プレゼンは大事です。
作品を並べただけではなかなか評価をするのは難しく、やはりそこにプレゼンがあるからこそ、見え方が変わリます。
ボクはデザインの半分はコンセプトで出来てると思ってるし、それがどう伝わるかが大事だと思ってます。
でも、それはクライアントにはちゃんと説明しないと伝わらないことが多い。
というか、ほとんど伝わらないと思った方が良いですね。
見て、感じてくれってのはクリエイター、ディレクターとして怠慢です。
あの有名なアートディレクター・佐藤可士和さんも「優れたコンセプトは人を動かす」「言葉で補うことが大事」って言ってます。
自ら説明を放棄する理由はないんです。
今回は、いつでもどこでも使うことができる、プレゼンテーションの基礎・基本のお話です。
プレゼンって難しい?
みなさん、プレゼント聞くとどんな印象を持つでしょうか?
スティーブ・ジョブズのiPhone発表?
ホリエモンの近畿大伝説のスピーチ?
西野さんの時計の針が追いつかない11時の終わりの話?
あるいはTEDなんかもありますね。
このイメージばかり持っていると、プレゼンはすごく難しくて大変なもの・・・という印象しか残らないと思います。
でも、これって実はプレゼンの最高峰。
サッカーで言うなら、スペインのリーガエスパニョーラやイギリスのプレミアリーグ、野球ならアメリカのメジャーリーグ、バスケならNBAを見て、「スポーツって難しい・・・」と言っているようなものです。
当然でしょう。
ビジネス界の最高峰、いわばトッププロたちによるプレゼンなのですから。
もし仮にあなたが趣味でサッカーをしていたとして、いきなりリーガエスパニョーラで活躍するだけのスキルや体力を持っているでしょうか?
多分無理ですよね。
ビジネスでも同じです。
もちろん、最高峰を目指して努力することは大事ですが、まず目指すは草サッカーのエース、くらいからでも問題ないはず。
少しずつ、ステップアップすれば良いだけの話です。
では、草サッカーのエース級のプレゼンって、どんなものでしょう?
プレゼンテーションとは?
そもそも、プレゼンテーションとは何か?
大辞林からの引用だと、以下のような意味だとされてます。
プレゼンテーション [5] 【presentation】
①提示。説明。表現。
②自分の考えを他者が理解しやすいように,目に見える形で示すこと。また特に,広告代理店が依頼主に対して行う広告計画の提示や,説明活動をいう。プレゼン。
まぁ、分かるようでわからない感じです。
特に本質的な定義ではなく、語句の説明だから仕方ないですね。
ボクはプレゼンテーションを以下のように定義しています。
伝えたいことを
伝わるように
伝えたい人に伝える。
当たり前じゃん?と思うかも知れませんが、これが実はやってみると難しい。
例えば、「一番お気に入りの店とメニューを教えて」「このカメラの使い方を教えて」「駅までの道のりを教えて」。
こうした質問に対して、うまく答えられるかどうかも、ひとつのプレゼンテーションですね。
なので、プレゼンという「技」にまで昇華されているわけです。
さて、これを踏まえた上で、先述の疑問「草サッカーのエース級のプレゼンって、どんなものでしょう?」について。
これは「クラスに一人はいる話の面白いやつ(巧いやつ)」だと思っています。
その話の巧さとは、天性的なものかも知れません。
ですが、分解していくと、その巧さは天性のスキルではなく、セオリーにまで落とし込むことができます。
プレゼンのセオリー
プレゼンはコンクルージョン・カムズ・ファーストが良い、とか、相手の脳にどう伝わるかを考えて組み立てる、とか、いろいろ難しいことを言われます。
コンクルージョン・カムズ・ファースト=結論を先にいう。
うん、で?その後どうすれば良いの?
どう伝わるかを考えて組み立てる・・・うん、その組み立て方がわからないんだけど・・・
そうなんです。
これらは全部、サッカーで言うところの戦術や戦略。
ドリブルやパス、なんならリフティングをすっとばして話てる。
あくまで「プレゼンができる」人がより上手く見せるための、次の段階の話です。
サッカーボールに初めて触る人がやることではありません。
では、初めてサッカーボールに触る・・・つまり、生まれて初めてプレゼンをする人は何から始めたら良いのか?
簡単です。
型(セオリー)にはめてその流れを真似すれば良いのです。
そして、この型(セオリー)に慣れ、使いこなせるようになったら次のステップに進めばOK。
そして、それを繰り返しているうちに、TEDにだって出演しているかも知れませんよ?
プレゼンのセオリーとも言うべき7つのステップ
さて、ではそのセオリーとはどんなものなのか?
ステップはたった7つです。
1 挨拶・名前
2 テーマやコンセプト
3 ターゲット
4 作品紹介
5 特徴・強み・工夫など
6 まとめ
7 ありがとうございました。
これを順番に発表するだけで、それなりにプレゼンしているように見えます。
そして、相手にはちゃんと伝わるように出来るのです。
1は表紙で名前と挨拶
ここで発表前に挨拶をして名前を言う。これはプレゼンというより、もはや人としての基本ですね。
今から誰が話すのか、ちゃんと主張しておきます。
こんな簡単なこと?と思ったかも知れませんが、人前で発表すると緊張して意外と飛んでしまいがちです。
クセ付けときましょう。
2から本編
まずはこれから発表する作品のテーマやコンセプトを説明します。
作品を見せる前に、どんな構想を持っているのか、世界観を伝えるイメージです。
今から、発表します。
と宣言しただけでは、聴衆はそれぞれバラバラな世界観を勝手に持ちます。
そのバラバラの世界観をまずはコンセプトを説明することで統一し、受け入れてもらいやすくするのです。
3はそのコンセプトに適合したターゲットの設定
このターゲット目線がないと、作品を「どう言う目線で見たら良いか」がわからないからです。
個人的好みで判断されていたら、作品をいくつ作っても足りません。
「この作品は20代前半から30代前半くらいまでの男性向けのものです」と言っておくと、「その目線」を基準に作品を見てもらえます。
この「ターゲット目線への誘導」もすごく重要なポイントになります。
4で作品を紹介
ここではしっかりと作品を見てもらう時間を確保しましょう。
無言の時間も戦略的に確保することもあります。
そうすることで聴衆の期待と聞きたい気持ちを引きつけるわけですね。
ジョブズがポケットからiPhoneを取り出したり、封筒からMacBook Airを取り出した後にしばらく聴衆に見せているイメージです。
5で特徴の追加説明
ここで追い打ちをかけます。
なぜこの作品がすごいのか、どうしてこの作品でないとダメなのか、どこに他社(他者)との差別化があるのか・・・など、しっかりと説明しましょう。
何度も言いますが、見て、感じてくれってのはクリエイター、ディレクターとして怠慢です。
言語化しましょう。
6はまとめ
ボクはよく、このまとめではビジョンを話したりします。
この作品によってもたらされる、ちょっと良い未来、皆さんへの幸せの話です。
ここがあることで、聞いた後の余韻につながり、作品そのものの印象を高めることができるはずです。
7はお礼・挨拶
これも人として当然のことですが、終わりの挨拶とお礼を言いましょう。
合わせて、「ここまでがプレゼンです」と言うちゃんとした区切りの提示にもなります。
しっかりと締まったプレゼンにしてあげましょう。
この7つをベースにして、パワポなどでシンプルな資料を作成しておけば、プレゼンなんて怖くないんです。
この流れは実は起承転結を型に、最低限言うべき情報を整列させたものです。
先述の「クラスで一番話が面白いやつ」は、生れながらにして「起承転結」で話すのが上手いやつです。
前情報を過不足なく伝え、飽きがこないタイミングでちゃんとメインの話をして、オチを持ってくることができる。
さらに後日談何かを付け足すことで、物語の余韻を持たす。
これを才能でやってるわけです。
でも、大事なのは型(セオリー)なので、これは天才じゃなくても習得可能な技術です。
しかもかなり簡単に。
あとは実践あるのみですね。
試合に出る前に、何度も練習するのと同じです。
もっと言うなら、人前で話すのが苦手、と思う人ほど、この型は身につけておくと楽になります。
例えば自己紹介も一種のプレゼンだと思うのですが、急に自己紹介して。と言われて、テンパる人も多いと思うのです。
そんな時こそ、この型(セオリー)の出番です。
例えば、こんな感じです。
初めましてAndyです。今から自己紹介をします。どうぞよろしくお願いします。(1挨拶)
Office io のCOO兼クリエイティブ・ディレクターとして企業さまの課題を「Art × Design」で解決しています。(2コンセプト)
売り上げアップ、集客アップ、イメージアップに悩んでいる企業さまのお役に立てると思います。(3ターゲット)
ー最近はXXXXXやXXXXXなどのブランディングをお手伝いさせていただきました。(4作品)
大量生産、大量消費というこれまでのビジネスモデルが崩れたいま、同じやり方では成果をあげるのは難しくなっています。
そこで、イオではアート思考とデザイン思考を掛け合わせることで、ブランド価値を高め、ファンを増やし、量ではなく、質の購入へと導きます。(5特徴)
短期的な利益の追求ではなく、未来に向けた永続的なイメージアップと顧客獲得の戦略をご提案させていただきます。(6まとめ=ビジョン)
以上です。ありがとうございました。(7お礼・挨拶)
測ってないですが、多分これだけで1分から1分30秒くらいになっているはずです。(話のスピードにもよる)
もし3分の自己紹介プレゼンなら、もう少し説明を足すだけで充分対応できます。
たとえばビジョンをより具体的に話すなどですね。
日本のクリエイティブ業界に革命を起こす・・・つまりはクリエイターの価値、立ち位置の向上、賃金を欧米並みにする、新しい組織構造の提案などがあります。
ちょっと話がそれましたね。
ぜひ、自己紹介などから実践してみてください。
プレゼンがより面白くなるポイントとは?
さて、最後にプレゼンのポイントです。
同じ型(セオリー)に当てはめても、やはりプレゼンの上手い人ってのはいます。
そんな人は何が面白いのか?
ちょっと要素として分析してみましょう。
1)提案の面白さ
これはもう、ぐうの音が出ないやつですね。
プレゼン以前にそもそもの企画や提案が面白い。これはプレゼントはまた別の才能と言うことができると思います。
これはそのうち「企画」として取り上げて記事解説できたらと思っています。
2)ビジュアルのインパクト
これは少し力技ですが、やはりスライドのビジュアルが面白いとひきが強いですよね。
言葉で勝てない、と思うときは、ビジュアルで勝負する手もなくはありません。
ただし、やりすぎには注意です。
「何を目出させたいか、主張したいか」が不明瞭のまま、とにかく面白画像だけ並べたら、それはそれで目まぐるしく、見ていてストレスを与える資料になります。
あくまでアクセントとして、と言うことを忘れずに。
3)情報量が適切で適当
これは細かいところですが、やはり人間、具体的な話の方がイメージしやすい傾向があります。
・価格は適正か
・サイズは合っているか
・リサーチはしたか
ざっくり語るより、正確に語る。
意識しておきたいポイントです。
4)時間配分
膨大な情報をどう時間内に落としこむかはすごく大事です。
プレゼンには時間指定があるものが多いです。
・2分の課題では1分30秒から2分で収める
・3分の課題では2分30秒から3分で収める
くらいの余裕を持った情報配分を意識しましょう。
その中で、どこにどれだけの時間をかけるか、も大事な要素です。
また、50秒の大体の時間感覚を覚えておくとすごく便利です。
突然話を振られても、50秒くらいなら上の型に当てはめてサクサク話をすることができます。
どうでしょう?
いきなり「プレゼンしてください」と言われたらかなり焦ると思いますが、ひとまず自分の手持ちの情報を上の7つのステップ(うち二つは挨拶)に落とし込んで読み上げるくらいはできそうな気がしませんか?
これはもちろん人前でのスライドを使った発表でもそうですが、意外とポートフォリオを見せながらの説明でも役にたつステップになります。
ぜひ、試してみてください。
もし、プレゼンやディレクションについての疑問や質問があればツイッターなどでも答えていきますので、お気軽にご質問などもお送りください。
それでは、今日はこの辺りで。
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