COLUMN

第2回|ジェネラリストを名乗れるほど、すべてが完璧にできるわけではないのですが…

はじめてのディレクション

〜スペシャリストでないあなたが「見えないスキル」を形にする方法〜

こんにちは。編集/ライターの「あさのみ」です。

この連載は「得意なことがない」「スペシャリストにはなれない」と悩んでいる方が「ディレクション」という武器を手に入れるための入門書です。何者にもなれない悩みをクリエイティブ・ディレクターのAndyさんにぶつけて、自分の武器を手に入れるヒントを一緒に探してきましょう!
あなたには、「ディレクション」という武器がある!

今回もAndyさんのTweetから。

他人のやり方を真似してもうまくできないことは確かによくあります。
そんなとき、自分の能力不足……ってショックを受けてしまう。

でも、それは、Andyさんいわく「必ずしも能力不足ではなく、個性の見極めの問題」とのこと。

まさに、「自分なりのディレクション方法を探る」ことができれば良いのだと思いつつ、どういうふうにすればいいかわからない…!
今回はそんな方にヒントになる、相談です。

今回のご相談

自分はスペシャリストではなく、ジェネラリストだとは思うのですが、どちらかというと事務処理が得意で、Andyさんのように企画提案がガンガンできるわけではありません。それでもディレクションはできるのでしょうか?

質問者:27歳 ヤス(仮名) 会社員

Andyの回答
「できます!ディレクション力は、総合力とはいえ、全てが完璧にできなくてもよいのです。大事なのは自分のキャラクター(能力)を知ることです。」


Andyさんに詳しく聞いてみましょう!

まずはチェック! 自分のディレクションスキルは、右脳寄り?左脳寄り?


ディレクション力は、企画力だけでなく、
進行調整やスケジューリング、スタッフィング、予算組みなど、些細に思えるかもしれない1つ1つの業務の集合体であると、前回示しました。

※ディレクション力って何かピンと来ない方は、ぜひ、第1回で紹介した「あなたにもできる!? ディレクション入門!簡単チェック」を試してみてください。

再掲しますが、整理するとこんなスキルが含まれます。

かなり多岐に渡りますよね。
左脳領域から右脳領域まで、幅広い。

だからこそ「器用貧乏」を強みとして活かせるのですが、今回の相談者さんのように、どちらかというと「左脳寄り」な方もいると思います。もちろんその逆も。
中には、「まんべんなくできる」「使い分けられる」という方もいるかもしれないですね。

まずは、あなたが「できてるな」「得意だな」と思うスキルがどんなバランスなのか、一度こちらの図を参考に整理してみてください。

 

ちなみにボクは、どちらかというと右脳寄りかもしれません。
クライアントさんからヒアリングをして、その奥にある本質を言語化していく”コンセプトデザイン”を得意とするディレクターです。
そんな話をすると、今回の相談者さんは、やっぱりディレクションって難しいんだ……と思うかもしれないですね。

では、これを読んでみて、どう感じますか?

左脳寄りのあなたは、「それならけっこうできるかも」と思うのではないでしょうか?また逆に、右脳寄りの方は「うわ〜こういうの苦手〜やっぱりディレクションは向いてない」って思うかもしれない。

ボクが伝えたいのは、ここに整理してあるスキルのいくつかが苦手というだけで、ディレクションができないと決めつけるのは判断が早過ぎるということ。

ディレクイションスキルとは、企画を具現化する実行力。
すなわち、クライアントさんなり、チームメンバーなりが思いうかべている”絵に描いた餅”を”食べられるおいしい餅”に変えるスキルのことです。
その方法に正解があるわけではありません。

全てのスキルを完璧に網羅していないとディレクターを名乗れないというのであれば、この世からディレクターはほとんどいなくなってしまいますね(笑)。

右脳派、左脳派、自分に合ったディレクションとは。”餅作り”にたとえて考えてみよう!


では、右脳寄り、左脳寄り、それぞれの能力をいかしたディレクションがどのように違うか、「絵に描いた餅」(=企画)を「食べられる餅」にする過程(=具現化・実行)を例に考えていきましょう。

■右脳寄りのディレクション

企画が得意なディレクターは、そもそもの餅の絵も描かれていない”餅米”の状態から、今回作るべき餅の絵を描くことから始めるでしょう。場合によってはリサーチやヒアリングなどをしつつ、誰のためのものか?求められてるのはなにか?作りたいものは何か?などを整理して、桜餅にするかあんこ餅にするかなどを、より具体的に絵にしていく。

だんだんと、餅の形がシャープになっていくから、実行力が生まれるのですね。

予算管理やタスク管理などの手を動かす作業が苦手であれば、その部分は得意な人と協力してしまえばいいでしょう。全体の舵取りはしているわけなので問題ありません。

■左脳よりのディレクション

スケジューリングやスタッフィングが得意なディレクターは、”何かしらの餅を作る”とだけ決まっているぼんやりとした企画を具現化するために、まずは必要な材料を洗い出すでしょう。

どんなものをどこで購入する?味は何?量は?餅をつくのは人なのか、餅つき機なのか? 予算も含めてベストな餅の作り方を独自に設計するでしょう。

そのタスクや段取りを洗い出す課程で”何かしらの餅”みたいな曖昧な企画は、具体化していくはずです。これはまた、前者のディレクターとは違う実行力ですよね。

企画が苦手であれば、どんな餅を作るかの部分はチームみんなでアイディアを出し、課題を切り分け、条件を整理整頓に徹してまとめていけばよいでしょう。
課題を整理することもディレクターのスキル。
そのアイディアはこの予算ではできないとか、そのアイディアは本筋からずれている(餅を作るはずだったのに、いつのまにかどら焼きを作ることになってるみたいな…)とか、左脳を使って課題を客観的に整理する中で企画を詰めることができるはずです。

自分の欠点に気づくということは、あなたにはディレクターに必要な俯瞰力があるということ

さて、突然の”餅作り”という謎の例でしたが、イメージはできましたか?
苦手な部分があるから、ディレクションができないわけではないのです。

自分が「右脳寄り」なのか「左脳寄り」なのかを把握しておくと、「できないもの」に出会った時に、「うん、それもともと苦手だから」と、冷静に対処できます。
その分、自分が何で補えばよいかもわかるし、足りない部分を人にも頼りやすい。

「器用貧乏」の方は、視野が広い方が多いと思います。
だからこそ、全体の中で自分の苦手な部分も見えやすくなってしまいますよね。
でも、苦手は埋めることが大事なのではなく、「把握していること」の方が重要なのではないでしょうか。

ちなみにボクは、この視野の広さを逆手にとって、案件やそのときのチーム編成によって、自分が右脳寄りに動くか、左脳寄りに動くかを調整したりもします。
俯瞰して全体を見渡したときに、足りない部分が見えるのでそちらを意識的に補うようにしているのですね。

自分の欠点や弱みに気づくということは、あなたにも、俯瞰力があるということです。
「足りないもの」は、全体が見渡せるからこそ、気付けることですから。

欠けてることに気づけば、自分なりの方法や、協力者へのヘルプなどで埋めれば良い。早めに対処すればよいだけです。
全体の中で
何が欠けているか気づけないことのほうが、ディレクターとしては少し問題かもしれませんね。
「欠け」に気付けずに対処に遅れると、取り返しがつかないことにもなりかねません。
(これは「リスクコントロール」というディレクションスキルにもつながる話です。ディレクターにとっては非常に重要なスキルなので、また別の回で詳しくお話ししますね)

 

ディレクションの方法に正解はない。

自分のキャラクター(能力)を把握して、自分なりのやりかたで「実行力」を磨いていきましょう!

 

次回予告

「入社してもうすぐ10年になりますが、自分には”これ”といった特技がなく、異動も多いため専門性が身についていません。1つのことを極めている同期と差がつく一方で、自信が持てません。リーダータイプではなく、常にチームの調整など地味な作業をしている感じです。すごく焦ります」

質問者:30歳 ヒロキ(仮名) 会社員

Andyの回答
ジェネラリストは、花開くまでに時間がかかることが多い。その理由を説明します!

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質問募集

we.では「武器がない」と悩む方からの質問を募集しています。
年齢、立場、悩み事(ざっくりでも具体的なシーンに関してでも)を書いて、こちらにお送りください。

「ディレクション」は武器になるシリーズ

はじめてのディレクション
〜スペシャリストでないあなたが「見えないスキル」を形にする方法〜

第1回|器用貧乏で、何者にもなれない自分がコンプレックスです

第2回|ジェネラリストを名乗れるほど、すべてが完璧にできるわけではないのですが…

第3回|いろいろやりすぎて、何年経っても専門性が身についている気がしません

ディレクションスキルを学ぼう!

ディレクション入門①
ディレクションって、結局どんな業務なの?仕事内容を徹底解剖。

ディレクション入門②
キャンプの昼ご飯決めでわかる、ディレクションの質の話。

ディレクション入門③
プロの仕事から学ぶ、ロゴ制作のプロセス大公開

ディレクション入門④
ヒアリングの苦手意識を克服しよう!

ディレクション入門⑤
ネーミング&コピーライティングのコツ

ディレクション入門⑥
打合せで活きるディレクション力を学ぼう!

ディレクション入門⑦
プレゼンテーションの基礎・基本を学ぼう

ディレクション入門⑧
打ち合わせのまとめ方

ディレクション入門⑨
スケジューリングのコツを考えてみよう

we.の収益は全て「クリエイティブの価値を高め、広め、深める。」の理念の元、メディアwe.の運営や、それに付随する全ての活動に使わせていただきます。

ABOUT ME
企画・執筆|いずみの編集室 あさのみ ゆき
企画・執筆|いずみの編集室 あさのみ ゆき
フリーランス編集者、ライター。専門は子どもの知的好奇心をテーマにした読み物。日常の中にある知らなかったわくわくや初めての発見を見つけられる誌面作りにこだわっている。 「私自身も、専門家としての突き抜けられなさに悩んでいる1人です。だけど、たくさんの専門家に取材をしてきて思うことは、自分がわくわくすることに根気強く向き合えば、必ず一人ひとりに合った道が見つかるということ。この連載を通して、共に”知らなかった自分の力”を発見していけると嬉しいです。」