ディレクション入門

creative report 001|コラージュデザイナー・カズシさん

たまにTwitterのタイムラインでみかけるクリエイターさんとお茶やご飯に行くことがあります。
他者の価値観や新しい考え方を知り、感じ、吸収するのは自分をアップデートするためのひとつの手段ですね。

今回から、お話する機会があったクリエイターさんについてはそこからの学びを記していこうかなと思ってます。
実はこれ、2020年からの新企画のつもりだったのですが、タイミングよく、とあるクリエイターさんにお会いする機会をいただいたので、一足早く新企画のスタートです。

この企画の中では、クリエイターの新時代3種の神器とボクが定義する「マネタイズ(営業術)」「セルフプロデュース(自己発信術)」「オリジナルスキル(自分の武器)」の3点から話を聞いています。

良かったら参考までにどうぞ。

コラージュデザイナーのカズシさん

第一回のゲストはカズシさんです。
タイムラインで、そのコラージュ作品を見たことがある方も多いはず。

Adobeのコンペでは2度の受賞を果たすなど、その実力はいまさら説明する必要はないでしょう。

つい最近では、「左ききのエレン × Adobe」のコンテストでも最優秀賞を獲得するなど、ノリに乗っているクリエイターさんの1人ですね。

そんなカズシさんの、クリエイター、三種の神器に迫ります。

カズシ流マネタイズ(営業術)

実は、つい最近まで会社員をしていたというカズシさん。
てっきりバリバリのフリーランスデザイナーさんかと思っていたので、ちょっと意外でした。

これまでのカズシさんの営業術としては、会社員をやりながら、フリーランスとして個人での仕事も受けるという二刀流方式。
これであれば、基本収入は確保しつつ、個人案件の方でちょっと挑戦的なことをしたり、金額的には安くても、将来につながりそうな案件を快く受けたりと、自分の活動の幅を制限しなくて済みます。

会社員か、フリーランスか、みたいな二者択一的な議論が時として起こりますが、これからの時代はこうしたハイブリッド型の働き方をしながら爪を研ぐのが主流になりそうですね。

何度もコンペで戴冠しているカズシさんですが、「過去からの作品を並べて眺めていると、やっぱり自分が上手くなってるのがわかるんです」という言葉がとても印象的でした。

当たり前ですが、やり続けた人だけが成長できる。
それはどんな天才だって同じなんですよね。

カズシさんの究極の営業術、マネタイズ術は、この「やり続ける力」にあるのだと思います。

さて、会社員をしながら爪を研いだカズシさんも、いよいよフリーランス一本でやっていくことに。

今のところ、カズシさんの基本的な営業術としては、知り合いからオーダーをはじめ、口コミや紹介が中心。
フリーランスになったことで、ますます依頼が増えてきているそうです。

また、フリーランスになって時間がつくれるようになったこともあり、いまはいろんな人に会って知見やチャンスを広めているとのことでした。

この部分もとても共感しました。
ボクも、人に会うことでアップデートする意識はこれからの時代にとても重要になると思っています。

やはり、どうしても居心地のいい場所にいると楽ですから、新しい世界に飛び込むのはおっくうになります。
でも、その居心地の良さを超えていかないと、自分の成長もないということですね。

その中で、カズシさんも言っていた大事なキーワードがもう一つ。
他者からの学びには「再現性があることが大事」ということです。

つまり、いくら良い話を聞いたとしても、それを自分が真似できないと意味がないわけです。

例えば、いくらボクがカズシさんの話に共感し、「コラージュ」に目覚めたとしても、それを武器にしてコンペで賞を取るまでにはならないでしょう。
そこを真似しても「再現性」はないわけです。

ボクがカズシさんの話から得るものは、「コンペに出ることの価値」という本質の方です。
この部分であれば「再現性」が上がります。

カズシさんの「入賞しなくても、作品は自分の実績になる」という言葉はとても刺さりました。
クリエイターとしての「実績出せない問題」はいつでもあります。
そして「お題がないと作りにくい問題」もあるでしょう。

そうした課題を解決してくれるのが、この「コンペ参加」なんだなと感じたわけです。

話の表面だけでなく、その本質から自分にとっての再現性を確保するのはとても大事なことだと思います。

カズシ流セルフプロデュース(自己発信術)

カズシさんは、いまの時点では「SNSで世の中に知ってもらう」という部分を意識して自己発信をしているとのことでした。
そのため、去年末からTwitterの運用を開始したそうです。

とはいえ、いきなり自己発信をしとうとして始めたわけではありませんでした。
最初は情報取集のツールとしてスタートしています。

これはボクもまったく同じですね。
最初は情報収拾から。
何しろ、「何者でも無い自分」に興味を持ってくれる人なんていません。
ですが、最近はみんな「フォロワーをふやす」「インフルエンサーになる」という表面的な目標に振り回されているように思います。

物事には順序があり、そこを飛び越えて結果だけ得たとしても、それは本質では無いという部分に気づくかどうかは大きいですね。

なので、まずはタイムラインの中で気になるデザイナーさんや、クリエイターさんをフォローすることから始めます。
情報を収集し、繋がりが少しずつできてきたところで、そこから発信に切り替えていくわけですね。
ここまできてようやく「自分を知ってもらう」フェーズに入るわけです。

今後は「Adobe」や「エレン」の入賞を軸に、丁寧に情報発信をされていくことで、自然とファンやフォロワーさんが増えていくのだと思います。

また、カズシさんはTwitterなどのオンラインだけでなく、オフラインでの活動も意識されていました。
この部分もボクは心から共感です。

オンラインだけ、オフラインだけ、みたいな二者択一の時代は終わります。
実は一昔前はそんな区分けを誰も考えてなかったはずなんですね。
それがいつしかオンとオフが明確に区別されるようになった。

で、今後はこれが元に戻るのか?というとちょっと違うと思います。

次はオンとオフの明確な区分けを意識したまま、その二つを融合できるかどうかが鍵だと思うのです。

「続きはウェブで」のような単純なオンオフ連携ではなく、もっと複合的で複雑な仕掛けや仕組みがどんどん登場してくるはずです。

左ききのエレンと朝日新聞が組んだ「新聞広告JINS」なんかはその良い例ですね。

この仕掛けの波は、必ず個人クリエイターへも普及してきます。

どうしかけていくのかは自分次第。
もちろん、Office io でもその流れは意識して企画を作っていってます。

このあたりは、ボクらOffice io や、カズシさんに限らず、2020年のクリエイターの動向としては注目のポイントになると予想しています。

カズシ流オリジナルスキル(自分の武器)

さて、新時代のクリエイター三種の神器、最後の一つは「オリジナルスキル(自分の武器)」です。

やはり、これがあるか無いかは大きな違いになりますね。

カズシさんの武器といえば、当然「デジタルコラージュ」ですね。
もちろん、写真を集め、組み合わせてつくるコラージュ作品そのものは、これまでにもあります。

その中で、自分らしさをどう出すのか、はとても重要なポイントだと思います。
カズシさんの場合は「色使い」なども自分の武器、特徴の一つですよね。
こうした特徴をどんどん研ぎ澄ましていくことで、自分にしかないオリジナリティを確立していくことになります。

カズシさんが作品を作るときのスタートは、「ひらめき」だそうです。
素材を見ているなかで、頭の中に浮かんだイメージをベースに創作に入ります。
ただし、作業としては「デザイン」なんだという言葉が印象的でした。

「これまでにデザインとして学んできた合成のスキルやレイアウト、色使いなどが基礎になっているんです」

当然ですが、基礎力があってこそ、作品は輝きます。
単なる思い付きで作品が作れるほど甘い世界ではない。

いや、なんとなく作品と呼べるものは作れたとして、それで賞レースに勝てるほど甘い世界ではない。

絶え間ない努力(本人は努力とも思ってない可能性はあります)が土台となってこそ、自分のオリジナリティある作品をつくることができる。

また、それを繰り返し行うことで、唯一無二の自分の武器になる。

そんな、当たり前だけどなかなかできないことに、改めて気付かせてもらいました。

武器は、自分で研ぎ続けるしかないのです。

編集後記

なかなかTwitterのタイムラインで知る情報と、その人の人となりは一致しないことが多いです。
でも、「すごい人はすごい」というのは変わらない事実だなーとあらためて感じました。

・当たり前のことを繰り返し行う
・本質をちゃんとみがく
・次の一手を常に考え続けている

こうした思考と行動が基礎にあるからこそ、クリエイターとしての成長ができるのですね。

クリエイティブレポート、今後も不定期ではありますが、また掲載できたらいいなと思います。

ぜひ、次回もお楽しみに。

ABOUT ME
Andy
we.編集長/Design Offiice io COO./Creative Director|東京⇆京都の2拠点生活。| 企業の経営課題を解決するデザイン・コンサルやクリエイティブ・ディレクションやってます。|ミニマル思考と独特の着眼点で「?」を「!」にする発想・提案が得意。|日本のビジネスにクリエイティブの革命を起こしたい。