ディレクション入門

ディレクション目線で考える、企画のタネの育て方

みなさんは企画は好きですか?得意ですか?
ボクは大好きです。

何かしらを思いついたときの頭の中を電気が駆け抜ける快感とか、ボクのアイディアに「それだっ!」という空気がその場を支配する瞬間とか、そんな瞬間が好きなんだと思います。

これはあくまでボクが好きで得意だから言えること。
万人には通用しない感覚の部分です。

でも、一方でちゃんと理論で考えても「企画」をうまく成立させることはできます。

むしろ、右脳で閃くことなんて企画のタネになる「アイディア」の部分ばかり。
大事なのは、そのアイディアという企画のタネを立派に育てるまでのメソッド、つまり左脳部分だったりします。

なので、アイディアを思いつけなくても全然問題なし。
むしろ、他人のアイディアに乗っかって、しっかりとした企画にまで育てることが出来たら、それは一つのディレクション能力になります。

今回は、そんな企画のタネ(アイディア)の育て方について掘り下げてみましょう。

その考え、伝わってる?

意見でもアイディアでも企画でも、「伝える」のと「伝わる」のでは、大きな差があります。

自分が思ってることを発信するのは「伝える」だけなんですね。
ここまでは一方通行。

それを相手が受け取って、自分と同じ感覚になって初めて「伝わる」ことになるとボクは思ってます。

もちろん、伝えようとする意識がないと、何も伝わらないのは当然です。
大事なのは、どうしたら伝わるか試行錯誤することだと思うのです。

例えばポスターひとつでも「伝える」ポスターと、「伝わる」ポスターがあります。

前者は情報の羅列で、奇をてらい、注目を集めるもの。
後者はその奥にストーリーが見えて、思わず共感してしまうもの。

例えば旅行のポスターならどうでしょう?

安さを求める人には前者。
豊かさを求める人には後者。

ターゲットによってどちらが良いかも変化します。
この差分は重要です。

これは良い悪いではなく、シーン別にどう使い分けるか、の方の話になりますが、企画の場合は出来るだけ多くの人を巻き込み、納得させる必要があります。

そんな時に企画書が情報の羅列だったら、受け取る側はどう思うでしょう?

予算管理に厳しい財務の部長さんだけなら味方してくれるかも知れません。
でも、その情報だけの企画書で、多くの人を納得させ、動いてもらうのは難しいと思いませんか?

フルスイングしなくて良い

企画にいきなりホームランはいらないんです。
むしろ、まずは塁に出ることの方が大事です。

セーフティバントでも振り逃げでも、デッドボールだっていい。
とにかく一塁にたち、そこからコツコツ走塁を重ねることが実は一番得点しやすくなる方法です。

野球はスリーアウトでチェンジですが、企画は意外とそうでもないのもポイントですね。
最初はとにかく得点圏に進めることだけを考えるのがコツになります。

つまりは、小さなアイディアでコツコツ周りの人に意見を求め、改善点を回収して回るわけです。
同じアイディアを考えると、人はそれを味方したくなる修正があります。
少なくとも事前にダメ出しをしてくれた人が、いきなり会議で敵に回ることは少ないはずです。
企画をブラッシュアップしながら、チャンスを待つわけです。

そして、自分が考えてるのはまだ企画ではなく、アイディアの段階だと自覚しておくのも結構大事な考えになります。

「アイディア」ってのはあくまで種で、それを企画に育てるまでには相当の手間ヒマがかかるんです。
水や栄養をやり、たまに枯れかけ、寒さをしのぎ・・・

でも、それだけやるからこそ、いい企画に育っていく。

いきなり「企画」を思いつく人なんかいないんです。
まずは「アイディア」を育てましょう。

アイディアの鍛え方

アイディアは、とにかく数を出した方がいい。と思ってる人がいます。

数の論理自体は悪くないです。
練習とか、訓練としては時に数も大事になるでしょう。
自分の勉強にも経験にもなるわけですから。

でも、その数の暴力で、本当に自分が推すべきアイディアを見失ってるとしたらもったいないことにもなります。
自分の中の、圧倒的なアイディアはどれか?
胸を張って語れる人はやっぱり強いんです。

自分自身の中で、アイディアの優先順位は常に意識しておくようにしましょう。

一つしか発表してはダメだとしたら?を自問自答し続けることも大事です。

また、街や駅で「あ、いいな」とか、「え?なんでこんなのにしたの?」みたいな、自分の感性が動く広告を見つけた時はチャンスですね。

自分がなんでそう思ったのか?
この企画意図は何か?
何を狙ってこうしたのか?

ありとあらゆる妄想をめぐらしてみるのがオススメです。
好き・嫌いには必ず言語化できる理由があるはず。
それを引き出すことが出来たら、自分のアイディアや企画の方向性が見えてくるかも知れません。

企画を生み出す方法

企画を考えるとき、右脳と左脳を使い分ける意識ができるとかなり精度が上がると思ってます。
これは冒頭でも書いたことですね。

思いつきレベルは右脳の出番です。
どんどん好きなことを考え、紙に書き出していく。
水平志向というのでしょうか?
どんどん発想を飛躍させ、脈略のないアイディアを数多く一覧化します。

そして、その中でぴんとくるアイディアがあるなら左脳の出番です。
なぜ?なぜ?を繰り返して、そのアイディアそのものの強度を鍛えます。
垂直思考とも呼ばれる部分かも知れません。

そして、徹底的にどうしたら他人にその面白さが伝わるかを論理的に考えるわけです。
だって、自分が面白いと思うことを他人が面白いと思う保証なんてないわけですから。

もちろん簡単ではないけど、ここを避けては企画になりません。

そして、そもそもの企画力に必要なのは3つのスキルです。

それは「知識」と「経験」そして「リサーチ」

これはあくまでスキルです。
誰でも身につけることができる部分。

ぜひ意識してみてください。

企画進行をディレクションする方法

最後に、いくら素晴らしい企画書を書き上げたとしても、その紙切れだけでは人は動いてくれません。

なんとなく「これをやって欲しいなぁ…」では人は動かないんです。

「あなたの能力が必要だから、これをお願いしたい」と明確に言葉にしてお願いすること。これは企画を推進するに当たってものすごく大事なことです。

それに対して答えてくれるかどうかはもちろんその人次第だけど、少なくとも前には進む。
ダメなら?次を考えることができるわけですから。

そして、企画を推進するためにはどこまで自分が柔軟になれるかも考えておきたいところです。

ブレないのは芯であるべきで、ゴールに向けての手段や戦略が変わることはブレているとは言いません。

このあたりを理解出来てない人は多そうですので、要注意です。

最終的に企画が成立するなら(芯がぶれないなら)、右回りでも左回りでも、寄り道でも後戻りでも構わないのです。
もちろん、期限どうりに進行するスケジューリングという能力とは相反するかも知れません。
でも、その時その時のベストを判断できれば、それこそが正しいディレクションだと言えるはずです。

自分たちの目的に向かって正しい筋道を立て、それを実践しながら修正し続ける。
この一貫した方向付けこそが「ディレクション」なんですよね。

企画はディレクションをする上での基礎であり、土台であり、芯になる部分です。

ぜひ、色々と試行錯誤して、より良い企画をディレクションしていきたいですね。

we.の収益は全て「クリエイティブの価値を高め、広め、深める。」の理念の元、メディアwe.の運営や、それに付随する全ての活動に使わせていただきます。

 

ABOUT ME
Andy
we.編集長/Design Offiice io COO./Creative Director|東京⇆京都の2拠点生活。| 企業の経営課題を解決するデザイン・コンサルやクリエイティブ・ディレクションやってます。|ミニマル思考と独特の着眼点で「?」を「!」にする発想・提案が得意。|日本のビジネスにクリエイティブの革命を起こしたい。