デザインに限らず、クリエイティブを成果物としてアウトプットする際には、ボクは必ずコンセプトがあるべきだ、と考えています。
これはプロジェクトも一緒ですね。
もっと言うなら、コンセプトとネーミングとロゴは三位一体でなくてはならないと思ってます。
企業ロゴであれ、施設ロゴであれ、プロジェクトロゴであれ、同じですね。
ネーミングとロゴとコンセプトは三位一体。
その企業や団体の価値、信頼、区別、認知、ビジョンを体現するものだから。
この3点がブレると伝えたいことがボケるし、ボケたメッセージは伝わらない。
同じネーミングでも、なんとなく付けたものと、コンセプトに基づくものでは、ストーリーが全然違う。— Andy(クリエイティブ・ディレクター) (@we_creat) October 16, 2019
でも、時々このコンセプトとコンテンツ(中身)を混同している方に出会ったりします。
なので、今日はその、「コンセプト」と「コンテンツ」の違いについての解説なんかをしてみます。
コンセプトとは何か?コンテンツとは何か?
さて、コンセプトとはなんでしょう?
これ、結構言語化して定義するのに苦労する部分です。
そもそもコンセプトって何のために必要なのか?みたいな部分ですよね。
ぶっちゃけまだボクもここは模索中ですが、現時点でのボクの仮回答としてはこんな感じに表現しています。
「コンセプトとは、そのクリエイティブ(プロジェクト)がそうであるべき揺るぎない理由」
どう言うことか?
もう少し噛み砕いで説明します。
デザインにしても動画にしても、何かを生み出す、作り出すこと=クリエイティブをアウトプットする際には、その造形や最終形にしようとする意志があるはずなんです。
ラーメン屋のロゴを作るのに、とんこつラーメンなら豚をモチーフにする。とかそう言う「意義のリンク」みたいなものですね。
これが鳥をモチーフにしたロゴなら伝えたいものがブレてしまいます。
つまり、「揺るぎない」にならないわけです。
豚骨はわかりやすい例ですが、これを同じことを実はクリエイターはみんな発想段階から行なっているはずなのです。
メインカラーを赤にした。と言うのも、頭の中では「何となく」かもしれないですが、どこかで「赤が良さそう・・・」と言う意識が働いているから赤のイメージが出てきたはずです。
王道のチョイスなこともあれば、あえて逆打ちを狙って、みたいなこともあると思います。
この、無意識のチョイスが、デザイナー一人で完結してる場合はまだOKなのです。
でも、プロジェクトになると複数のクリエイターが関わります。
その時、個々人の「何となく」を全部生かしていたらデザインもクリエイティブも統一性を失います。
なので、制作に入る前にみんなで方向性を決めておくわけです。
この方向性を言語化したものが「コンセプト」だと言うわけですね。
なので、その「コンセプト」は揺るぎないもの、でないとダメなのです。
他者からあれこれ言われて変えているようでは、コンセプトとは呼べない。
なので、先ほどのラーメン屋で言うと「豚骨ラーメンで圧倒的な感動を!」とかはコンセプトになり得ます。
理念や想いなので、他者から否定されようがないわけですね。
(言葉としてはもうすこし考えないとですけど)
で、この「豚骨ラーメンで圧倒的な感動を!」をどうしたらデザインやクリエイティブで表現していくかを考えることで、全体に統一指針をもたらすことができると言うわけです。
これがボクの中での「コンセプト」の位置付けです。
さて、では「コンテンツ」とは何でしょう?
これはそのまま、「中身」だと思っています。
つまり、こちらが設計しなくてもすでにそこにあるもの、のことです。
例えば、ラーメン屋で言うなら、「麺」や「スープ」、もちろん「ラーメン」はコンテンツな訳です。
これらのコンテンツは、逆に言うならコンセプトとしては一歩足りません。
ただそこにあるだけのもので、他社との差別化ができない部分だからです。
これが「手打ち麺」であり、「3年仕込みのスープ」であってもまだコンテンツです。
コンセプトは、なぜその手打ちや3年仕込みにこだわっているのか?の方だからです。
コンテンツとコンセプトの違い、何となく見えてきましたでしょうか?
混ぜるな危険
コンセプトとコンテンツは別物で、一応何となくの定義が分かったとして話を進めます。
大事なのは、コンセプトを考えるときに、コンセプトとコンテンツを混ぜて考えちゃダメだと言う部分です。
コンテンツをどう見せるか、どう演出するかのためにコンセプトがあるわけですから。
逆にいうと、コンセプトがないコンテンツは尖りもないし、刺さりもしないわけです。
ただのラーメンであり、麺だからです。
コンセプトがあるから、そのコンテンツは価値を持ちます。
「ラーメンで圧倒的な感動を!」と言うコンセプトがあるから、手打ち麺や3年仕込みのスープが生きると言う理屈ですね。
ここを理解せずに、コンテンツありきに考え始めると失敗します。
以下はツイッターでも投稿した例ですが、もう一度確認してみましょう。
例えば、雲海が名物の山小屋のコンセプトを設計することになったとします。
「雲海」も「山小屋」もコンテンツです。
そこにあるものであり、他者(社)との差別化にはならないものだからです。
なので、「雲海が見える山小屋」はコンセプトじゃないわけです。
コンテンツを並べて表現しているだけですから。
大事なのは、その同じコンテンツをターゲットにどう刺すかであり、それを言語化したものがコンセプトだと言うことです。
例えば子供向けなら「雲を歩こう!」
大人向けなら「雲海をダイビング」
みたいに見せ方を変えて、コンテンツを整えるわけですね。
(実際はヒアリングから唯一無二の魅力を引き出して言語化します)
雲を歩く。は子供の夢をイメージさせるもの。
ダイビングだと子供は体験したことが少ないから、そうした上質な体験を求める人を刺しにいくわけです。
万人ウケに注意
よく、「みんなに刺さるコンセプトにしたい」と言う要望を聞きますが、残念だけどそれは無理です。
強く、深く刺したいなら、コンセプトを尖らせる必要があります。
そうするとターゲットは狭くなります。
だって、大人の好みと子供の好み、男性の好みと女性の好み、20代の好みと50代の好み、全部違うはずですから。
それを万人ウケを狙って丸くすると、「雲海が見える山小屋」がコンセプトになるわけですね。
分かりやすいかもしれないけど、そんなの全国に幾つでもあるし、結果、実は誰にも刺さらないものが生まれます。
結局ここの魅力って何だっけ?ってやつですね。
幕の内弁当に記憶に残るおかずはない。
記憶に残る牛タン弁当にするべきだ。
みたいなことはあの作曲家の秋元康さんもおっしゃってました。
まさにその通りです。
だから、何となくで多くの人がたくさん来るより、「ここ最高」と思ってくれる人を積極的に呼び込む方が良いわけです。
そのほうが、他人にも話したくなるからですね。
「山小屋で雲海を見た」よりも、「雲の上を歩いた」という方が絶対に広まる。
だからコンセプトには尖りが必要だと言うことです。
ちなみに、大人気の施設やイベントが万人にウケてるのは、最初から万人を狙ってるからじゃないんですよね。
(マスへリーチする広告を打ってるのもあるけど、それはまた別の話)
万人ウケする施設も、まずは徹底的にコアターゲットを決めて狙い打ってます。
それを徹底するからファンがつくわけですね。
で、ファンが口コミで客を呼び、支持層が広がる。
つまり、次のステージでの戦略なのです。
初期に大事なのは何より一点突破。
それを言語化したものがコンセプトなんです。
万人ウケを狙って尖りをなくすと、そのコンセプトは結局丸くなって誰にも刺さらなくなる。
全員に刺さるコンセプトは残念ながらない。
だから、まずはメインで誰を刺すか決める。
その取りこぼしはコンテンツでカバーし、デザインの力でフォローすれば良いわけですね。
そうやって作り上げていくのがクリエイティブなのです。
これはクリエイターの方もですが、ぜひ経営者の方にも知っておいてもらいたい内容かなと思います。
と言うことで、今日はこのあたりで。
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「I」をデザインする。株式会社インプレシャスさまブランディング案件【前編】
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