ディレクション入門

ディレクション入門③プロの仕事から学ぶ、ロゴ制作のプロセス大公開

先日まで、#DN祭 というハッシュタグを使って、ツイッターでロゴを募集していました。集まったロゴは40以上、応募最年少は13歳の中学生でした。
プロ・アマを問わず、デザインが大好きなみなさんから多数の応募をいただき、嬉しい限りです。
応募いただいたみなさま、本当にありがとうございました。

こうした機会から、クリエイティブ界隈のみならず、広くロゴやデザインの重要性が広がると良いなと心から思います。
そこで、今回はボクなりの「ロゴ作りのプロセス」を公開してみたいと思います。

そもそも、ロゴってなんで大事なの?

まずは大前提の部分から確認しておきましょう。
なんでそんなにロゴって大事なんでしょうか?

ロゴは企業や団体の顔であり、そのビジョンや価値、信用などのイメージを決定付ける大切なものです。

例えば、同じコーヒーが500円で売っていたとして、片方はスターバックスのロゴ入り、もう一方は何も無し、だった場合、どちらにお金を支払うでしょうか?

中身は同じコーヒーだとしても、同じであるかどうかは消費者にはわかりません。
その場合、購入の判断基準となるのが「ロゴの有無」になるわけです。
(同じ話がパッケージデザインにも言えますが、ここでは便宜的に割愛しますね)

つまり、そのコーヒーが「ブランドもの」であることが大事で、我々消費者は、その「ブランド」にお金を払っている、とも、言えるわけです。

原価が10円以下のコーヒーが、500円でも売れる理由がこれです。
俗にいう「ブランディング」ですね。

そのブランディングの核となるべきアイコン、象徴が「ロゴ」というわけです。
そして、そのロゴ(ブランド)を作り、育てることは、以下の4つの意義、理由があると考えます。

・認知ー誰もに知られる
・区別ーその企業固有のもの
・信頼ーこのマークがあるから安心
・価値ーこのマークがあるから欲しい

ロゴのタイプ

また、世の中のロゴにはいくつかのタイプがあります。

1)ワードマークタイプ
└言葉をベースにしたもの(コカコーラ、Panasonic など)

2)シンボルマークタイプ
└マークをベースにしたもの(Apple、スターバックス、マクドナルドなど)

3)モノラインタイプ
└線画をベースにしたもの

4)ネガティヴ・スペースタイプ
└余白を恐れない、目の錯覚を利用したもの

5)デュオ・トーンタイプ
└2色で展開するロゴ

自分の得意なロゴタイプなども知っておくと良いかもしれませんね。

ロゴ制作の手順

さて、ボクがロゴを作るときは以下のような手順で進めることがほとんどです。

1)ヒアリング
2)リサーチ
3)キーワード整理
4)制作1:アイディア選定
5)制作2:ブラッシュアップ
6)制作3:完成
7)ブランドガイドライン制作

順番に見ていきましょう。

クライアントからのヒアリング(Q&A)

まずは、クライアントへのヒアリングからスタートします。

これはロゴに限らず、クリエイティブを行う際の基本ですね。

やみくもに手を動かせば良いというわけではありません。
何を作れば良いかをきちんと探り、その上で正しい方向へ制作をディレクションする必要があります。

ディレクションなき制作は単なる趣味と言えるでしょう。

リサーチ

話を聞くだけではロゴは作れません。
いろんな情報をリサーチしておく必要があります。

例えば「新進気鋭のスマホ会社」のロゴをデザインするとして、リンゴのマークを提案したらどうなるでしょう?

Appleのことを知らなかったでは済まされません。

リンゴのマークは大げさですが、クライアント企業だけでなく、競合他社や、その周辺なども含めてしっかりとリサーチをしておくのは大事です。

デザインとは情報整理です。
その情報は多ければ多いほど良い、とボクは考えます。
(少なくて良い理由はない)

キーワード整理

さて、ヒアリングとリサーチが完了したら、次はキーワード整理を行います。

これまでの過程で集めた情報を「見目」「色」「環境」「性格」「その他(味や音、匂い、能力)」など、さまざまにグルーピングして整理していきます。

この作業で、「表現すべき本質」を洗い出すのです。

例えば、先ほどの「新進気鋭のスマホ会社」の社名がbeeだったとしましょう。
(いま、外を蜂が飛んでいただけの思いつきです)

出てくる要素は無限にあると思います。

見目…蜂そのもの/針/羽/目/触覚/巣

色…黄色と黒/透明(羽)

環境…草原/空/木の下/軒下

性格…働き者/協調性(集団活動)/挑戦的(攻撃的)

その他…蜂蜜/巣/女王と兵隊/高速飛行

などなど
(他に発想を膨らませる時もあります。蜂蜜熊とか)

そして、キーワードからビジュアル要素(エレメンツ)を探します。

このエレメンツ探しの基準となるのが、ヒアリングとリサーチの情報です。

例えば「新進気鋭」というワードからは蜂の「針」や、「高速飛行」は相性が良さそうです。
あるいはヒアリングでその会社の雰囲気に「アットホーム」というワードが出ていたら、「巣」や「甘い蜂蜜」のイメージもあるかもしれません。

こうやって、企業にあうイメージのエレメンツを探り、絞り込んでいきます。
この時点でのエレメンツは多くても4つとか5つくらいでしょうか。
これらの要素を組み合わせ、または引き算しながらロゴを仕上げていきます。

そしてこの絞り込みはそのまま、ロゴ制作のコンセプトにも結びつきます。

制作1:アイディア選定

さて、ここまで準備して、ようやく作業に入ります。

この時のツールはなんでもOK
イラレに落とし込むのはかなり造形が定まってからで問題ありません。
ノートでもiPadでもイラレでも、自分の使いやすいもので行いましょう。

そして、キーワード整理で出てきたビジュアル要素をベースにどんどんロゴアイディアを出していきます。
とにかく数を出すことをオススメします。

この時、ボクはロゴの「コンセプト」も一緒に考えます。
基本的にボクは1ロゴ1コンセプトが良いと思っています。
同じコンセプトで複数のビジュアルを作る時もありますし、複数のコンセプトで複数のビジュアルを作る時もあります。

どちらにしても、ロゴは、ブランドの持つ価値観やメッセージをデザイン化したものです。
「誰に」「どんな価値を伝えて」「どう感じて欲しいのか?」というコンセプトを最初にしっかり決めて制作する必要があります。

そして、エレメンツからいくつも出したロゴ初形をさらに何度も組み合わせたり、引き算しながらブラッシュアップを繰り返します。

制作2:ブラッシュアップ

制作1で上がったロゴはまだ初稿です。
ここから「これ!」というところまでブラッシュアップを繰り返します。

正直、このブラッシュアップとどこまで向き合えるか、はプロとアマの差ではないかと思います。

プロは一つの造形をいろんな角度から見つめ直し、ブラッシュアップを繰り返します。
まずはシンプライズです。
絞り込んだ要素から、さらに要素を抜き出し、洗練させていきます。
そして削り過ぎたら足します。
シンプルであることが物足りなさを誘発してはダメですから。

さらにはカラーテスト。
色一つでロゴが与える印象は大きく異なります。

以下は一例ですが、参考までに。(このあたりはググればいくらでも出てきます)

赤色は「情熱」「興奮」
橙色は「活気」「親しみ」
黄色は「活発」「陽気」「幸せ」
青色は「清涼」「信頼」「冷静」
緑色は「エコ」「安らぎ」「安全」
紫色は「高貴」「神秘」
茶色は「自然」「大地」
桃色は「女性らしさ」「かわいい」
黒色は「格調」「高級感」
白色は「純粋」「シンプル」「無垢」
(ネガティブな印象も同時に内包します)

そしてフォントテストですね。
マークが鮮烈なら、フォントは控え目な方がよかったりします。
丸いマークに角張ったフォントは合わない時があります。(逆も然り)

マークとフォントのサイズバランスも重要です。
配置についても縦と横のバージョンを作成して同時にバランスを見たいところです。

これらは全て、A-Bテストを繰り返すことで進めていきます。
いくつもパターンを並べて「ベスト」を探しましょう。

ブランドガイドライン

さて、ロゴが完成したら、最後にブランドガイドラインを制作します。
ガイドラインはロゴの使用法を定義した大事なものです。
必ず入れるものは以下の通り。

1) タイトル、作成日、作者名、連絡先(これは表紙でなくてもOK
2)コンセプトと目次
3)基本デザイン…単色抜き、黒抜き、モノクロの3種は必要
特殊レイアウト(縦、横)・アイコン(スマホ、web用など)
4)ブランドカラーの指定
  └PANTONE collar
└CMYK
  └RGB
5)セーフエリア(文字とバッティングさせない)
6)最小サイズ
7)ロゴ禁止使用例

最後に

ここからは企業担当の方へ。

ロゴは直接的に明確な効果を生みづらいため、必要性が計りにくいかも知れません。
ですが、先述のコーヒーの件のように、ロゴがあることで、確実に商品は売れやすくなります。
ロゴは潜在的にユーザーに働きかけ、売上に大きく影響するのです。
逆に言えば、ロゴマークがないということは非常にもったいない状況なのです。
「信頼」「認知」で他社に遅れをとり、社内スタッフや商談相手と「ビジョンの共有」もできないことになるからです。

ぜひ、ロゴマークの無い企業の方はロゴマークの制作を検討してみてください。
ロゴマークを作ることで自社の見えなかったこともいろいろと見えてきます。

ただし、ロゴが企業や商品・サービスのイメージに合わないと、人は違和感を感じます。
カッコ悪かったり、素人ぽいロゴだと商品やサービスに不安を感じる人が6割いる、という調査結果もあるようです。
このあたりは制作時に十分注意してもらいたい部分です。

「安価だから」と安易にロゴを作ると、それは大きな損失を招く可能性があります。
(プロに頼む以上はそんなことはないと思いますが…)

きちんと御社のことをヒアリングし、信頼を持って制作にあたってくださる方と組むことをオススメします。

また、個人的にはロゴは「シンプル」なデザインが良いと思っています。
シンプルなロゴは長期に渡り、色々な場面で使用でき、縮小しても、単色でもブランドの判別が可能です。
流行のデザイン、奇抜すぎるデザインはどうしても時間と共に時代とズレ、陳腐なものになってしまいます。
もちろん、それを踏まえて奇抜にする方向も一つではありますが。

さらに、ロゴのデザインに込められた「物語り」があれば、それを知ったターゲットの心により深く価値を刻み込む事ができるはずです。
上手くいけばクチコミで拡散していくかもしれません。

いろんな思いを汲み取ったロゴ作りは重要です。

ロゴ一つから、すべてのビジネスにクリエイティブで革命を。

ABOUT ME
Andy
we.編集長/Design Offiice io COO./Creative Director|東京⇆京都の2拠点生活。| 企業の経営課題を解決するデザイン・コンサルやクリエイティブ・ディレクションやってます。|ミニマル思考と独特の着眼点で「?」を「!」にする発想・提案が得意。|日本のビジネスにクリエイティブの革命を起こしたい。