイター交流会でも「ポートフォリオ」を拝見する機会が増えてきたからだと思います。

今回は、そんな時にボクがアドバイスとしてしている話を少しだけ。

ポートフォリオ作りについて

ポートフォリオの見せ方は大事ですよね。
見せるタイミングだったり、そこでピックアップする話題だったり、そうしたコミュニケーションという部分はもちろん、やっぱりポートフォリオそのものにもインパクトというか、ストーリーというか、コンセプトみたいなものがあると良いよな、とは常々思っています。

そして、それを考えたときにやっぱり大事なのはポートフォリオの構成そのものということになると思うのです。

あくまで自分の感覚でしかないですが、ポートフォリオ構成に迷うときは「野球の打順」を意識するのがお薦めです。
(野球がさっぱりわからない、というかたは、へー・・・くらいに読み飛ばしてください。笑)

野球の打順を組むように、ページの並びを構成する

さっそく、ポートフォリオのページ構成について考えてみましょう。

まずは表紙にはタイトルを書きます。これは野球でいうところの球団名のようなものでしょうか。
どのチームを応援するかは野球においてはすごく重要です。
まずはチーム名として、自分のポートフォリオを覚えてもらいましょう。

そして、1ページ目には自分のプロフィールを記載します。
自分はこの作品球団の監督です。
自分なりの思いを込めて、次のページからは打順を組んでいくことになります。

作品ページの最初が一番打者。
一番打者に求められるのは出塁率です。つまり、確実に塁に出てもらう必要があります。
ポートフォリオでも、ここに引きの強いデザインや案件を配置して見る側の関心を集め、興味を持ってもらうことが大事です。
この一番バッターの出塁率がそのままこの後の得点、つまりは案件受注に直結すると言っても過言ではないと思っています。

二番打者には確実に次の塁へと送ってもらいつつ、出来たら自分も生きるセーフティバントの名手を配置したいところですね。
なので、定型的な仕事や安定型の案件などで長期にブレない信頼性を演出すると同時に、多案件にも対応できる、細部まで手を抜かない、などの基本スキルをアピールしましょう。
安心して仕事を任せられるという印象を得たい部分です。

三番には長打力のある好打者を配置して、更なる得点獲得を狙います。
ベーシックなアイディアをよりクライアントのニーズに合わせてデザインしたような中規模案件や、コンセプトから関わってデザインしたような地力のあるデザインを見せて、自身の対応可能なジャンルやスキルの幅を知ってもらうことが大事です。

四番に配置するのは理屈抜きのパワーヒッター。
自分が持つ中で最高のデザイン、あるいは最高規模の案件などでクライアントの信頼、信用をそのまま期待値に変換したいですね。
特に大型案件については、自分の関わり方をどれだけ分かりやすく伝えられるかが大事。
ここでクライアントの心を掴めば大量得点も見込めるはずです。

打順は下位打線でも手を抜かない

さて、ここまでで上手く行けばかなりの確率で得点=受注を得ている可能性はあります。
だからと言って、それで終わって良いわけではありません。
当然ですが、ここからさらに追加点を狙いに行きましょう。

そういう意味では、五番打者にもパワーヒッターをもうひとり起用しておきたいところです。
四番が思いがけない三振・凡打に倒れたり、敬遠されてたとしても安心できるデザインや案件があると全体の打線として強いわけです。
大事なのは四番が右打者なら五番は左打者、みたいなちょっとした変化ですね。
全く同じタイプで固めず、上手く打ち崩しを図るようにしましょう。

六番には、一番打者に次ぐ打率を誇る安定的な仕事が出来るベテランを置くのがセオリーかと思います。
送れる、繋げる、自分も打てる。
ここまでの流れが良ければ黒子として全体を支え、流れが悪ければ一打逆転を狙い、ここから巻き返しをはかります。
言わば一番のキープレイヤーとなるデザインですね。
もっとも自分らしさの発揮できたデザインや案件で勝負をかけると良いでしょう。

ここまできたら、七番打者には「くせ者」を置きたいところ。
ずっと王道のデザインできたなら、ちょっと遊びゴコロのあるデザインを入れたり、仕掛けをしたような案件など。
あえて自分の得意分野と逆のデザインなどで懐の深さを見せたり、もっとも「ツッコミどころ」の多い作品を選ぶのも手です。
このくせ者がスパイスのように効けば、接して飽きさせることはないでしょう。

八番打者には今が旬の期待のルーキーを入れておきましょう。
最新の案件やトレンドのデザインを入れることで、常に時代を捉えてデザインしていることを強調することができます。
多少実験的でも、目新しさという切り口は提示していきたいところ。
毎年このページだけバージョンアップしておけば、常に打線をフレッシュに保つことが出来るというのもメリットです。

そして、九番打者は投手。だからと言って打たなくて良いわけではありません。
しっかりと一番打者に繋ぐことで全体の話が盛り上がる。
言うなれば打者一巡の猛攻を仕掛けることができるわけです。

そういう意味では、あえてデザインや案件を載せるのではなく、プレゼンのクロージングが出来るようなまとめ的なページや、今後のビジョンなどを提示しても良さそうですね。
締まりを作ることで話を完結させることができます。

ポートフォリオを楽しむ、楽しませる

という感じで、プレゼンのページ構成を野球の打順に例えて自分なりに考察してみました。
これはもちろん、あくまで一例なので、全てを忠実に再現する必要はありません。

大事なのは、ポートフォリオには自分なりに「狙い」を入れておく、という部分です。
単に仕事の結果を並べるだけでなく、「見ることが楽しくなる」ものにする意識は大事です。

そして、そのためには「めんどくさい」と思わずに、自分自身が「ポートフォリオ作り」を楽しんでやることが大事だと思うわけです。
ポートフォリオそのものが、一つの作品だと思えるくらいの熱量で作りこむ。

その熱量、楽しませようという思いは、必ずポートフォリオをみるひとにも届くはずです。

 

ABOUT ME
Andy
we.編集長/Design Offiice io COO./Creative Director|東京⇆京都の2拠点生活。| 企業の経営課題を解決するデザイン・コンサルやクリエイティブ・ディレクションやってます。|ミニマル思考と独特の着眼点で「?」を「!」にする発想・提案が得意。|日本のビジネスにクリエイティブの革命を起こしたい。