ディレクション入門

島田紳助さんの著書「 自己プロデュース力」から読み解く、クリエイターの仕事術

以前、ツイッターでもつぶやいたのですが、ボクは元芸人でタレントの島田紳助さんの著書から、とても大きな影響を受けています。

え?クリエイティブ とお笑いって、なんの関係かがあるの?と言われそうだけど、本質的な考え方はものすごく繋がる部分があるんですね。

そもそも、島田紳助さんは「天才」だとボクは思ってました。

努力の天才。
自分を知る天才。
自分を上手く使う天才。

本当に多才な人だからです。

でも、その島田紳助さんが、「自分は天才ではない」と語ってるんです。

同期には華のある天才・明石家さんま、正統派漫才の第一人者・オール阪神・巨人。
僕の人生、「あいつには敵わない」の連続だった。

ー紹介文より一部抜粋

一流になるためには、人が努力だと思うことを平然とやってないとダメで、一流になりたいと口に出すだけでは何も変わらないことを教えてくれます。
だからこそ、ボクは痺れたし、憧れたのです。

今回はそんな島田紳助さんの著書からポイントをピックアップして解説してみたいと思います。

ボクとしても、「プロデュースの本質」をもう一度見つめ直す、良い機会になりそうです。

「X + Y」で考えろ

島田さんは芸能界で売れるための独自の公式を編み出しました。
Xは才能。Yは時代を示しています。

このX軸とY軸が、常に重なり続けるように努力すること。
それが芸人が売れるための最大の秘訣だと語っています。

例えば、X軸とY軸がたまたま重なり合った時に生まれる瞬間的なスマッシュヒットは一発屋。
これは同じことを長くやり続けているとどこかで発生する可能性があることだそうです。
ある意味、交通事故と変わらない。
でも、Y軸は通り過ぎていくから、すぐに時代に取り残されてしまうわけですね。

常にXとYが交わり続けないとトップランナーにはなれないというのが島田紳助の理論です。

これはクリエイティブ業界でも同じことが言えそうですよね。
いくら素晴らしいスキルがあっても、時代が追いついていないとビジネスにはなりません。
逆に時代性は捉えられていても、そこで使えるスキルがないと、やはり仕事は来ないでしょう。

独自性と時代性、その両方が大事になります。

「外に発信するのは売れてから。まずは内側に発信する。」

島田紳助さんは、自分たちが芸人として売れる前はまず吉本興業に自分たちを売り込んだそうです。
年収7万なのに高いスーツを何着も買い、必死にアピールしたのがスタートだと書いています。
つまり、会社企業に「こいつら使える」と思ってもらわない限り、チャンスは巡ってこないということです。
ただ待ってるだけの人間と、必死にアピールしてくる人間、どちらの方が巡ってくるチャンスが多いかと言えば、それは自ずと答えが出るはずです。

やはりこの考えもクリエイターに通じます。
どれだけ素晴らしいスキルを持っていたとしても、それが伝わらないならチャンスを得るのは難しいでしょう。
SNSで発信したり、ポートフォリオをしっかり作り込んだりももちろん大事です。
一方で、クリエイティブ界隈ではない友人や家族にどれだけ自分の仕事をアピールしているでしょうか?

チャンスはネットの世界だけとは限りません。
そうした「自分たちを売り込む」という作業の大事さがわかります。

思わず外に目を向けがちですが、まず見るべきは自分の足元なんだということですね。

「モノを売るのも自分を売るのも同じ」

島田さんはいろんな店を展開しています。
高級料亭からお好み焼き屋まで、それは多種多様なんだそうです。

あえて全然違うジャンルの店を立ち上げるのにも理由があるそうです。

まずは自分をうまく売ることが出来たが偶然ではないことを証明したいという思いから。
そして、その理論がどんな業種業態でも当てはまることを証明したいという思いから。

これってすごいことだと思うんです。
稀代の名プロデューサー、島田紳助の本質を見た気がしました。
きっと島田紳助さんはクリエイティブ業界にいても名を馳せたでしょう。
それくらい、「どう売るか」を考え抜いた人だったのだと思います。

「人が知っていることを知る必要はない」

島田さんは経験、体験を大切にしていました。
それを頭ではなく、心で記憶する。と表現しています。

秀逸だと思ったエピソードの一つとして、決して野球が詳しいわけではないのに、いぶし銀の選手一人のことを徹底的に調べ上げて、圧倒的にその人のことだけを語れるようになったそうです。
で、テレビでその話をすると、あまりの知識の深さに「島田紳助は野球に精通している」という評価を得られたそうです。
実際には知っているのはその選手のことだけなのに。

みんなが知っている情報には興味がなく、誰もが見向きもしないことを熱く語ると専門家に見られる。というのが島田紳助さんの持論です。

知識のドーナッツ化とも呼べる考え方ですよね。
みんなの知らない部分、つまりドーナッツなら、味や作り方を語るのではなく、「穴」について語りつくす。

専門性が問われるクリエイティブな仕事ではこれは使えないかもしれませんが、基本的な考え方としてはすごく勉強になります。

「勝てない現場には行かない」その代わり「勝てる現場では全部勝つ」

島田紳助さんは自分の得意不得意を緻密なまでに分析していたそうです。

だから正統派漫才を捨て、8ビート漫才を生み出しました。
まだその時代にやってないことを先んじてやることで時代の第一人者となったのです。
そして、ダウンタウンの出現で漫才では勝てなくなる前に自ら漫才を辞める決断をします。
徹底的な研究の果てに、自分の強みをどう活かすかを考え抜いての決断だったのです。

クリエイティブ においてもこれは学びになります。
自分よりスキルのある人がたくさんいる中で戦おうとしても疲弊するだけです。
それより、自分が必要とされる現場を選び、そこで率先して仕事を作り出す方が圧倒的に有利に戦えます。
この戦略的フィールドチョイスは、絶対に意識した方が良いと思います。

この本著に書かれていたものは、誰もが驚嘆する、島田紳助さんならではの「死に物狂いの「努力」です。
これは、あらゆる分野、業界、ジャンルに共通する緻密な「分析」の方法だと思います。

この世の中は才能が全てかもしれません。
でも、努力の仕方さえしればトップに立つことができるということを島田紳助さんは証明しています。

最終的に大事なのは、どんな場所でも努力と才能の掛け算を忘れず、冷静に自分を見ること。

もちろん、簡単なことではありません。
だからこそ、まずは出来ることからやる。

結局、それしかないんですよね。

興味のある方はぜひこちらから読んでみてください。

自己プロデュース力 (ヨシモトブックス)

 

 

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ABOUT ME
Andy
we.編集長/Design Offiice io COO./Creative Director|東京⇆京都の2拠点生活。| 企業の経営課題を解決するデザイン・コンサルやクリエイティブ・ディレクションやってます。|ミニマル思考と独特の着眼点で「?」を「!」にする発想・提案が得意。|日本のビジネスにクリエイティブの革命を起こしたい。