「打ち合わせ」は仕事においてとても重要な要素です。
でも、果たしてどれがけの人がキチンと出来てるでしょうか?
無駄に長く、参加しているだけ。気がついたら何も発言しないままに終わってた。なんならちょっと寝てた…そんな打合せをしていて良いクリエイティブを作るなんてムリです。
そんな状況を打破するには、やはり「ディレクション力」が必要です。
今日はそのあたりを掘り下げてみましょう。
集まっただけ。では時間のムダ
ここでの打合せとは、「意見を出し合い、ディスカッションを通じて最適な解を出すこと」と定義します。
当たり前ですが、打合せとは「プロジェクトを前に進める」ために行います。
意見を出し合うまでは単なるブレスト(ブレインストーミング)で、打ち合わせではその一歩先の解までが必要です。
意見は出し合った。でも、結局何も決まらなかった。では、打合せをした意味が無い。とボクは考えます。
何度も言いますが、「解を出す」までが打合せであるべきなのです。
それでは「集まっただけ」と変わらない。
意見だけ出し合って、「あとは各々の持ち帰ってまた考えて来ましょう」みたいな終わり方をするときもあります。
残念だけど、これも集まっただけで、打合せではありません。
意見を出し合うだけならチャットでもメールでも良い。
ウェブ会議と言う手もあります。
大事なのは「集まる」ことの価値を最大化出来ているかどうか。
つまり「議論を重ねて参加者が納得できる解を出す」ことにあると思うのです。
白熱した高速の議論。アイディアと別視点の意見、ブラッシュアップの応酬、これだけはまだウェブ会議では難しい。
だからこそ、集まって打合せる価値があると思うのです。
打合せの前のそもそもの前提として、「議論を通じて解を出す」という共通認識を参加者全員が持っていること。
これはとても重要なことです。
司会者とディレクターの違い
さて、そもそもの話ですが、「司会者」と「ディレクター」は違います。
高校の時の学級会を思い出してください。
学級委員が前にでて、「次回の学園祭の出し物を考えたいと思います。意見のある人は手を上げて発言してください」と言っていたとする。
これは単なる司会者です。
ディレクターでは無い。
ディレクターとは、自らの信念とアイディアに基づき、「最適解」だと信じるアイディアを提供し、打合せ参加者からのさまざまな意見を聞き、議論を重ね、そのアイディアをブラッシュアップして、揺るぎない最適解へと導く人のことを言います。
例えば学級会で出し物を決めるときに、「このクラスでやるなら演劇がいい」と思ったらそれを提案します。
もちろん、その理由も添えます。
「演劇にはいろんな役割があり、表に出たい人、裏方にまわりたいひと、それぞれのやりたいことを叶えるのに最適な出し物です。」みたいに。
そして反対意見が来たら、その内容をヒアリングします。
「ウチのクラスは演劇より合唱が良いと思います。だって、ピアノ県大会一位の井上さんがいるから」
なるほど、もっともな意見です。
でも、本質的な部分はまだ見えてません。
井上さんのピアノの腕、と言う理由だけでは納得する人は少ない。
なのでしっかりヒアリングします。
その結果、単に歌の方が準備が楽そうだから。と言う理由背景が見えてきたらどうでしょう?
学園祭は何のためにやるのか?
楽をするためか?
出し物を通じて、クラスの団結力を一層深めるためか?
そのあたりはクラス次第だと思いますが、コンセプトになりうるべき部分なので、まずはその議論が必要になります。
そして、結果として「クラスの団結力を一層深める」となったとすると、合唱の提案はクリエイティブの価値を高めているとは思えません。
なので、「井上さんのピアノの腕」と言うメリットを取り入れつつ、先程のアイディアをブラッシュアップします。
「なるほど。では、井上さんのピアノを取り入れて、ミュージカル調の演目にするのはどうでしょう?」
長所を取り込み、より良いクリエイティブを目指す。
これがディレクションです。
もちろん、「学園祭は楽な準備のものにして、みんな試験勉強の時間を充実させる」というコンセプトになったら話は別です。
その場合は合唱にするか、もしくはさらに話し合って合唱より「楽」なアイディアを探す必要があるわけです。
ちなみに、自分のやりたいこと=ベストのアイディアではありません。
自分の中で、なぜ演劇が良いという理由がしっかりと本質を捉えたものなら、ここは簡単にアイディアを譲れます。
なぜなら、本質がブレない限り、「やりたいこと」は出来ているからです。
時間と目的を先に提示する
打合せを行う前に大事なことの一つとして、終了時間と目的の提示があります。
当然ですが、議題も先に連絡しておきます。
参加者が少なからず考えておく時間を取るためです。
終了時間を決めてない打ち合わせは、ルールのないゲームのようなものです。
ある程度時間配分を考えながら、打ち合わせを引っ張りましょう。
また、その打ち合わせの目的も絶対に必要です。
ここまでは決めて終わる。とか、せめて二択にまで絞る。とかでも構いません。
結論を出すことは重要ですが、少なくともその日の打ち合わせで決めることを先に決める。これはとても重要なことです。
そのためにも方向性を決めて議題を引っ張る必要があります。
まずはプロジェクトに沿ったコンセプトを仮に決め、いくつかのアイディアを出し、その内容をメールなどで事前に説明、シェアします。
そして、打ち合わせ当日はそのアイディアをベースにしながら議論を進めていきます。
あくまで、この軸を作るのがディレクターなのです。
なので、ある程度の選択肢は自分で用意するし、打ち合わせでも反対意見のある人にはABテストでヒアリングと検証を繰り返して要望に近づけるようにします。
なるべく具体的な返事が返ってくるように誘導してあげる必要があるでしょう。
意見を言うときのルール
稀に「反対されるのが怖い」とか、「反対されたら嫌だ」みたいな理由で発言をしない人がいますが、それはあまりに個人感情に引っ張られすぎです。
反対意見は必要です。
そのアイディアを色んな角度から見つめなおせるからです。
そして、それらの意見の本質的な要素をうまく取り入れることができるのなら、プロジェクトは二段階も三段階も上のクオリティになるはずです。
ただし、反対意見を出す側にもルールはあります。
それは「ちゃんと反対な理由を述べる」こと。
個人の好き嫌いや感情論では打ち合わせは進みません。
必ず、「なぜ嫌なのか」「なぜダメだと思うのか」の理由は添えるようにしましょう。
また、自分の意見が笑われるかも知れない。と言う理由で発言しない人もいます。
これもナンセンスです。
勿体無い。
的外れな意見には価値がある。
むしろ、そうした突拍子もない意見から、素晴らしいアイディアが生まれることだってあるのです。
突拍子もない意見=他の人では思いつけなかった意見。と言うことです。
恐れず、思いついたことはどんどん発表していきましょう。
参加意欲のないメンバーへのアプローチ
たまに「全員参加」にこだわる人がいます。
みんなでやろうぜ!とモチベーションを強要するタイプの人ですね。
この考え方を否定するわけではありませんが、ボクはみんなに等しく同じ熱量、モチベーションを期待するのは不可能だと考えます。
そもそも、自分がやらされてやる気出ますか?
そうではなく、「面白そう!」と思った人が一人でもいてくれるなら、その人一緒にやれば良いと思うのです。
(一人もいないのはまずいです。その企画そのものが全然面白くない可能性があるので、急いで企画から見直しましょう。)
そのうち、本当におもしい企画なら、熱量が伝わり、いろんな人が「自分もやりたい」と手を上げてくれます。
目指すべきはここです。
最初から期待してもダメなんですね。
なので、議論に参加しないなら、放棄とみなすでOKだとボクは考えます。
ちなみに積極的でないメンバーの中でも「どちらでもいい」と「それには反対」は全然別物です。
「どちらでもいい」は無関心ですが、「反対」は明確な意思があります。
反対意見は積極的にヒアリングして、「どうすれば良くなるか」を一緒に考えるようにしましょう。
それだけで一人、仲間が増えます。
打ち合わせのクロージング
目標、目的に沿った打ち合わせができたら、次回の課題と役割分担を確認して打ち合わせは終了です。
このクロージングの作業は結構大事ですが、終わったことへの安堵から忘れがちになるので意識しましょう。
打ち合わせを通じて、せっかくプロジェクトが前に進んだのですから、次までにやっておくべきことと、その担当者はキチンと確認しておきましょう。
それぞれの役割が明確なものは良いですが、意外と曖昧なままで「誰かがやるだろう」とか、「やっておいてって言ったよね?」みたいなことが発生すると大変です。
また、議事録も大事です。
言った言わないを避けるためにも、誰か一人が代表して議事録をまとめ、それを打ち合わせ直後の記憶が新しいうちに全体共有します。
そして、抜け漏れや相互理解の齟齬があればいち早く補正し、正式決定事項として保存します。
これがあることで、毎回そもそもの話に戻る。みたいな馬鹿げた打ち合わせや、「その日はいなかったからやっぱり反対」みたいな元の木網的な議論をしなくて済むようになります。
打ち合わせは、実はディレクション力が重要なのです。
もし、今も無駄な打ち合わせをしているな・・・と思っているとしたら、ぜひその打ち合わせを「ディレクション」してみてください。
より有意義に、より良いクリエイティブを生み出すために。
ディレクション入門⑤
ネーミング&コピーライティングのコツ